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非日常
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軽いものだけ持って家に入り、ただいまとリビングに行くと、航平がキッチンの電球を変えているところだった。
「おかえり。栞さんあと他にあります?」
「そこだけでいいの。ごめんねぇ、いきなり切れちゃったから」
「大丈夫です。それに、妊婦さんがしたら危ないですよ?」
荷物を持って入ってきた冬弥にも、すいませんねぇと航平が言われ、電気がついた所でご飯までゆっくりしてるようにと言われた。
「航平ちゃん、ひーちゃん達出してもいい?」
「いいよ」
いいと言ったらすぐにみんな出てきて、翡翠に至ってはまだ貰っていないご褒美のおやつを航平にねだっている。
「これ上げてもいいのかな?一応動物だからネギとかチョコとかダメなんじゃ……」
「少しなら平気ですー。紫狐達は普通のご飯も食べるので。でもひーちゃんはまだ小さいので、ご飯優先ですー」
「むむー!」
「マシュマロあげるから。それにご飯も食べないとあげないって言ったよね?」
「ひーたんがんばった!」
「雪翔、翡翠にこれあげてください。腕を治してくれたお礼です」
渡されたのはイチゴ1パック。
みんなで分けるようにと言われたが、翡翠の目はもうキラキラしている。
「いちごー!ひーちゃんの!」
「みんなでだから!洗ってあるから、金と銀としーちゃんと分けないとね」
「むむー!」
「俺が食べさせてあげるから、みんなで分けれる?」
「あいっ!」
「ひーちゃんは航平ちゃん好きだよね」
「そう?可愛いよね」
「しーちゃんは恋してるみたいだし」
「紫狐はしてません!」
「そうなの?」
「そうです。紫狐はゆっきーひとすじなのです。航平さんは紫狐たちのこのフリフリダンスについて聞いてくれるので、熱く語ってしまうのですー」
「雪翔も聞いてみたら?話が面白いよ?」
「フリフリダンスについて?僕はいいかな?」
「面白いのに。ね、ひーちゃん」
「あいー!フリフリー、ひーちゃん大変なの!」
「あ、うん。分かった……」
「それよりさ、旅行で昴さん?て天狐の人に色々と聞いて決めたんだけど……」
「なにか話してたよね?」
「俺、9月いっぱいで今のバイトやめようと思って」
「急にどうしたの?だって、大学前のカフェでモテモテなんでしょ?」
「モテたくてやってるわけじゃないし、単にハーフだからみんな興味があるんじゃない?ハーフでも俺みたいにこんな髪の色はしてないし、目の色も本当にハーフ?って位向こう寄り出しさ」
「辞めてどうするの?違う仕事するの?」
「那智さんに話したら、仕事手伝わないかって言われてて。バイト代も入るし、人目にあまりつかないし、そのまま就職もできそうだしね」
「那智さんの会社って?株だっけ?」
「他にも手広くやってるみたいだよ?まぁ、それには条件もいくつかあって、それを冬弥さんに相談しようと思ってるんだ。先に雪翔にはこんな事ありますよって話はしておきたかったからよかったよ」
「航平ちゃん?」
「あ、ごめん。しんみりしちゃったね」
何故か寂しそうな顔を向ける翡翠の頭を撫でながら、無理して笑ってるんじゃないかと思うほど、航平も辛そうに見えた。
「何かあったの?」
「食後に話すから。それよりこれ……ひーちゃんは涎掛けいるんじゃないか?またベトベトだし!」
「おふろ!」
「わざと?わざとなら俺入れてあげないよ?」
ポイっと翡翠を投げてくるので見てみると、口の下から赤い汁が漏れたのか、綺麗な白毛はピンクになっている。
「これちょっとホラーじゃない?何かをがぶって噛んで、ヒッヒッヒッ!美味かったぜーって感じのやつあるじゃん」
