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非日常
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「栞さん?」
「あ、ごめんなさい。やっぱり気になって……でも見に行くわけにも行かないし」
「冬弥さんなら、大丈夫だよ。だって、天狐なんだよ?」
「ごめんなさい、やっぱり……雫、那智様に連絡を」
「すぐに……」
雫が消え、栞に狐を出したらダメじゃないのかと聞く。
「使いだけなら平気。すぐに呼んできてくれると思うの。冬弥様なら結界内ならばこの家からでもわかるはず。結界の外も……桜狐ちゃんを探しに行くってことは何かあるのよ」
「何かって……あの男の人がなにかしたのかな……」
「分からないけど、那智様が来てくれたら状況はわかると思う」
栞がガタッと椅子に座ったので、とにかくお茶をと冷たいお茶をテーブルに置き、落ち着いてと声をかける。
「栞さん……」
「ごめんね。出ていく時の冬弥様の顔が何だかピリピリした感じがしたの」
「僕は気が付かなかったけど、栞さんが言うならそうなのかな?」
ガチャっと音がし、那智が駆け込んできたと思ったら、すぐに家から出るように言われる。
「出るってどこに行くの?冬弥さんは?雫ちゃんと桜狐ちゃんは?」
「あいつらは大丈夫だ。俺がここと俺の社を繋げる。俺の社には秋彪と玲がいるから、二人の力で妖街の当主の家までいけ。雪翔、場所はわかるな?」
「分かるけど、ねぇ、何があったの?那智さんは来ないの?」
「冬弥とともに行くから待ってろ。説明はあいつらがしてくれるはずだ」
「那智様!悪狐ですか?それとも陰陽師ですか?」
「どっちもだ!冬弥は無事だ。迎えにいくまであっちにいろ」
「航平ちゃんは?」
「秋彪達二人に任せてある。紫狐、漆様と琥珀様と共に二人を守れ」
「畏まりました」
「小僧も言うようになったねぇ。ま、聞いておいてあげるが、漆は置いていきな。冬弥の助けになる」
「お主が残れば良いだろう?琥珀よ」
「あー、時間が無いので、後で文句は聞きます。後は琥珀様お願いします」
「分かったよ。早く繋いでおくれ」
那智が壁に手を当てると、すぐに岩戸の中とそっくりの場所が現れ、早く行けと言われる。
「この先をまっすぐ行けばすぐにいつもの場所に出る。後で薬も持ってくから心配するな」
そう言って押し込まれ、栞と共に洞窟の中に入れられたと思ったら、見えていた部屋がだんだんと消えてなくなり真っ暗になる。
「えっと、明かりつけますー」
ポンポンポンと狐火がつき、足元と目の前が見えるようになり、とにかく進むしかないと真っ直ぐ進むと、前にも見たことのある門番の人が立っていた。
「あの……」
「お聞きしております。ここから出てすぐ左に進んでください」
どうやって連絡が行ったのだろう?と思いながらも、岩戸を出て左へ行くと、祖父が待っていてくれた。
「お爺ちゃん!」
「おお、怪我はないか?栞さんは腹の子は?」
「平気です。それより何があったのですか?」
「おいおい、俺たちにも説明してくれ」
「秋彪さん。僕も分からないんだ。ただ那智さんの社に出たら二人がいるって聞いたのにお爺ちゃんいるからビックリしちゃった」
「俺と兄貴がついていく予定だったけど、爺さん……いや、御館様がいるからいいかな?」
「なに、爺さんで構わん。確かに雪翔の爺ちゃんじゃからの。儂一人で十分じゃ。お主達は那智と冬弥を頼む」
「分かった。兄貴は航平のとこに行ってくれよ。俺、那智たちのところに行くから」
「あ、ごめんなさい。やっぱり気になって……でも見に行くわけにも行かないし」
「冬弥さんなら、大丈夫だよ。だって、天狐なんだよ?」
「ごめんなさい、やっぱり……雫、那智様に連絡を」
「すぐに……」
雫が消え、栞に狐を出したらダメじゃないのかと聞く。
「使いだけなら平気。すぐに呼んできてくれると思うの。冬弥様なら結界内ならばこの家からでもわかるはず。結界の外も……桜狐ちゃんを探しに行くってことは何かあるのよ」
「何かって……あの男の人がなにかしたのかな……」
「分からないけど、那智様が来てくれたら状況はわかると思う」
栞がガタッと椅子に座ったので、とにかくお茶をと冷たいお茶をテーブルに置き、落ち着いてと声をかける。
「栞さん……」
「ごめんね。出ていく時の冬弥様の顔が何だかピリピリした感じがしたの」
「僕は気が付かなかったけど、栞さんが言うならそうなのかな?」
ガチャっと音がし、那智が駆け込んできたと思ったら、すぐに家から出るように言われる。
「出るってどこに行くの?冬弥さんは?雫ちゃんと桜狐ちゃんは?」
「あいつらは大丈夫だ。俺がここと俺の社を繋げる。俺の社には秋彪と玲がいるから、二人の力で妖街の当主の家までいけ。雪翔、場所はわかるな?」
「分かるけど、ねぇ、何があったの?那智さんは来ないの?」
「冬弥とともに行くから待ってろ。説明はあいつらがしてくれるはずだ」
「那智様!悪狐ですか?それとも陰陽師ですか?」
「どっちもだ!冬弥は無事だ。迎えにいくまであっちにいろ」
「航平ちゃんは?」
「秋彪達二人に任せてある。紫狐、漆様と琥珀様と共に二人を守れ」
「畏まりました」
「小僧も言うようになったねぇ。ま、聞いておいてあげるが、漆は置いていきな。冬弥の助けになる」
「お主が残れば良いだろう?琥珀よ」
「あー、時間が無いので、後で文句は聞きます。後は琥珀様お願いします」
「分かったよ。早く繋いでおくれ」
那智が壁に手を当てると、すぐに岩戸の中とそっくりの場所が現れ、早く行けと言われる。
「この先をまっすぐ行けばすぐにいつもの場所に出る。後で薬も持ってくから心配するな」
そう言って押し込まれ、栞と共に洞窟の中に入れられたと思ったら、見えていた部屋がだんだんと消えてなくなり真っ暗になる。
「えっと、明かりつけますー」
ポンポンポンと狐火がつき、足元と目の前が見えるようになり、とにかく進むしかないと真っ直ぐ進むと、前にも見たことのある門番の人が立っていた。
「あの……」
「お聞きしております。ここから出てすぐ左に進んでください」
どうやって連絡が行ったのだろう?と思いながらも、岩戸を出て左へ行くと、祖父が待っていてくれた。
「お爺ちゃん!」
「おお、怪我はないか?栞さんは腹の子は?」
「平気です。それより何があったのですか?」
「おいおい、俺たちにも説明してくれ」
「秋彪さん。僕も分からないんだ。ただ那智さんの社に出たら二人がいるって聞いたのにお爺ちゃんいるからビックリしちゃった」
「俺と兄貴がついていく予定だったけど、爺さん……いや、御館様がいるからいいかな?」
「なに、爺さんで構わん。確かに雪翔の爺ちゃんじゃからの。儂一人で十分じゃ。お主達は那智と冬弥を頼む」
「分かった。兄貴は航平のとこに行ってくれよ。俺、那智たちのところに行くから」
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