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夏休み~狐一族温泉観光ツアー前編~
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みんなで食べた後は片付けをし、早めに就寝して早起きをする。
「おはよう。航平ちゃんおきてよ」
「ん?あぁ。雪翔に起こされるってことはまた眠れなかったんだろ?」
「うん、あんまり。だってどこに行くのかドキドキしちゃって眠れなかったんだもん」
「今何時?」
「六時半だよ」
「早くないか?」
「だって……」
とにかく顔を洗ってきてくれと言って、荷物を玄関に置いてからリビングに行くと、冬弥が新聞を読んでいた。
「冬弥さんおはよう 」
「おはよう。早いですねぇ」
「航平ちゃんも起こしちゃった!」
「まだ時間はありますよ?」
「分かってるんだけど。ねえ、天満の所まで一気に行けないの?」
「昴さんと私の力でしたら一瞬なんですけど、荷物と人数的に中継していく方が楽なんですよ」
「そうなんだ。僕も出来たらいいのになぁ」
「出来ないんですかね?」
「分かんない。でも、あの感覚がまだ忘れられないんだ」
「コンテストの時のですか?」
「そう。怖くなかったし、気持ちよかったんだよ?」
「それなんですけど、若しかしたら姿を消してできないんですかね?って兄と少し話してたんですけどね、白龍と黒龍と一度ちゃんと話した方がいいと思いますよ?」
「うん、旅行中も何度か話しかけてみる」
「それと、栞さんなんですけど……」
「何かあったの?」
「最近少しお腹が張ると言ってましてねぇ。幸さんの時もよく似たことを聞いたので、ちょっと気をつけてあげてください。あ、内緒ですよ?」
「わかった。お婆ちゃん達もいるからこっそり話しておくね」
「お願いします。じゃぁ、朝ごはんにします?」
「僕、糠漬け出してくる」
最近はもう匂いにもなれ、ぬか床を混ぜたり出したりしても平気になり、つけるのも楽しくなってきていた。
「くさっ!」
「糠漬けだよ?」
「そんなに匂いするんだ……あ、おはようございます。俺もなにか手伝いましょうか?」
「大丈夫ですよ。温めるだけですから」
炊きたてのご飯に、じゃがいものお味噌汁。糠漬けに卵焼き。残りの煮物を出したところで栞が降りてきて、航平が荷物を下ろすのを手伝っている。
「多くない?」
「だって!服が決まらないんですもの。お母様たちお洒落だし、うちの母大丈夫かしらって昨日あまり眠れなくて……」
「普通でいいのに。動きやすい服が1番だと思うよ?」
「分かってはいるんだけど……」
「帰りは送りますし、女性は荷物が多いって言いますから」
では行きましょうかと言う冬弥の1言で待ち合わせ場所に向かうと、既にみんな来ていて「遅い!」と言われてしまう。
「お爺ちゃん!お婆ちゃん!」と言うと、すぐにニコニコしだして、さっきまで遅いと言っていたのが嘘のようだった。
「みんな揃ったか?」
「昴さん、早すぎです。こちらには妊婦もいるんですよ?」
「すまんすまん、俺もこちらの温泉なんて数100年ぶりだからついな」
ついじゃないです!と文句を言いつつも、九人ずつに別れ、それぞれポイントまで飛ぶ。
飛ぶたびに航平ちゃんが「異空間移動なのか?」と聞いていたが、それはちょっと違うと一言で済まされ、数回飛んで天満の路地に入る。
「さてと。ここから温泉まで一気に行けるんですけど、奏太君がまだですね」
「そやつは何者じゃ?」
「人です。と思っていたら天界と幻界のハーフでしてね、今は天界の王子です」
「そ奴が繋げてくれるのか?」
「昴さん、興味深々でしょう?」
「まぁな、めったにお目にかかれん連中だし、ここは姫さんが薬屋やってたんじゃないのか?」
「色々とあちらも大変みたいですよ?」
「おはよう。航平ちゃんおきてよ」
「ん?あぁ。雪翔に起こされるってことはまた眠れなかったんだろ?」
「うん、あんまり。だってどこに行くのかドキドキしちゃって眠れなかったんだもん」
「今何時?」
「六時半だよ」
「早くないか?」
「だって……」
とにかく顔を洗ってきてくれと言って、荷物を玄関に置いてからリビングに行くと、冬弥が新聞を読んでいた。
「冬弥さんおはよう 」
「おはよう。早いですねぇ」
「航平ちゃんも起こしちゃった!」
「まだ時間はありますよ?」
「分かってるんだけど。ねえ、天満の所まで一気に行けないの?」
「昴さんと私の力でしたら一瞬なんですけど、荷物と人数的に中継していく方が楽なんですよ」
「そうなんだ。僕も出来たらいいのになぁ」
「出来ないんですかね?」
「分かんない。でも、あの感覚がまだ忘れられないんだ」
「コンテストの時のですか?」
「そう。怖くなかったし、気持ちよかったんだよ?」
「それなんですけど、若しかしたら姿を消してできないんですかね?って兄と少し話してたんですけどね、白龍と黒龍と一度ちゃんと話した方がいいと思いますよ?」
「うん、旅行中も何度か話しかけてみる」
「それと、栞さんなんですけど……」
「何かあったの?」
「最近少しお腹が張ると言ってましてねぇ。幸さんの時もよく似たことを聞いたので、ちょっと気をつけてあげてください。あ、内緒ですよ?」
「わかった。お婆ちゃん達もいるからこっそり話しておくね」
「お願いします。じゃぁ、朝ごはんにします?」
「僕、糠漬け出してくる」
最近はもう匂いにもなれ、ぬか床を混ぜたり出したりしても平気になり、つけるのも楽しくなってきていた。
「くさっ!」
「糠漬けだよ?」
「そんなに匂いするんだ……あ、おはようございます。俺もなにか手伝いましょうか?」
「大丈夫ですよ。温めるだけですから」
炊きたてのご飯に、じゃがいものお味噌汁。糠漬けに卵焼き。残りの煮物を出したところで栞が降りてきて、航平が荷物を下ろすのを手伝っている。
「多くない?」
「だって!服が決まらないんですもの。お母様たちお洒落だし、うちの母大丈夫かしらって昨日あまり眠れなくて……」
「普通でいいのに。動きやすい服が1番だと思うよ?」
「分かってはいるんだけど……」
「帰りは送りますし、女性は荷物が多いって言いますから」
では行きましょうかと言う冬弥の1言で待ち合わせ場所に向かうと、既にみんな来ていて「遅い!」と言われてしまう。
「お爺ちゃん!お婆ちゃん!」と言うと、すぐにニコニコしだして、さっきまで遅いと言っていたのが嘘のようだった。
「みんな揃ったか?」
「昴さん、早すぎです。こちらには妊婦もいるんですよ?」
「すまんすまん、俺もこちらの温泉なんて数100年ぶりだからついな」
ついじゃないです!と文句を言いつつも、九人ずつに別れ、それぞれポイントまで飛ぶ。
飛ぶたびに航平ちゃんが「異空間移動なのか?」と聞いていたが、それはちょっと違うと一言で済まされ、数回飛んで天満の路地に入る。
「さてと。ここから温泉まで一気に行けるんですけど、奏太君がまだですね」
「そやつは何者じゃ?」
「人です。と思っていたら天界と幻界のハーフでしてね、今は天界の王子です」
「そ奴が繋げてくれるのか?」
「昴さん、興味深々でしょう?」
「まぁな、めったにお目にかかれん連中だし、ここは姫さんが薬屋やってたんじゃないのか?」
「色々とあちらも大変みたいですよ?」
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