70 / 76
守り
.
しおりを挟む
三郎におんぶされて玄関まで行くと昴が来ており、「一応俺が送り届ける!と言いたい所だが、これでも忙しくてな。直接家の前の森に出れるようにだけしておいた。その前には結界があるから、家までまず走れよ?」
「昴さん、昨日正式に親子になりました。ご尽力ありがとうございました」
「なぁに、大切にしてやるんだぞ?航平、那智の事頼むぞ」
「は、はい」
その後、ソロっと祖父を見て、「お、お爺ちゃん。また遊びに来ます」と言うと、祖父が満面の笑みで頷き、早く行きなさいと背中を押してくれる。
前の旅行の時にも感じた変な感覚が取れると、もう目の前は家が見えていて、みんなが走って玄関まで行く。
一応、ピンポンとインターフォンを押して、ただいまと玄関を開けると、早く入ってと栞に急かされリビングにみんなが入る。
「ただいま」
「お帰りなさい。あ、車椅子持ってくるわね」
ソファに降ろしてもらってから、冬弥さんは?と聞くと、玲と街を見に行っていると返事が返ってきた。
「航平、お前下宿に残るのか俺のマンションに来るのか決めたのか?」
「はい。下宿にいます」
「そうか。俺の家はわかるな?」
「はい」
「た、たまには訪ねてこい。その、雪翔と一緒に」
「はい」
「ハイしか言えんのか!」
「照れ隠しじゃねーの?ってかさ、那智の事だから手放さん!とか言いそうだったけどなぁ」
「そんなことは無いが、バイトの事もあるし、暫くは一緒の行動が多いだろうが……ちゃんと後期は大学にいけよ?」
「行きますよ。留年だけはしたくないですから」
「なんで一緒にすまないの?」
「「恥ずかしいから!!」」
「ふふっ、似てるね!」
話している内に、冬弥と玲が帰ってきて、四社にそれぞれ影を二匹ずつ置くことになり、あちらからも警備が四社とは別に周りの社にも配備されることが決まって、今慌ただしく動いているということだった。
「那智、勝手にと思いましたが、下宿の者には既に術をかけてあります。那智が雪翔の叔父とは刷り込んであったので、その子供が航平。秋彪と玲が兄弟で親戚ってことにしてありまして、家も近いのでよく遊びに来るという風にしましたが、他になにか付け加えることあります?」
「無い。親は?」
「しました。いつものようにしなくていいとの事だったので、簡単なすり替えだけ。戸籍もこちらで用意しましたし、なんの不備もありません。次の書き換えは50年後くらいですかねぇ」
「俺とお前は代替わりしたって書き換えでいいが……まぁ、適当に航平も変えておけばいいか」
「適当って……」
「そんなものですよ?じゃあ、那智、毎月家賃下さい。月に10万でいいですよ?」
「家賃上がってるじゃねーか!」
「航平君、ダディがケチですよ?」
「ケチって……」
「分かったよ。払えばいいんだろ?毎月引き落としてくれ」
冬弥が準備よく引き落としの紙を差し出し、「これに書いて銀行に出しておいてくださいね」とニコニコしている。
「昴さん、昨日正式に親子になりました。ご尽力ありがとうございました」
「なぁに、大切にしてやるんだぞ?航平、那智の事頼むぞ」
「は、はい」
その後、ソロっと祖父を見て、「お、お爺ちゃん。また遊びに来ます」と言うと、祖父が満面の笑みで頷き、早く行きなさいと背中を押してくれる。
前の旅行の時にも感じた変な感覚が取れると、もう目の前は家が見えていて、みんなが走って玄関まで行く。
一応、ピンポンとインターフォンを押して、ただいまと玄関を開けると、早く入ってと栞に急かされリビングにみんなが入る。
「ただいま」
「お帰りなさい。あ、車椅子持ってくるわね」
ソファに降ろしてもらってから、冬弥さんは?と聞くと、玲と街を見に行っていると返事が返ってきた。
「航平、お前下宿に残るのか俺のマンションに来るのか決めたのか?」
「はい。下宿にいます」
「そうか。俺の家はわかるな?」
「はい」
「た、たまには訪ねてこい。その、雪翔と一緒に」
「はい」
「ハイしか言えんのか!」
「照れ隠しじゃねーの?ってかさ、那智の事だから手放さん!とか言いそうだったけどなぁ」
「そんなことは無いが、バイトの事もあるし、暫くは一緒の行動が多いだろうが……ちゃんと後期は大学にいけよ?」
「行きますよ。留年だけはしたくないですから」
「なんで一緒にすまないの?」
「「恥ずかしいから!!」」
「ふふっ、似てるね!」
話している内に、冬弥と玲が帰ってきて、四社にそれぞれ影を二匹ずつ置くことになり、あちらからも警備が四社とは別に周りの社にも配備されることが決まって、今慌ただしく動いているということだった。
「那智、勝手にと思いましたが、下宿の者には既に術をかけてあります。那智が雪翔の叔父とは刷り込んであったので、その子供が航平。秋彪と玲が兄弟で親戚ってことにしてありまして、家も近いのでよく遊びに来るという風にしましたが、他になにか付け加えることあります?」
「無い。親は?」
「しました。いつものようにしなくていいとの事だったので、簡単なすり替えだけ。戸籍もこちらで用意しましたし、なんの不備もありません。次の書き換えは50年後くらいですかねぇ」
「俺とお前は代替わりしたって書き換えでいいが……まぁ、適当に航平も変えておけばいいか」
「適当って……」
「そんなものですよ?じゃあ、那智、毎月家賃下さい。月に10万でいいですよ?」
「家賃上がってるじゃねーか!」
「航平君、ダディがケチですよ?」
「ケチって……」
「分かったよ。払えばいいんだろ?毎月引き落としてくれ」
冬弥が準備よく引き落としの紙を差し出し、「これに書いて銀行に出しておいてくださいね」とニコニコしている。
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
下宿屋 東風荘 4
浅井 ことは
キャラ文芸
下宿屋 東風荘4
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..
大きくなった下宿に総勢20人の高校生と大学生が入ることになり、それを手伝いながら夜間の学校に通うようになった雪翔。
天狐の義父に社狐の継母、叔父の社狐の那智に祖父母の溺愛を受け、どんどん甘やかされていくがついに反抗期____!?
ほのぼの美味しいファンタジー。
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..
表紙・挿絵:深月くるみ様
イラストの無断転用は固くお断りさせて頂いております。
☆マークの話は挿絵入りです。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
便利屋ブルーヘブン、営業中。~そのお困りごと、大天狗と鬼が解決します~
卯崎瑛珠
キャラ文芸
とあるノスタルジックなアーケード商店街にある、小さな便利屋『ブルーヘブン』。
店主の天さんは、実は天狗だ。
もちろん人間のふりをして生きているが、なぜか問題を抱えた人々が、吸い寄せられるようにやってくる。
「どんな依頼も、断らないのがモットーだからな」と言いつつ、今日も誰かを救うのだ。
神通力に、羽団扇。高下駄に……時々伸びる鼻。
仲間にも、実は大妖怪がいたりして。
コワモテ大天狗、妖怪チート!?で、世直しにいざ参らん!
(あ、いえ、ただの便利屋です。)
-----------------------------
ほっこり・じんわり大賞奨励賞作品です。
アルファポリス文庫より、書籍発売中です!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる