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非日常
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もうこんな時間だと、栞は寝ている気配がするから、二人で厨房に行きましょうと言われ、下宿に向かい、じゃがいもや人参などを剥いていく。
「何作るの?」
「そうですねぇ。今日は15人なのでカレーでいいですかねぇ?」
「海都君たちはいつ帰ってくるの?」
「月末だと聞いてます。隆弘が明日でしたかねぇ?後で確認しないと……来月からまた忙しくなりますねぇ」
「あ!僕、夏期講習行ってない!」
「ついていけてるんでしょう?」
「うん。行く子と行かない子と分かれるみたいだけど、新学期にテストあるんだ……賢司さんいるよね?」
「学校に出勤ですよ?夕方には帰ってくると思いますけど」
「堀内さんは?」
「もういるんじゃないですか?」
「煮込んでる間に連絡しないと……数学と化学……心配だから答え合わせしてもらってもいい?」
「良いですけど、水狐と紫狐付けてくださいね?」
「うん。やっぱり先に連絡してくる!」
「慌ただしいですねぇ……まっ、夕餉は簡単なものですし良しとしましょうか。桜狐……」
「はい」
「ちょっと家の様子を見てきてください。特に結界周りをお願いします」
「分かりました。栞様は?」
「まだ寝ていると思うのでそのままに。雫がいるので大丈夫だと思います」
桜狐を行かせてカレーを仕上げ、サラダの用意をしていると雪翔が戻ってきたので、すべてにラップをかけて冷蔵庫にしまい、連絡は取れたのかと聞く。
「あ、あのね……航平ちゃんからもLINE来てて、英語見てくれるって。だから……」
「良いですよ。仲直りしてきなさい」そう言って頭を撫で、準備は出来たからと鍋に移したカレーを持って家に戻る。
「冬弥様!なんで起こしてくれなかったんですか?」
帰ってからの第一声で栞が怒っていると言うよりは拗ねている感じだったので、雪翔と二人で顔を見合わせて笑う。
「よく寝てましたから。今日はカレーにしましたから、後は少し時間を置いて配膳に行くだけですよ?」
「起こしてくれてたら手伝ったのに……」
「たまにはいいんじゃないですか?それより、桜狐見てません?」
「一度来ましたけど、外を見回ると言って出ていったきりで……遅い……ですよね?」
「見てきますから食事していてください」
冬弥が出ていくのを不安そうに栞が見つめていたので、鍋を手に取りコンロに置いて火をつける。
「あ、雪翔君私がするから」
「いいよ。座ってて。今日は僕がするね」
「ごめんなさい……何だか胸騒ぎがして……」
「大丈夫だよ。あ、でも病院まだ行ってないよね?明日行ってもらわなきゃね」
「そうね。抜糸が終わったら術で傷は塞ぐと思うから、痕は残らないと思うわ」
紫狐に手伝ってもらって、レタスを洗いトマトときゅうりを切って盛り付け、真ん中にシーチキンを置く。
ドレッシングも何種類かあるので、取り敢えずフレンチドレッシングと和風ドレッシングを出しておく。
「カレー温めたよ。しーちゃん、サラダ運んでくれる?」
「はいなー!」
器用にサラダボウルと取り皿を持ってテーブルに置いてからは、コンロが高いからと紫狐が背を大きくしてご飯の上にカレーを掛けてくれる。
「お待ちどー様なのです。確かお料理屋さんで店員さんが言ってましたよね?」
「お待たせしましたって言ってるよ?」
「え?え?そうでしたか?また間違えてしまいましたー」
ポン!といつもの車椅子ほどの大きさに戻り、えへへと頭をポリポリしている所は可愛らしいなと思いつつ、たまにおかしな言葉をどこで覚えてくるのかは未だに謎のまま。
「何作るの?」
「そうですねぇ。今日は15人なのでカレーでいいですかねぇ?」
「海都君たちはいつ帰ってくるの?」
「月末だと聞いてます。隆弘が明日でしたかねぇ?後で確認しないと……来月からまた忙しくなりますねぇ」
「あ!僕、夏期講習行ってない!」
「ついていけてるんでしょう?」
「うん。行く子と行かない子と分かれるみたいだけど、新学期にテストあるんだ……賢司さんいるよね?」
「学校に出勤ですよ?夕方には帰ってくると思いますけど」
「堀内さんは?」
「もういるんじゃないですか?」
「煮込んでる間に連絡しないと……数学と化学……心配だから答え合わせしてもらってもいい?」
「良いですけど、水狐と紫狐付けてくださいね?」
「うん。やっぱり先に連絡してくる!」
「慌ただしいですねぇ……まっ、夕餉は簡単なものですし良しとしましょうか。桜狐……」
「はい」
「ちょっと家の様子を見てきてください。特に結界周りをお願いします」
「分かりました。栞様は?」
「まだ寝ていると思うのでそのままに。雫がいるので大丈夫だと思います」
桜狐を行かせてカレーを仕上げ、サラダの用意をしていると雪翔が戻ってきたので、すべてにラップをかけて冷蔵庫にしまい、連絡は取れたのかと聞く。
「あ、あのね……航平ちゃんからもLINE来てて、英語見てくれるって。だから……」
「良いですよ。仲直りしてきなさい」そう言って頭を撫で、準備は出来たからと鍋に移したカレーを持って家に戻る。
「冬弥様!なんで起こしてくれなかったんですか?」
帰ってからの第一声で栞が怒っていると言うよりは拗ねている感じだったので、雪翔と二人で顔を見合わせて笑う。
「よく寝てましたから。今日はカレーにしましたから、後は少し時間を置いて配膳に行くだけですよ?」
「起こしてくれてたら手伝ったのに……」
「たまにはいいんじゃないですか?それより、桜狐見てません?」
「一度来ましたけど、外を見回ると言って出ていったきりで……遅い……ですよね?」
「見てきますから食事していてください」
冬弥が出ていくのを不安そうに栞が見つめていたので、鍋を手に取りコンロに置いて火をつける。
「あ、雪翔君私がするから」
「いいよ。座ってて。今日は僕がするね」
「ごめんなさい……何だか胸騒ぎがして……」
「大丈夫だよ。あ、でも病院まだ行ってないよね?明日行ってもらわなきゃね」
「そうね。抜糸が終わったら術で傷は塞ぐと思うから、痕は残らないと思うわ」
紫狐に手伝ってもらって、レタスを洗いトマトときゅうりを切って盛り付け、真ん中にシーチキンを置く。
ドレッシングも何種類かあるので、取り敢えずフレンチドレッシングと和風ドレッシングを出しておく。
「カレー温めたよ。しーちゃん、サラダ運んでくれる?」
「はいなー!」
器用にサラダボウルと取り皿を持ってテーブルに置いてからは、コンロが高いからと紫狐が背を大きくしてご飯の上にカレーを掛けてくれる。
「お待ちどー様なのです。確かお料理屋さんで店員さんが言ってましたよね?」
「お待たせしましたって言ってるよ?」
「え?え?そうでしたか?また間違えてしまいましたー」
ポン!といつもの車椅子ほどの大きさに戻り、えへへと頭をポリポリしている所は可愛らしいなと思いつつ、たまにおかしな言葉をどこで覚えてくるのかは未だに謎のまま。
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