5 / 103
平穏な日々
.
しおりを挟む
「婆ちゃん、これいつ買ったの?」
「春に買ったの。ほら、大国様小さい姿が多いから、大人のお箸とか茶碗持ちにくそうだったし、それ道場に来てる子供たちが教えてくれたのよ?今の流行りなんですって」
いやいや、流行りも何も、いつの時代もヒーローものはあるから……
しかもメインで描かれてるのがロボット。
俺が小さい時にも似たようなのがあったような気がしないでもない。
匂いにつられてやってきた祖父と大国さん。
「ぉぉおおお!俺のか?」
と嬉しそうに茶碗を持っているが、サイズがぴったり過ぎて笑える。
「翔平、何を笑っておる?見てみろ、箸だけではなくてスプーンもフォークもついてるぞ!」
「大国さん、園児姿だから似合うのであって、小学生からは似合いませんからね?」
「そ、そうなのか?だったらずっとこのままで「やめてください!」
「この姿は便利なのに……」
「何に便利なんですか?」
「たまに住職がジュースをくれる」
「神社で何してるんですか!大人の姿でいいじゃないですか?」
「酒を飲む時はな?この姿だと、ほかの神共もあまり文句を言ってこんから助かってるんだ!それに、買い物でおまけしてもらえるんだぞ?」
いったい何を買ってるんだ?
おまけと言えば、魚屋で婆ちゃんが値切ってるのを見たくらいで、普通の買い物ではおまけとかそういうのは無かった気がするのだが……
「さ、食べましょうか。大国様、今日は鯖ですけど、味覚の方ってどうなってるんですか?」
「そこは大丈夫だ祖母殿。体だけ小さくしてるから、味覚などには変化はない」
「あら、便利」
そこじゃあない!
一度でいいから本当の姿を見てみたいと思うのは俺だけだろうか?
ネットで調べて出てきた大国さんの姿はちょっと見た感じよぼよぼのお化けみたいで怖い。
「大国さん、大国さんの姿って本当はこんなのですか?」
思い切って携帯の画像を見せると、「あ、アホか!何だこれは……俺はこんなのではないぞ?」とガン見している。
そして、誰だこの絵を書いたのは!
と文句もつけて。
「今はこう言ったので見れるんですけど……神話とかのイメージとかで描いてるのかな?」
すっごく迷惑だ!と言いながら、ご飯と味噌汁お代わり!と祖母に出している姿は掲載されているものと全く違う。
プリプリと怒りながらも、プクッと膨らませたほっぺはお肌ツルツル。
シワひとつない手。
マジマジと見ていると、何だ?と言われ、卵焼きを取られる。
「あー!」
「ふふん。祖母殿の卵焼きはふわふわで美味しい。家のはなんだか硬いんだ……」
神様の食事情。
咲耶さんの屋敷で出た感じかな?
「大国様、卵焼き焼きましょうか?」
「おお、今度はだし巻きが良い」
はいはいと祖母が台所へと行って戻ってきてからは、さらにご飯と言い、味噌汁に肉じゃがとほとんど大国さんが食べてしまった。
「あー、お腹いっぱいだ」
「おやつは明日ですね」
「あああああ!そうだった……」
今頃思い出しても遅い!
「明日俺も駄菓子屋に行く!」
「迦具土って、子どもの姿になれるの?」
「くっ、屈辱だが、そのほうがいいんだろう?その菓子屋に行くのには!」
大人の姿でもいいとは教えてやるもんか!
