下宿屋 東風荘 5

浅井 ことは

文字の大きさ
上 下
45 / 76
夏休み~狐一族温泉観光ツアー後編~

.

しおりを挟む
そのまま進むとやはり朱雀の時と同じで、青龍も壁一面にライトアップされ今にも動き出しそうにリアルに描かれているように見える。

「雪翔、あの隅っこの方見える?」

「うん。岩見たいになってるね」

「真ん中に星のマークが書いてあるのが見えるんだけど。丁度雪翔の首にあるみたいなやつ」

冬弥も栞も乗り出して見ていて、青にライトが変わった時だけ真ん中のマークが見える。

「何だろう?朱雀のところにもあったのかな?」

「三郎」

「はい、確認して来ます」

三郎が見に行ってる間に、何度かライトの色が変わり、それでも青の時にしか見えず、それもとても小さなマークだった。

「星の周りが光って見える」

「私たちには普通に見えますけど……」

「雪翔君の力と関係あるのかしら?」

「でも、何も僕には変化はないよ?」

「不思議ですねぇ……残り二つの洞窟にもあるかもしれませんね」

三郎が帰ってきて聞くと、やはり赤のライトのときに見えるそうだが、気をつけてみないと分からないほどだったという。

玄武は白、白虎は黄色がメインの色になっていて、やはり壁のライトアップ横の石には星のマークが出ていた。

「なにか意味があるのかな?」

「首の後ろが熱くなるとかないですか?」

「全然……何にもない。普通だよ?」

「でも全部にあるというのは気にはなりますよねぇ」

「いつごろ発見されたって言うのは書いてあるけど、他は何も書かれてないからわかんないね」

そんなことを話しながら、待ち合わせ場所で待っていると、みんながちょっとこいと手招きしている。

「なに?」

「雪翔、そこの出口にも祠があったのみたか?」

「あったっけ?」

「今度は猿のミイラって書いてあるぞ?絶対に猿じゃないと思うがな」

あまりにも自信満々に那智と夏樹が言うので、祠まで戻って置いてあるミイラを見る。

「こんなところにあったら分かりにくいよね」

「その割には小銭が結構投げ込まれてるけどな」

言われた猿らしきミイラを見てゾクッとし、隣にいた那智のズボンをつい引っ張ってしまう。

「どうした?」

「この骨……猿じゃないと思う……」

「そうか?」

「だが、立て札には猿のミイラって書いてあるけどな。偽物としても、骨の形的には小猿って感じじゃないか?」

「干からびて小さくなったとしても、カッパと言い小さいが、気ももうないからわからないしな。兄貴わかるか?」

「全然」

「ねえ、もう行こうよ!何か僕ここ嫌だ……」

ごねていると、冬弥と昴が来たのでさっきの話をする。天狐なら何かわかるかもしれないと思って話したのだが、やはり気がないからわからないと言うので、とにかく離れたいと伝える。

「雪翔もそう言ってますし、お昼にしましょう。父上達はもう中に入っちゃいましたよ?」

「那智さん、夏樹さん早く!」

「分かったよ。ほら行くぞ」と夏樹が車椅子を押してくれる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

下宿屋 東風荘 4

浅井 ことは
キャラ文芸
下宿屋 東風荘4 ☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:.. 大きくなった下宿に総勢20人の高校生と大学生が入ることになり、それを手伝いながら夜間の学校に通うようになった雪翔。 天狐の義父に社狐の継母、叔父の社狐の那智に祖父母の溺愛を受け、どんどん甘やかされていくがついに反抗期____!? ほのぼの美味しいファンタジー。 ☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:.. 表紙・挿絵:深月くるみ様 イラストの無断転用は固くお断りさせて頂いております。 ☆マークの話は挿絵入りです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

便利屋ブルーヘブン、営業中。~そのお困りごと、大天狗と鬼が解決します~

卯崎瑛珠
キャラ文芸
とあるノスタルジックなアーケード商店街にある、小さな便利屋『ブルーヘブン』。 店主の天さんは、実は天狗だ。 もちろん人間のふりをして生きているが、なぜか問題を抱えた人々が、吸い寄せられるようにやってくる。 「どんな依頼も、断らないのがモットーだからな」と言いつつ、今日も誰かを救うのだ。 神通力に、羽団扇。高下駄に……時々伸びる鼻。 仲間にも、実は大妖怪がいたりして。 コワモテ大天狗、妖怪チート!?で、世直しにいざ参らん! (あ、いえ、ただの便利屋です。) ----------------------------- ほっこり・じんわり大賞奨励賞作品です。 アルファポリス文庫より、書籍発売中です!

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

処理中です...