八百万の学校 其の参

石長比売の家出

.

食事を終えてベッドにゴロンと寝そべり、「このような事初めてした！」と思いっきり伸びをする。

姫ともなれば寝台はあれど、このような行動を取れば必ず叱られるし、恥ずかしい行動だと言われてしまう。

明日はどこに行こうか……

太宰府天満宮も行ってみたいが、もしも道真様が居たら場所が分かってしまうし……

悩んでいると純平からの電話。

「もしもし」

『どうだった？』

「とても素敵なところで、のんびりとしてしまいました」と今日の風呂の後の椅子のことを話すと、『あれは高いからホテルや旅館の楽しみの一つだよ』と教えてもらう。

「明日なのですが、まだ決まっておらず……。家出とは難儀なものだと分かりました」

『そうだなぁ。俺たちは普通家出って、友達の家とかに世話になったりすることが多いし。石長さんは、何か見たいところはある？』

「私ですか？海や山は見慣れてますけれど、やはり近くで見る海は凄く綺麗でした。なので、景色やまだ見た事のないものをと思うのですが……」

『じゃあ、泊まりじゃないんだけと……』と純平が術で飛べるのならば、行ってみてはどうかというところに決めるが、その場所はお昼すぎに行った方が良いとの事で、少し街を見て回ってから行くと伝える。

『泊まるのはどこにする？』

「京都も考えたのですが、神々も多いですし」

『いい所だから京都は一緒に行こうか。じゃあ、新潟……もダメだな。神社が日本でも多い県だ。日本で神社のない県なんて無いから……』

「そうなのです。そうだ。前にバスの中から動物が見られるとテレビで見たのですが」

『それ、自分の神社に近付いてってるじゃん』

「そうなのですか？なら、帰る前にします」

『いくつか探してみるから』

「あの、父は……」

『昨日は普通に食事した後に、爺ちゃんと将棋してたよ』

「そうですか……」

『元気だして。また連絡するから』

電話を切り、すぐ一つ目の場所と写真が送られてくる。

「凄い、海がこのようになるなど見たことがない……」