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旅
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手に取ってみたものは、黄色でパプリカほどの大きさ。似てはいるが、キウイよりも産毛が多い。臭いを嗅いでみると、甘い臭いの他に、ツーンと鼻をつく臭いがして思わず手を離してしまう。
「あぁ、これは果物なのですが、甘味料に使うものですね」
「砂糖の代わり?それにしては臭いが……」
「煮込めばなくなりますし、たまには少し甘めの味のものも必要ですし……買いますか?」
「本気で言ってる?」
「勿論」
「日持ちするの?」
「これは臭いが臭いですので荷を守るのにも役に立ちますから。それに乾燥させれば一年でも持ちますよ?」
そう言い、一籠15個程入ったものを袋に積めてもらう。
その他は根菜類を中心に買いだめをし、たまにはとのことで、お昼にと市場の中の喫茶店のようなところで食事を取ることにした。
海がないせいか、魚介類のメニューはなく、メインはほとんどが肉だった。
食べなれた幻虎のステーキセットにし、頼んで良いと言われたのでデザートにフルーツセットを頼む。
「なんか、場所は全然違うのにファミリーレストランみたいだね」
「そうですね。大きな街にはこの様なところもあるので、息抜きには良いかもしれません」
「あ、来た!」
お皿に乗った肉は考えられないほど大きく、厚さが10㎝はあった。それでも切り分けるとちゃんと火が通っている。
「これ、どうやって焼いたんだろう?」
「大抵は普通に焼いてますが、これは最後に魔法で中に火を通していますね」
「わかるの?」
「ええ。焼き方で大体は。ですがこのような場所ではそう魔法の使えるものは少ないと思うのですが」
ちょうど奥にいた人がエプロンをつけていたので、あの人じゃない?と指をさすが、その指の方を向いたノアがしばらく固まっていたので、どうしたのと聞く。
「いえ、あの方なら納得です。元王宮の料理人です」
「そんな人が何でこんなところにいるんだろ?」
「兄の話では腕を怪我して辞めたときいていたのですが」
「話してくる?俺待ってるし」
「いえ、私は面識がないので。食べたら何処か行きたいところはありますか?」
「急に言われても……あ、何かここでの遊びみたいなもの無いのかな?」
「遊戯物ですか?」
しばらく考えているようだったが、食事がすんだら行きましょうと言われたので、急いで食べる。
着いていった場所は何かの格闘場のようで、入り口が二つある。
「奏太様、見ての通り格闘場です。賞金も出ますし、お出になられますか?」とにこにこしているので、どうぞと身ぶりだけで観覧席の方へと行く。
少しお金は持たされていたので、飲み物だけ買い、一番前の席に座る。
「あぁ、これは果物なのですが、甘味料に使うものですね」
「砂糖の代わり?それにしては臭いが……」
「煮込めばなくなりますし、たまには少し甘めの味のものも必要ですし……買いますか?」
「本気で言ってる?」
「勿論」
「日持ちするの?」
「これは臭いが臭いですので荷を守るのにも役に立ちますから。それに乾燥させれば一年でも持ちますよ?」
そう言い、一籠15個程入ったものを袋に積めてもらう。
その他は根菜類を中心に買いだめをし、たまにはとのことで、お昼にと市場の中の喫茶店のようなところで食事を取ることにした。
海がないせいか、魚介類のメニューはなく、メインはほとんどが肉だった。
食べなれた幻虎のステーキセットにし、頼んで良いと言われたのでデザートにフルーツセットを頼む。
「なんか、場所は全然違うのにファミリーレストランみたいだね」
「そうですね。大きな街にはこの様なところもあるので、息抜きには良いかもしれません」
「あ、来た!」
お皿に乗った肉は考えられないほど大きく、厚さが10㎝はあった。それでも切り分けるとちゃんと火が通っている。
「これ、どうやって焼いたんだろう?」
「大抵は普通に焼いてますが、これは最後に魔法で中に火を通していますね」
「わかるの?」
「ええ。焼き方で大体は。ですがこのような場所ではそう魔法の使えるものは少ないと思うのですが」
ちょうど奥にいた人がエプロンをつけていたので、あの人じゃない?と指をさすが、その指の方を向いたノアがしばらく固まっていたので、どうしたのと聞く。
「いえ、あの方なら納得です。元王宮の料理人です」
「そんな人が何でこんなところにいるんだろ?」
「兄の話では腕を怪我して辞めたときいていたのですが」
「話してくる?俺待ってるし」
「いえ、私は面識がないので。食べたら何処か行きたいところはありますか?」
「急に言われても……あ、何かここでの遊びみたいなもの無いのかな?」
「遊戯物ですか?」
しばらく考えているようだったが、食事がすんだら行きましょうと言われたので、急いで食べる。
着いていった場所は何かの格闘場のようで、入り口が二つある。
「奏太様、見ての通り格闘場です。賞金も出ますし、お出になられますか?」とにこにこしているので、どうぞと身ぶりだけで観覧席の方へと行く。
少しお金は持たされていたので、飲み物だけ買い、一番前の席に座る。
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