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非日常
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「どうして話してくれなかったのかな?海都君と僕の勉強まで見てくれてて……自分の勉強もしなきゃいけなかったのに。無理してたなら、僕も教えてって無理言わなかったのに」
「それ、私も言ったんですよ。そしたら彼、なんて言ったと思います?」
「気にしないとか?」
「いえ、雪翔とその友達が大切だからと言ったんです」
「航平ちゃん優しすぎるよ……」
そう言って今までのことを思い出し、つい涙ぐんでしまう。自分とは違う悩みを抱え、それでも他人のために出来ることをしている航平がすごいと思いながらも、自分は何ができているのだろうとつい考えてしまう。
「雪翔、雪翔は雪翔のままでいいんです。那智が子にすると言った時たしかに不可能だと一瞬思いました。それに那智は子を育てると言う事はないだろうとも思ってましたし」
「なんで那智さんなんだろう?」
「波長があってるとは思いましたよ?それ以外共通点も見当たりませんしねぇ」
「僕ね、反対してるんじゃないんだ。なんて言ったらいいのかわからないけど、焼きもちって言うか、那智さんも航平ちゃんも取られるって言うか……上手く言えないんだけど……」
「那智に懐いてましたからねぇ。その感情は普通だと思いますよ?」
「後、あの寿命の話なんだけど」
「それは私ももっと時間をおいてからと思ってたので、驚きました。契約っていうのは親子関係になり、那智からの気を分けてもらって寿命を伸ばすので、人のままなんですが、昨日今日で決めれる話ではないと思うんです。そこは那智との話し合いの中で決まったことだと思います」
「僕もした方がいいの?」
「それは雪翔が決めることです。私も栞さんも、雪翔の決めたことに何も言うつもりはありませんよ?」
「でも……」
「それと、記憶操作ですが、今回は下宿全体に術をかけます。天狐になったので前より楽に範囲を広げてかけられるので、みんな那智の養子が航平君。私の甥ですね。そして、雪翔の従兄弟のお兄ちゃんとして認識させます」
「うん」
「まだ、会うのは嫌ですか?」
「嫌とかじゃないんだけど、ちゃんと話聞かなかったから、なんだか恥ずかしくって」
「いつも通りしてたらいいと思いますよ?」
「そうする。それと、白と黒に見てもらってた変な男の人なんだけど……この辺うろついてるみたいなんだ」
「しつこいですねぇ。ですが、それ程脅威にも思えませんし、様子を見ましょうか。雪翔も外に出る時は気を付けてくださいね?本当に陰陽師ならば、影は祓われてしまう可能性もありますから」
「でも!社狐は悪いことしてないよ?」
「そうなんですが、皆さんが同じ考えとは限りませんからねぇ」
「あの人言ったんだ。いつか僕があの人に頼る時が来るって」
「なりません。私たちが守ります。ですが、旅行の時の祠ですか?あれは何かあったんですか?」
「骨……最初に見たのは何も感じなかったんだけど、最後に見たの……人の気配?って言うのかな?そんな感じがして、周りが黒い渦に纏われてて気持ち悪くなったんだ」
「私には見えませんでしたが……ちょっと調べておきます。雪翔は必ず学校へ行く時は影を連れていってください。水狐と紫狐がいればいいと思いますが、那智からも煌輝を借りましょう」
「そんなに?」
「用心に越したことは有りませんよ?」
「うん……でもバス停にいるんだ。だからまた会うと思うんだけど。それが式神とかなのか、本人なのかは分からないけど」
「本人が出てこないって所が狡いですよねぇ」
「それ、私も言ったんですよ。そしたら彼、なんて言ったと思います?」
「気にしないとか?」
「いえ、雪翔とその友達が大切だからと言ったんです」
「航平ちゃん優しすぎるよ……」
そう言って今までのことを思い出し、つい涙ぐんでしまう。自分とは違う悩みを抱え、それでも他人のために出来ることをしている航平がすごいと思いながらも、自分は何ができているのだろうとつい考えてしまう。
「雪翔、雪翔は雪翔のままでいいんです。那智が子にすると言った時たしかに不可能だと一瞬思いました。それに那智は子を育てると言う事はないだろうとも思ってましたし」
「なんで那智さんなんだろう?」
「波長があってるとは思いましたよ?それ以外共通点も見当たりませんしねぇ」
「僕ね、反対してるんじゃないんだ。なんて言ったらいいのかわからないけど、焼きもちって言うか、那智さんも航平ちゃんも取られるって言うか……上手く言えないんだけど……」
「那智に懐いてましたからねぇ。その感情は普通だと思いますよ?」
「後、あの寿命の話なんだけど」
「それは私ももっと時間をおいてからと思ってたので、驚きました。契約っていうのは親子関係になり、那智からの気を分けてもらって寿命を伸ばすので、人のままなんですが、昨日今日で決めれる話ではないと思うんです。そこは那智との話し合いの中で決まったことだと思います」
「僕もした方がいいの?」
「それは雪翔が決めることです。私も栞さんも、雪翔の決めたことに何も言うつもりはありませんよ?」
「でも……」
「それと、記憶操作ですが、今回は下宿全体に術をかけます。天狐になったので前より楽に範囲を広げてかけられるので、みんな那智の養子が航平君。私の甥ですね。そして、雪翔の従兄弟のお兄ちゃんとして認識させます」
「うん」
「まだ、会うのは嫌ですか?」
「嫌とかじゃないんだけど、ちゃんと話聞かなかったから、なんだか恥ずかしくって」
「いつも通りしてたらいいと思いますよ?」
「そうする。それと、白と黒に見てもらってた変な男の人なんだけど……この辺うろついてるみたいなんだ」
「しつこいですねぇ。ですが、それ程脅威にも思えませんし、様子を見ましょうか。雪翔も外に出る時は気を付けてくださいね?本当に陰陽師ならば、影は祓われてしまう可能性もありますから」
「でも!社狐は悪いことしてないよ?」
「そうなんですが、皆さんが同じ考えとは限りませんからねぇ」
「あの人言ったんだ。いつか僕があの人に頼る時が来るって」
「なりません。私たちが守ります。ですが、旅行の時の祠ですか?あれは何かあったんですか?」
「骨……最初に見たのは何も感じなかったんだけど、最後に見たの……人の気配?って言うのかな?そんな感じがして、周りが黒い渦に纏われてて気持ち悪くなったんだ」
「私には見えませんでしたが……ちょっと調べておきます。雪翔は必ず学校へ行く時は影を連れていってください。水狐と紫狐がいればいいと思いますが、那智からも煌輝を借りましょう」
「そんなに?」
「用心に越したことは有りませんよ?」
「うん……でもバス停にいるんだ。だからまた会うと思うんだけど。それが式神とかなのか、本人なのかは分からないけど」
「本人が出てこないって所が狡いですよねぇ」
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