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夏休み~狐一族温泉観光ツアー前編~
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京弥は短い時間で上手く絵を書いていき、夏樹は見たことのない動物に興奮している。
「あ、次はキリンだって!ここは草食動物エリアみたいだね」
「猛獣はまだなのか?」
「最後の方で餌とかあげれるみたいだよ?この中からだけど」
「この檻からか?出たらダメなのか?」
「危ないもん」
「チッ!」
「那智さんが居たら二人で出ていきそう」
「那智は冬弥と途中で来るって言ってたぞ?」
「途中から乗れないのにどうやって来るの?」
「術でも使うんだろう?小賢しいことは冬弥の得意分野だからな」
「夏樹さんと京弥さんは使わないの?」
「使えないことはないが、こっちの世界は実習できただけだからあまり使わないんだ。俺たちは社組じゃなくて、えーと、キャリア組だから?」
「あ、学校出て試験受けて上に行くって聞いたよ?」
「それそれ。私も夏樹も試験で上に行ったけど、ちゃんと術の試験もあるんだよ。だから使えない訳では無いけど、冬弥たちの方がこちらに慣れてるからね、任せた方が間違いがないと思うんだよ」
「何だかややこしいんだね。あ、見てみてキリンだよ。大きい!近い!」
「雪翔、北海道も動物園行ったんじゃなかった?」
「行ったよ?ペンギンが可愛かった。でも、動物は結構遠くてこんなに近くなかったもん」
「あの、狐の国にはこういったものは無いんですか?」
「無いな……京弥作ってくれ」
「無理だよ。こんなに沢山居ないし、我々が捕食されてしまう」
「捕食?」
「基本は匂いとか狐だからね」
「じゃあ、今も危ないの?」
「普段は匂いを消してるよ?」
「僕達も匂いがするのかな?」
そう言って航平の腕をクンクンと嗅ぐ。
「おい、なんで俺?」
「隣だから?」
「本当にふたりは兄弟みたいだね。航平君も冬弥の子になっちゃえばいいのに」
「航平ちゃんがお兄ちゃんなら僕も嬉しいけど、それは無理でしょ?条件があるとか言ってたの聞いたことあるよ?」
「俺も雪翔の兄なら嬉しいけど……多分無理だろうな」
「私が一度調べましょうか?」
「お願いします」
「ちょ、ちょっと!なんで京弥さんに頼んでるの?」
「調べてもらうだけだし」
「おい、きりんも象も過ぎたぞ?次はなんだ?」
パンフレットのコースを見て、次は湿地帯のカバやワニだと言うと、そろそろだなと夏樹がいう。
「そろそろ?」
「冬弥達だ」
「夏樹さんは『那月』に変えないの?」
「俺は気にしてないからな。那智は我儘なんだよ」
「そうですか?冬弥よりいい子ですよ?」
「なんなら変えるか?」
「それも面白いですねぇ。旅行中弟交換します?」
ちょっと面白いと思いつつ、この二人も似たもの同士かもと思い、段々とジャングルに入っていくのを窓から見る。
外の木々には猿に似た動物や鳥もいて、日本なのに外国に来た気分になり、早く見れないかなと動物のいるポイントで止まるのを待つ。
「あ、次はキリンだって!ここは草食動物エリアみたいだね」
「猛獣はまだなのか?」
「最後の方で餌とかあげれるみたいだよ?この中からだけど」
「この檻からか?出たらダメなのか?」
「危ないもん」
「チッ!」
「那智さんが居たら二人で出ていきそう」
「那智は冬弥と途中で来るって言ってたぞ?」
「途中から乗れないのにどうやって来るの?」
「術でも使うんだろう?小賢しいことは冬弥の得意分野だからな」
「夏樹さんと京弥さんは使わないの?」
「使えないことはないが、こっちの世界は実習できただけだからあまり使わないんだ。俺たちは社組じゃなくて、えーと、キャリア組だから?」
「あ、学校出て試験受けて上に行くって聞いたよ?」
「それそれ。私も夏樹も試験で上に行ったけど、ちゃんと術の試験もあるんだよ。だから使えない訳では無いけど、冬弥たちの方がこちらに慣れてるからね、任せた方が間違いがないと思うんだよ」
「何だかややこしいんだね。あ、見てみてキリンだよ。大きい!近い!」
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「行ったよ?ペンギンが可愛かった。でも、動物は結構遠くてこんなに近くなかったもん」
「あの、狐の国にはこういったものは無いんですか?」
「無いな……京弥作ってくれ」
「無理だよ。こんなに沢山居ないし、我々が捕食されてしまう」
「捕食?」
「基本は匂いとか狐だからね」
「じゃあ、今も危ないの?」
「普段は匂いを消してるよ?」
「僕達も匂いがするのかな?」
そう言って航平の腕をクンクンと嗅ぐ。
「おい、なんで俺?」
「隣だから?」
「本当にふたりは兄弟みたいだね。航平君も冬弥の子になっちゃえばいいのに」
「航平ちゃんがお兄ちゃんなら僕も嬉しいけど、それは無理でしょ?条件があるとか言ってたの聞いたことあるよ?」
「俺も雪翔の兄なら嬉しいけど……多分無理だろうな」
「私が一度調べましょうか?」
「お願いします」
「ちょ、ちょっと!なんで京弥さんに頼んでるの?」
「調べてもらうだけだし」
「おい、きりんも象も過ぎたぞ?次はなんだ?」
パンフレットのコースを見て、次は湿地帯のカバやワニだと言うと、そろそろだなと夏樹がいう。
「そろそろ?」
「冬弥達だ」
「夏樹さんは『那月』に変えないの?」
「俺は気にしてないからな。那智は我儘なんだよ」
「そうですか?冬弥よりいい子ですよ?」
「なんなら変えるか?」
「それも面白いですねぇ。旅行中弟交換します?」
ちょっと面白いと思いつつ、この二人も似たもの同士かもと思い、段々とジャングルに入っていくのを窓から見る。
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