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守り
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「それは違う。俺の判断ミスだったんだ。あの式神ってやつ、本体と考え方が似てるみたいでさ、俺の嫌がることばっかするんだよ。キレた俺が悪い。それに、雪翔は何も悪くないぞ?その力でみんなに色々見せたって聞いた。凄いじゃないか」
「だけど、航平ちゃんは特に関係ないのに巻き込んだし、傷つかなくていいみんなが傷だらけになって、僕は怪我もしてなくて……」
「おいおい、拗ねんなって。誰もそんなこと思ってないって。な、爺さん!」
「そうじゃ。今回は突然のことじゃったから、次からはもっと気をつければいいんじゃ。ほれ、冷めぬうちに粥を食べてしまいなさい」
「うん……」
ご飯を食べて薬を飲んでから、京弥と一緒に本の解読をしていたら、那智たちが帰ってきた。
「おかえり」
「起きたか。熱とかは?」
「無いよ?」
「よし、じゃあこれを見ろ」
ジャジャーンとばかりに紙を見せられ、よく読んでみると、航平が養子になったことが書かれていた。
「今日から俺の息子だ。名前はそのまんまだけど、家の親の了承がいってな……判を貰ってから逃げてきた」
やっぱり逃げたんだ……と、なぜ逃げたか想像がつくのでつい笑ってしまったが、航平は横でブツブツとフリルが怖いとずっと言っていた。
「まさかだけど……」
「部屋を用意したからって見せられて、クローゼット開けたらさ、シャツがフリフリでさ。心が折れるってこういうことなのかな?着せ替え人形みたいに……」
「やられたんだ……」
「雪翔、そっとしておいてやってくれ。俺も止めたんだが、逃げるまで時間がかかってな……」
「う、うん。わかった」
「今夜はみんな泊まるんじゃろう?いつ帰るか予定を組まんとな」
「それなんですが、明日にはこちらを出ようかと思ってます。両親から逃げた……じゃなくて。あちらの社も気になりますし、各々の結界と同時に街にも結界を。あの男の事だから掻い潜ってくると思ってはいても、しないよりマシなので」
「そうか?なら、儂はこちらのことをするとしようかの。暫く三郎と四郎を連れていくといい」
「雪翔と航平にですか?」
「そうじゃ。三郎、四郎、冬弥と那智に分かれてつけ。孫達を頼む」
「御意」
朝から色々とみんなが準備をしている間に、鞄に本を入れて、京弥と読み解いて書き付けた紙などもしまっていると、幸が風呂敷包を持ってやってきた。
「あのね、この中にあの人が集めていた本が入ってるの。何だったかしら……星のマークの本よ?仕事に行っちゃったから私が持ってきたの」
「借りてもいいんですか?」
「勿論よ。そのために用意してたんだもの。休みの日によく古本屋とかに行ってたから、その時見つけたんだと思うわ」
「ありがとう……京弥さんにもお礼言いたかったけど」
「いいのいいの。それと、航平君」
「はい」
「今度来た時はもっとリラックスしてね?」
「すいません……」
「お義父様が気にしてるんじゃないかって……」
「なにをですか?」
「孫って言ったこと!」
「そんな……俺、嬉しかったです!」
「帰りに伝えてあげてね?お義父様、ああ見えて結構気にする人なのよ?」
「お爺ちゃんが?」
「見えないでしょう?さ、そろそろ支度も整うと思うから、玄関に移動しましょ」
「だけど、航平ちゃんは特に関係ないのに巻き込んだし、傷つかなくていいみんなが傷だらけになって、僕は怪我もしてなくて……」
「おいおい、拗ねんなって。誰もそんなこと思ってないって。な、爺さん!」
「そうじゃ。今回は突然のことじゃったから、次からはもっと気をつければいいんじゃ。ほれ、冷めぬうちに粥を食べてしまいなさい」
「うん……」
ご飯を食べて薬を飲んでから、京弥と一緒に本の解読をしていたら、那智たちが帰ってきた。
「おかえり」
「起きたか。熱とかは?」
「無いよ?」
「よし、じゃあこれを見ろ」
ジャジャーンとばかりに紙を見せられ、よく読んでみると、航平が養子になったことが書かれていた。
「今日から俺の息子だ。名前はそのまんまだけど、家の親の了承がいってな……判を貰ってから逃げてきた」
やっぱり逃げたんだ……と、なぜ逃げたか想像がつくのでつい笑ってしまったが、航平は横でブツブツとフリルが怖いとずっと言っていた。
「まさかだけど……」
「部屋を用意したからって見せられて、クローゼット開けたらさ、シャツがフリフリでさ。心が折れるってこういうことなのかな?着せ替え人形みたいに……」
「やられたんだ……」
「雪翔、そっとしておいてやってくれ。俺も止めたんだが、逃げるまで時間がかかってな……」
「う、うん。わかった」
「今夜はみんな泊まるんじゃろう?いつ帰るか予定を組まんとな」
「それなんですが、明日にはこちらを出ようかと思ってます。両親から逃げた……じゃなくて。あちらの社も気になりますし、各々の結界と同時に街にも結界を。あの男の事だから掻い潜ってくると思ってはいても、しないよりマシなので」
「そうか?なら、儂はこちらのことをするとしようかの。暫く三郎と四郎を連れていくといい」
「雪翔と航平にですか?」
「そうじゃ。三郎、四郎、冬弥と那智に分かれてつけ。孫達を頼む」
「御意」
朝から色々とみんなが準備をしている間に、鞄に本を入れて、京弥と読み解いて書き付けた紙などもしまっていると、幸が風呂敷包を持ってやってきた。
「あのね、この中にあの人が集めていた本が入ってるの。何だったかしら……星のマークの本よ?仕事に行っちゃったから私が持ってきたの」
「借りてもいいんですか?」
「勿論よ。そのために用意してたんだもの。休みの日によく古本屋とかに行ってたから、その時見つけたんだと思うわ」
「ありがとう……京弥さんにもお礼言いたかったけど」
「いいのいいの。それと、航平君」
「はい」
「今度来た時はもっとリラックスしてね?」
「すいません……」
「お義父様が気にしてるんじゃないかって……」
「なにをですか?」
「孫って言ったこと!」
「そんな……俺、嬉しかったです!」
「帰りに伝えてあげてね?お義父様、ああ見えて結構気にする人なのよ?」
「お爺ちゃんが?」
「見えないでしょう?さ、そろそろ支度も整うと思うから、玄関に移動しましょ」
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