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夏休み~狐一族温泉観光ツアー後編~
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エレベーターが開くと、外とは違いヒヤッとした空気に包まれる。
「寒い位だね……」
「そうですね。あかりも最小限ですし、皆さんまだのようですが待たれますか?」
「うん」
「あ、看板あるよ?」
そう言って看板を見ると、一周するのに大体15分程度と書いてあり、その奥の鍾乳洞は10分と書いてあった。
「そんなに大きくないのかな?」
「歩いて回ればその程度ということだと思いますよ?ここから少し見えますが、明かりの色が青・赤・黄色・緑・紫と変わってますから、それを楽しむ人は長い時間いると思います」
「どこ?」
指を指してもらった方を見ると、確かに色がゆっくりと変わっていってる。
「お待たせしましたか?」
「大丈夫。ね、見て見て!」
冬弥に色が変わっていくところを見せると、不思議な感じですねぇと、興味津々のようだった。
もちろん、男集がそれに黙っているはずもなく、行くぞ!と急かしてくる。
「では行きましょうか」
「私も雪翔君と同じ道で行くわ。滑るから危ないし」
「そうですねぇ。母上たちはどうされます?」
「折角だから私達は降りてみてくるわ。それにしても冬のような寒さね」
那智の母親が上着を持ってきたら良かったと言っている横で、着物は暖かいですよ?とおすすめしているお婆ちゃん達も強者だと思いながら、後で真ん中で落ち合うことを告げてスロープで進んでみていく。
最初に書いてある看板は『朱雀』
「朱雀だって。どんなんだろう?」
「赤が基調の様ですね。それにしても石筍が凄いです」
「あ、なにか小さいのがある。隙間にもできてるんだ」
そこも赤を貴重にうすいピンクから白にまで色が変わりとても綺麗だった。
「石筍の赤ちゃんみたい」
まだ小さいものを見て、そう言い先に進むと、大きく区切られたところに朱雀と書かれていた。
真ん中を赤く照らし、その周りは色とりどりに照明が当てられ、動き出すかのように翼を広げた鳳凰が一枚の絵のようにかかっている。
「凄い、僕本でしか見たことないよ……」
「私もです。これはちょっと鍾乳洞の水滴で自然に作られたように見えますが違いますね」
「違うって?でも彫った感じないよ?」
「人間が見たら自然にできたとしか思えないでしょうが、多分昔の……何でしたっけ?遺跡みたいなところに書かれてた絵とかあるじゃないですか。あのような時代に彫られたんだと思いますよ?それが、水滴で長年上手く当たったのか計算されたのか分かりませんけど、周りと融合したとしか思えませんねぇ」
「冬弥様、そんな事出来るんですか?」
「出来ると思いますよ?こういったことに長けた力は雪翔や航平君辺りが近いと思います」
良く見ると、ちゃんと嘴や目もあり、広げた翼は羽の1枚1枚までよく見るとわかる。
言われると『彫った』と言った方がしっくりくるが、遺跡では絵が多少残っているだけで、本で見た記憶と合わせても、こちらの方がずっとリアルに見える。
「寒い位だね……」
「そうですね。あかりも最小限ですし、皆さんまだのようですが待たれますか?」
「うん」
「あ、看板あるよ?」
そう言って看板を見ると、一周するのに大体15分程度と書いてあり、その奥の鍾乳洞は10分と書いてあった。
「そんなに大きくないのかな?」
「歩いて回ればその程度ということだと思いますよ?ここから少し見えますが、明かりの色が青・赤・黄色・緑・紫と変わってますから、それを楽しむ人は長い時間いると思います」
「どこ?」
指を指してもらった方を見ると、確かに色がゆっくりと変わっていってる。
「お待たせしましたか?」
「大丈夫。ね、見て見て!」
冬弥に色が変わっていくところを見せると、不思議な感じですねぇと、興味津々のようだった。
もちろん、男集がそれに黙っているはずもなく、行くぞ!と急かしてくる。
「では行きましょうか」
「私も雪翔君と同じ道で行くわ。滑るから危ないし」
「そうですねぇ。母上たちはどうされます?」
「折角だから私達は降りてみてくるわ。それにしても冬のような寒さね」
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最初に書いてある看板は『朱雀』
「朱雀だって。どんなんだろう?」
「赤が基調の様ですね。それにしても石筍が凄いです」
「あ、なにか小さいのがある。隙間にもできてるんだ」
そこも赤を貴重にうすいピンクから白にまで色が変わりとても綺麗だった。
「石筍の赤ちゃんみたい」
まだ小さいものを見て、そう言い先に進むと、大きく区切られたところに朱雀と書かれていた。
真ん中を赤く照らし、その周りは色とりどりに照明が当てられ、動き出すかのように翼を広げた鳳凰が一枚の絵のようにかかっている。
「凄い、僕本でしか見たことないよ……」
「私もです。これはちょっと鍾乳洞の水滴で自然に作られたように見えますが違いますね」
「違うって?でも彫った感じないよ?」
「人間が見たら自然にできたとしか思えないでしょうが、多分昔の……何でしたっけ?遺跡みたいなところに書かれてた絵とかあるじゃないですか。あのような時代に彫られたんだと思いますよ?それが、水滴で長年上手く当たったのか計算されたのか分かりませんけど、周りと融合したとしか思えませんねぇ」
「冬弥様、そんな事出来るんですか?」
「出来ると思いますよ?こういったことに長けた力は雪翔や航平君辺りが近いと思います」
良く見ると、ちゃんと嘴や目もあり、広げた翼は羽の1枚1枚までよく見るとわかる。
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