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夏休み~狐一族温泉観光ツアー後編~
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頭を抱えたいのは僕だ!とも言えず、なんとか食事を終わらせて、食後のデザートに手をつける。
「みんなどうしてそんなに悩むの?」
「いえ、確かに白龍達の気を消す力は素晴らしいので、たまに私でも気配を感じないこともありますが、今回は特に注意をしてたのでしょうねぇ。キーホルダーにいる時には、存在などわかるのですが、反応が無かったので気にはなっていたんです。使いに出してたんですか」
「うん」
「その男、危険じゃないのか?」
「敵じゃないって感じだけど、何考えてるのかはわかんない」
「とにかく、この旅行が終わったら一度対策を考えましょうか。私も会ってみたいですけどね」
呑気にそんなことを言ってる横で、京弥も腕を組んで何やら考えていたが、冬弥に任せると言っただけで、なにもいい案が浮かばないと言っていた。
「この後はもうロープウェイに乗るの?」と無理やり話を変え、まだもう一つ奥に展示物があると書いてあったので、そこを見てからロープウェイに乗りましょうと言われ、地図を見ながら航平と何が飾ってあるんだろうねと話してデザートを堪能した。
展示はそれ程広い訳ではなく、こじんまりとした部屋で、この鍾乳洞から発見された物がいくつか飾られていただけだった。
お土産屋さんで、鍾乳洞と書いてある箱のお菓子を二種類買い、学校に持って行くお土産は、仲良くしている山本と小池と新田の分だけでいいだろうと、四種類のキーホルダーを買う。
それぞれ、白虎・青龍・朱雀・玄武のキーホルダーを買い、一つずつ袋に入れてもらう。
その横に四神についての小冊子が置いてあり、300円だったのでそれも購入して、帰りの電車で読もうと鞄の中に入れる。
「お土産はそれだけでいいんですか?」
「山本君にも買ったんだけど、棟梁にも渡してもらおうと思ってお菓子買ったよ」
「下宿の子達のは私たちが買いますから。もう一つのお菓子は?」
「これはしーちゃんやひーちゃんで食べる用。白や黒にもあげたいんだ」
「喜ぶと思います。秋彪たちのはどうします?」
「何がいいんだろう?」
「なんでも食べますけど、玲の好みはわからないですからねぇ」
「洞窟クッキーじゃ駄目なの?」
「そうしましょうか。茶菓子にでもするでしょう」
帰りはロープウェイで降りると決まっていたので、二手に別れて順番を待ち乗り込む。
那智・航平・夏樹・冬弥の両親・三郎・周太郎・冬弥・栞。
自分を入れて10人。
先にほかのみんなが乗ったので、次に来たロープウェイに乗り、扉が閉まる。
「高い……」
「見晴らしいいですよねぇ」
「窓は開かんのか?」
「お爺さん大人しくしててくださいよ?」
「誰?揺らすの!」
それぞれ思い思いに口にするが、一番気になるのは前に乗っている昴。
なにかの術を使ったのだろうが、しっかりと屋根の上に乗っている。
「なんで乗り物は屋根なの?落ちないかな?」
「落ちませんよ。普段は浮遊城で暮らしてますから、このくらいの高さは平気なんでしょうね」
「儂も高さは気にならんぞ?」
「お爺ちゃんダメだからね?絶対外に出ないでね?」
「折角なのにか?あっちのロープウェイはこんなに高くないし、すぐに着くからつまらんのじゃが……」
「叔父上、こちらの乗り物は揺れも少ないですね」
「そうじゃな。それにあちらのは小さいからのぅ」
「移動用ですから仕方ありませんよ。それに私達には必要ないでしょう?」
「確かにな」
「でも、街のみんなには必要なんでしょ?」
「そりゃそうだ。歩くより早いからのぅ。電車もできたら良いのじゃが、電気が無くてはな」
「あ、電気なんですけど……冷蔵庫ありましたよね?あれはどうやって使ってるんですか?」
「京弥が持ってきたから私達にはよくわからないの。何か後ろに取り付けてたみたいよ?」
「航平ちゃん、今度見せてもらえば?」
「そうだな。冬弥さん、俺また行けますか?」
「ええ、行けますよ。ただし雪翔の休みに合わせてですけどね」
「じゃあ、次は冬休み?」
「航平ちゃんはお母さんとかお父さんのところに帰らなくていいの?」
「うん、しばらくは帰りたくないって言うより帰れないって感じかな」
