下宿屋 東風荘 5

浅井 ことは

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夏休み~狐一族温泉観光ツアー前編~

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料理が運ばれてきて、ごゆっくりと言われ、まずは前菜から。

「何だろう?豆腐?」

「さぁ?そう見えるけど……」

「あ、忘れちゃいけません!今回はですねぇ、雪翔のお手柄なんです」

「雪翔がか?」

「ええ、車が止まった時に、金と銀で周りを調べて、白龍と黒龍で我々を守ってくれたんです。もちろん一般の方も全員ですよ?重次や周太郎たちもその指示に従っただけなので、何も悪くは無いですし、私が気付いたので運転手を助けに行ってこのザマです。なので、雪翔のおかげで私以外無傷ですんだんです。はい、拍手!」

おお、とみんな拍手してくれるが、大げさに言いすぎだと冬弥に文句を言う。

金と銀、翡翠も頑張った御褒美として、出ていてもいいと言われ、御褒美にと皆からいろんなものを少しずつもらっている。

「失礼します」

襖が開いてかなり年配のおじさんが三人と添乗員さんが入ってきた。

「このたびは誠に申し訳ございませんでした」

そう深々と頭を下げられる。

今回のことの調査と治療費の話は後日改めてとの事となり、今回はこのふつうのコースを特別コースに変えて振舞ってくれるとの事だった。

それとは別に、ただでさえ宿泊無料で団体なのに、どこでも使える無期限の旅行チケットまでもらってしまった。

「お食事中失礼しました」

そう言って出ていってからは、更にどんちゃん騒ぎとなり、特におじいちゃん兄弟はもう止めることが出来ず、祖母三人は洋服や生まれてくる子の話で盛り上がり、昴さんは航平が気に入ったのか、那智と夏樹も混ぜて飲んでいる。

「坊っちゃま」

「周太郎さん、怪我ないよね?」

「はい。三郎たちも少し落ち込んでおりまして……」

「みんなのせいじゃないのに。重次さんとあの二人あわせて三人暗い!呼んできて」

周太郎にお膳ごと移動してくるように言ってもらい、みんな暗すぎ!と言って楽しんでくれないともうみんなと喋らない!とまで言ったらやっと普通に戻ってくれた。

「冬弥さん、しーちゃんは?」

「出します?」

「うん、そろそろ盛り上がってるから、あれ見せてあげたらどうかなって」

「あらやだ!だったらお着替えしなきゃ!金ちゃん銀ちゃんは自分でお着替えできるわね?」

「うん!」

栞がみんなを奥につれて行って、翡翠と紫狐も着替え、一番前の席にあるカラオケのできるスペースに移動する。

「何が始まるんだい?」

「京弥さん、みててね?みんな頑張ってたから」

何故かカラオケにも曲が入っており、航平が入れるとちゃんとマイクを持ってみんながお揃いのTシャツに、かぼちゃパンツのような虎柄のパンツを履き、音楽に合わせて踊っている。

「おにぃーの『ぱんちゅ』はいいぱんつぅー。『つおいぞぉー』強いぞー!ごねぇーんたっても破れないー。『つおいぞぉー』強いぞー!はこうはこう鬼の『ぱんちゅぅー』はこうはこう鬼の『ぱんちゅ』フリフリフリフリフリフリフリフリーーーー!みんなではこう鬼の『ぱんちゅ!』ヘイ!」
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