「じゃあ、帰りに校門で待っててよ」
そう言ってニヤッと笑う。
「春に買ったの。ほら、大国様小さい姿が多いから、大人のお箸とか茶碗持ちにくそうだったし、それ道場に来てる子供たちが教えてくれたのよ?今の流行りなんですって」
いやいや、流行りも何も、いつの時代もヒーローものはあるから……
しかもメインで描かれてるのがロボット。
俺が小さい時にも似たようなのがあったような気がしないでもない。
匂いにつられてやってきた祖父と大国さん。
「ぉぉおおお!俺のか?」
と嬉しそうに茶碗を持っているが、サイズがぴったり過ぎて笑える。
「翔平、何を笑っておる?見てみろ、箸だけではなくてスプーンもフォークもついてるぞ!」
「大国さん、園児姿だから似合うのであって、小学生からは似合いませんからね?」
「そ、そうなのか?だったらずっとこのままで「やめてください!」
「この姿は便利なのに……」
「何に便利なんですか?」
「たまに住職がジュースをくれる」
「神社で何してるんですか!大人の姿でいいじゃないですか?」
「酒を飲む時はな?この姿だと、ほかの神共もあまり文句を言ってこんから助かってるんだ!それに、買い物でおまけしてもらえるんだぞ?」
いったい何を買ってるんだ?
おまけと言えば、魚屋で婆ちゃんが値切ってるのを見たくらいで、普通の買い物ではおまけとかそういうのは無かった気がするのだが……
「さ、食べましょうか。大国様、今日は鯖ですけど、味覚の方ってどうなってるんですか?」
「そこは大丈夫だ祖母殿。体だけ小さくしてるから、味覚などには変化はない」
「あら、便利」
そこじゃあない!
一度でいいから本当の姿を見てみたいと思うのは俺だけだろうか?
ネットで調べて出てきた大国さんの姿はちょっと見た感じよぼよぼのお化けみたいで怖い。
「大国さん、大国さんの姿って本当はこんなのですか?」
思い切って携帯の画像を見せると、「あ、アホか!何だこれは……俺はこんなのではないぞ?」とガン見している。
そして、誰だこの絵を書いたのは!
と文句もつけて。
「今はこう言ったので見れるんですけど……神話とかのイメージとかで描いてるのかな?」
すっごく迷惑だ!と言いながら、ご飯と味噌汁お代わり!と祖母に出している姿は掲載されているものと全く違う。
プリプリと怒りながらも、プクッと膨らませたほっぺはお肌ツルツル。
シワひとつない手。
マジマジと見ていると、何だ?と言われ、卵焼きを取られる。
「あー!」
「ふふん。祖母殿の卵焼きはふわふわで美味しい。家のはなんだか硬いんだ……」
神様の食事情。
咲耶さんの屋敷で出た感じかな?
「大国様、卵焼き焼きましょうか?」
「おお、今度はだし巻きが良い」
はいはいと祖母が台所へと行って戻ってきてからは、さらにご飯と言い、味噌汁に肉じゃがとほとんど大国さんが食べてしまった。
「あー、お腹いっぱいだ」
「おやつは明日ですね」
「あああああ!そうだった……」
今頃思い出しても遅い!
「明日俺も駄菓子屋に行く!」
「迦具土って、子どもの姿になれるの?」
「くっ、屈辱だが、そのほうがいいんだろう?その菓子屋に行くのには!」
大人の姿でもいいとは教えてやるもんか!