遠くを見て話す航平がちょっとさみしそうに見え、それから声はかけなかったが、冬弥の顔を見ると何か知ってるような顔つきをしていた。
「みんなどうしてそんなに悩むの?」
「いえ、確かに白龍達の気を消す力は素晴らしいので、たまに私でも気配を感じないこともありますが、今回は特に注意をしてたのでしょうねぇ。キーホルダーにいる時には、存在などわかるのですが、反応が無かったので気にはなっていたんです。使いに出してたんですか」
「うん」
「その男、危険じゃないのか?」
「敵じゃないって感じだけど、何考えてるのかはわかんない」
「とにかく、この旅行が終わったら一度対策を考えましょうか。私も会ってみたいですけどね」
呑気にそんなことを言ってる横で、京弥も腕を組んで何やら考えていたが、冬弥に任せると言っただけで、なにもいい案が浮かばないと言っていた。
「この後はもうロープウェイに乗るの?」と無理やり話を変え、まだもう一つ奥に展示物があると書いてあったので、そこを見てからロープウェイに乗りましょうと言われ、地図を見ながら航平と何が飾ってあるんだろうねと話してデザートを堪能した。
展示はそれ程広い訳ではなく、こじんまりとした部屋で、この鍾乳洞から発見された物がいくつか飾られていただけだった。
お土産屋さんで、鍾乳洞と書いてある箱のお菓子を二種類買い、学校に持って行くお土産は、仲良くしている山本と小池と新田の分だけでいいだろうと、四種類のキーホルダーを買う。
それぞれ、白虎・青龍・朱雀・玄武のキーホルダーを買い、一つずつ袋に入れてもらう。
その横に四神についての小冊子が置いてあり、300円だったのでそれも購入して、帰りの電車で読もうと鞄の中に入れる。
「お土産はそれだけでいいんですか?」
「山本君にも買ったんだけど、棟梁にも渡してもらおうと思ってお菓子買ったよ」
「下宿の子達のは私たちが買いますから。もう一つのお菓子は?」
「これはしーちゃんやひーちゃんで食べる用。白や黒にもあげたいんだ」
「喜ぶと思います。秋彪たちのはどうします?」
「何がいいんだろう?」
「なんでも食べますけど、玲の好みはわからないですからねぇ」
「洞窟クッキーじゃ駄目なの?」
「そうしましょうか。茶菓子にでもするでしょう」
帰りはロープウェイで降りると決まっていたので、二手に別れて順番を待ち乗り込む。
那智・航平・夏樹・冬弥の両親・三郎・周太郎・冬弥・栞。
自分を入れて10人。
先にほかのみんなが乗ったので、次に来たロープウェイに乗り、扉が閉まる。
「高い……」
「見晴らしいいですよねぇ」
「窓は開かんのか?」
「お爺さん大人しくしててくださいよ?」
「誰?揺らすの!」
それぞれ思い思いに口にするが、一番気になるのは前に乗っている昴。
なにかの術を使ったのだろうが、しっかりと屋根の上に乗っている。
「なんで乗り物は屋根なの?落ちないかな?」
「落ちませんよ。普段は浮遊城で暮らしてますから、このくらいの高さは平気なんでしょうね」
「儂も高さは気にならんぞ?」
「お爺ちゃんダメだからね?絶対外に出ないでね?」
「折角なのにか?あっちのロープウェイはこんなに高くないし、すぐに着くからつまらんのじゃが……」
「叔父上、こちらの乗り物は揺れも少ないですね」
「そうじゃな。それにあちらのは小さいからのぅ」
「移動用ですから仕方ありませんよ。それに私達には必要ないでしょう?」
「確かにな」
「でも、街のみんなには必要なんでしょ?」
「そりゃそうだ。歩くより早いからのぅ。電車もできたら良いのじゃが、電気が無くてはな」
「あ、電気なんですけど……冷蔵庫ありましたよね?あれはどうやって使ってるんですか?」
「京弥が持ってきたから私達にはよくわからないの。何か後ろに取り付けてたみたいよ?」
「航平ちゃん、今度見せてもらえば?」
「そうだな。冬弥さん、俺また行けますか?」
「ええ、行けますよ。ただし雪翔の休みに合わせてですけどね」
「じゃあ、次は冬休み?」
「航平ちゃんはお母さんとかお父さんのところに帰らなくていいの?」
「うん、しばらくは帰りたくないって言うより帰れないって感じかな」
遠くを見て話す航平がちょっとさみしそうに見え、それから声はかけなかったが、冬弥の顔を見ると何か知ってるような顔つきをしていた。
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