「雪翔、その喩えは微妙じゃないか?狐ちゃんだから、変身して狼人間的な映画なかった?」
いやいや、それは人間が……等と盛り上がってると、紫狐がお風呂で洗ってきますーと嫌がる翡翠を抱っこして連れて行ってしまった。
「おかえり。栞さんあと他にあります?」
「そこだけでいいの。ごめんねぇ、いきなり切れちゃったから」
「大丈夫です。それに、妊婦さんがしたら危ないですよ?」
荷物を持って入ってきた冬弥にも、すいませんねぇと航平が言われ、電気がついた所でご飯までゆっくりしてるようにと言われた。
「航平ちゃん、ひーちゃん達出してもいい?」
「いいよ」
いいと言ったらすぐにみんな出てきて、翡翠に至ってはまだ貰っていないご褒美のおやつを航平にねだっている。
「これ上げてもいいのかな?一応動物だからネギとかチョコとかダメなんじゃ……」
「少しなら平気ですー。紫狐達は普通のご飯も食べるので。でもひーちゃんはまだ小さいので、ご飯優先ですー」
「むむー!」
「マシュマロあげるから。それにご飯も食べないとあげないって言ったよね?」
「ひーたんがんばった!」
「雪翔、翡翠にこれあげてください。腕を治してくれたお礼です」
渡されたのはイチゴ1パック。
みんなで分けるようにと言われたが、翡翠の目はもうキラキラしている。
「いちごー!ひーちゃんの!」
「みんなでだから!洗ってあるから、金と銀としーちゃんと分けないとね」
「むむー!」
「俺が食べさせてあげるから、みんなで分けれる?」
「あいっ!」
「ひーちゃんは航平ちゃん好きだよね」
「そう?可愛いよね」
「しーちゃんは恋してるみたいだし」
「紫狐はしてません!」
「そうなの?」
「そうです。紫狐はゆっきーひとすじなのです。航平さんは紫狐たちのこのフリフリダンスについて聞いてくれるので、熱く語ってしまうのですー」
「雪翔も聞いてみたら?話が面白いよ?」
「フリフリダンスについて?僕はいいかな?」
「面白いのに。ね、ひーちゃん」
「あいー!フリフリー、ひーちゃん大変なの!」
「あ、うん。分かった……」
「それよりさ、旅行で昴さん?て天狐の人に色々と聞いて決めたんだけど……」
「なにか話してたよね?」
「俺、9月いっぱいで今のバイトやめようと思って」
「急にどうしたの?だって、大学前のカフェでモテモテなんでしょ?」
「モテたくてやってるわけじゃないし、単にハーフだからみんな興味があるんじゃない?ハーフでも俺みたいにこんな髪の色はしてないし、目の色も本当にハーフ?って位向こう寄り出しさ」
「辞めてどうするの?違う仕事するの?」
「那智さんに話したら、仕事手伝わないかって言われてて。バイト代も入るし、人目にあまりつかないし、そのまま就職もできそうだしね」
「那智さんの会社って?株だっけ?」
「他にも手広くやってるみたいだよ?まぁ、それには条件もいくつかあって、それを冬弥さんに相談しようと思ってるんだ。先に雪翔にはこんな事ありますよって話はしておきたかったからよかったよ」
「航平ちゃん?」
「あ、ごめん。しんみりしちゃったね」
何故か寂しそうな顔を向ける翡翠の頭を撫でながら、無理して笑ってるんじゃないかと思うほど、航平も辛そうに見えた。
「何かあったの?」
「食後に話すから。それよりこれ……ひーちゃんは涎掛けいるんじゃないか?またベトベトだし!」
「おふろ!」
「わざと?わざとなら俺入れてあげないよ?」
ポイっと翡翠を投げてくるので見てみると、口の下から赤い汁が漏れたのか、綺麗な白毛はピンクになっている。
「これちょっとホラーじゃない?何かをがぶって噛んで、ヒッヒッヒッ!美味かったぜーって感じのやつあるじゃん」
「雪翔、その喩えは微妙じゃないか?狐ちゃんだから、変身して狼人間的な映画なかった?」
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