「じゃあ、帰りに校門で待っててよ」
そう言ってニヤッと笑う。
0
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説
たこ焼き屋さかなしのあやかし日和
山いい奈
キャラ文芸
坂梨渚沙(さかなしなぎさ)は父方の祖母の跡を継ぎ、大阪市南部のあびこで「たこ焼き屋 さかなし」を営んでいる。
そんな渚沙には同居人がいた。カピバラのあやかし、竹子である。
堺市のハーベストの丘で天寿を迎え、だが死にたくないと強く願った竹子は、あやかしであるカピ又となり、大仙陵古墳を住処にしていた。
そこで渚沙と出会ったのである。
「さかなし」に竹子を迎えたことにより、「さかなし」は閉店後、妖怪の溜まり場、駆け込み寺のような場所になった。
お昼は人間のご常連との触れ合い、夜はあやかしとの交流に、渚沙は奮闘するのだった。
ハピネスカット-葵-
えんびあゆ
キャラ文芸
美容室「ハピネスカット」を舞台に、人々を幸せにするためのカットを得意とする美容師・藤井葵が、訪れるお客様の髪を切りながら心に寄り添い、悩みを解消し新しい一歩を踏み出す手助けをしていく物語。
お客様の個性を大切にしたカットは単なる外見の変化にとどまらず、心の内側にも変化をもたらします。
人生の分岐点に立つ若者、再出発を誓う大人、悩める親子...多様な人々の物語が、葵の手を通じてつながっていく群像劇。
時に笑い、たまに泣いて、稀に怒ったり。
髪を切るその瞬間に、人が持つ新しい自分への期待や勇気を紡ぐ心温まるハートフルストーリー。
後宮一の美姫と呼ばれても、想い人は皇帝(あなた)じゃない
ちゃっぷ
キャラ文芸
とある役人の娘は、大変見目麗しかった。
けれど美しい娘は自分の見た目が嫌で、見た目を褒めそやす人たちは嫌いだった。
そんな彼女が好きになったのは、彼女の容姿について何も言わない人。
密かに想いを寄せ続けていたけれど、想い人に好きと伝えることができず、その内にその人は宦官となって後宮に行ってしまった。
想いを告げられなかった美しい娘は、せめてその人のそばにいたいと、皇帝の妃となって後宮に入ることを決意する。
「そなたは後宮一の美姫だな」
後宮に入ると、皇帝にそう言われた。
皇帝という人物も、結局は見た目か……どんなに見た目を褒められようとも、わたくしが好きなのはあなたじゃない。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
新説・鶴姫伝! 日いづる国の守り神 PART3 ~始まりの勇者~
朝倉矢太郎(BELL☆PLANET)
キャラ文芸
いよいよ魔王のお膝元・本州に上陸した鶴と誠。
だけどこっちの敵は、今までより随分ずる賢いみたい。
きりきり舞いの最中、魔王ディアヌスの正体が明らかに!?
この物語、どんどん日本を守ります!
好きになるには理由があります ~支社長室に神が舞い降りました~
菱沼あゆ
キャラ文芸
ある朝、クルーザーの中で目覚めた一宮深月(いちみや みつき)は、隣にイケメンだが、ちょっと苦手な支社長、飛鳥馬陽太(あすま ようた)が寝ていることに驚愕する。
大事な神事を控えていた巫女さん兼業OL 深月は思わず叫んでいた。
「神の怒りを買ってしまいます~っ」
みんなに深月の相手と認めてもらうため、神事で舞を舞うことになる陽太だったが――。
お神楽×オフィスラブ。
神の妖診療所
逢汲彼方
キャラ文芸
神として駆け出しの瑞穂は、人間からの人気がなく、まだ自分の神社を持っていなかった。そんな彼は、神々がおわす天界には住めず、人間や低級妖の住む下界で貧乏暮らしをしながら、「妖の診療所」を開いてなんとか食いつないでいた。
しかし、その経営も厳しく今や診療所は破綻寸前。
そんな時、瑞穂はある人間の娘と出会う。彼女とは、どこかで会ったことがある気がするのに瑞穂はどうしても思い出せない。楓と名乗ったその娘は、診療所で働きたいと言い出し、さらに彼女が拾ってきた猫又の美少年も加わり、診療所は賑やかになる。
【完結】神様WEB!そのネットショップには、神様が棲んでいる。
かざみはら まなか
キャラ文芸
22歳の男子大学生が主人公。
就活に疲れて、山のふもとの一軒家を買った。
その一軒家の神棚には、神様がいた。
神様が常世へ還るまでの間、男子大学生と暮らすことに。
神様をお見送りした、大学四年生の冬。
もうすぐ卒業だけど、就職先が決まらない。
就職先が決まらないなら、自分で自分を雇う!
男子大学生は、イラストを売るネットショップをオープンした。
なかなか、売れない。
やっと、一つ、売れた日。
ネットショップに、作った覚えがないアバターが出現!
「神様?」
常世が満席になっていたために、人の世に戻ってきた神様は、男子学生のネットショップの中で、住み込み店員になった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる