下宿屋 東風荘 5

浅井 ことは

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非日常

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お茶を飲んで暫くしてから、やっと那智が口を開き、「昴さんとも話したんだが……」と切り出す。

「昴さんですか?」

「あぁ。まず順を追って話をするとだな、お前も同じだと思うが、なにかの商売をしていると影に歳を取らせながら代替わりしていくだろう?」

「まぁそうなりますねぇ」

「かといって、俺達は不死ではない」

「ええ」

「天狐もなんじゃないか?」

「流石ですねぇ。天狐特有の病気があります。それでも普通の社狐や仙より長生きですが」

「それ何だが、雪翔を養子に貰ったのはいいが、50年後100年後を考えたことはあるか?」

「無い……とはいいません。ですが、これは雪翔の人生にも関わるのでゆっくり考えようと思ってますけど」

「なんの話なの?」

「良いから聞いておけ。でだ、俺が子を持つことをどう思う?」

「那智結婚するんですか!?」

「何でそうなるんだ!」

「いえ、子供でもできたのかと思いまして」

「そんな分けないだろ?」

「それに話が見えないんですよねぇ」とチラリと航平を見る。

暫くすると狐たちが影に戻っていくのが見え、狐からの報告を聞いているのか、那智が小さくわかったといい、冬弥に「上の許可が降りた」と言った。

「許可ですか?天狐ですよねぇ?昴さんが絡んでるなら」

「まぁな。お前が雪翔を子にしたことで、俺は必然的に叔父になった訳だが、そこで若しかしたらって思って旅行中に聞いてたんだ。昴さんも半信半疑で調べてくれるってことになって、何匹か影を連れてってもらってたんだが……」

「で?」

「航平を俺の子にする」

「えぇぇぇぇ!」

「正気ですか!?」

「那智様に子供……」

「なんかおかしい事言ったか?」

「言いまくってるよ!意味わかんない!なんで?だって航平ちゃんは親がいるんだよ?」

「そこは航平が話せ。この手続きも正式にはまだ時間がかかるし、条件付きなんだがな」

「その条件とは?」

「まず、天狐の冬弥の許可。それと、航平は狐関係では無いから、無理だと思ったんだが、雪翔と同じあの伝承の一人とも考えられると言うことで許可が出た。親になるついでに、見張り役もしろってことだな。最後の条件は蹴りたかったんだが、あの人外の薬店あるだろ?」

「ええ。皆さん帰られましたけど、奏太さんたちが頑張ってますよねぇ」

「そのバーで働く事が条件だそうだ。と言っても本来は俺のツケで働けって言われてたのを押し付けたんだが」

「だからと言って何故バーが関係するんです?」

「天狐の一人が面白がったんだよ。俺達もたまに利用するし、仲良くなっておけってことじゃないのか?この国では中立地帯とはいえ、俺たち社狐が仕切ってる部分もあるから、1人置いておきたいのが本音だろう」

「だからバイト辞めるんだ……」

「そこなの?俺達、いとこ同士になるのに?」

「あ、そうだった」

「大学は出てもらうが、大学中に司法試験に合格しておくこと。その知識を生かして俺の会社の顧問弁護士として籍を置くことが航平が子になる条件でもある」
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