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夏休み~狐一族温泉観光ツアー前編~
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「え、漆さん達も?」
「いかんのか?翡翠は喜んでおるぞ?」
「いえ、珍しいなと思っただけですっ!」
「そうじゃ、あのプラチナブロンドの坊主をここへ呼んでくれぬか?」
「航平ちゃん?どうして?」
「少し興味があるだけだ。何もしない」
わかったと返事をし、航平にリビングに行くように説明すると、普通に漆たちの隣に座り挨拶をしている。
「漆相手に平然としてますねぇ」
「航平ちゃんて、怖いもの知らずというか、なんと言うか……」
「時には良いことと思いますよ?私達も食べてしまいましょうか。水狐、カレーの用意してリビングに持っていってください。金と銀のは小さめの器ですよ」
「冬弥様、我らは……」
「あちらに持っていったらみんなも食べてください。翡翠にいちごだけ触らせないでくださいね?」
「はい。もう籃狐が冷蔵庫の中に隠しました」
そう言ってカレーをよそって配ってくれる。
最近車の運転をしているのを見たことがないが、ちゃんとエプロンに車の絵がついているので、誰かが刺繍したのだろう。
いただきますと手を合わせてご飯を食べながらも、つい、リビングの方が気になりチラチラとそちらを見てしまうが、自分が想像していたのと全く違い、航平は紫狐と一緒に翡翠の世話をしながら、漆や琥珀、他の狐たちとも楽しそうに話ながら食事をしていた。
「雪翔、気になります?」
「うん」
「大丈夫よ。家の雫や茜も懐いてるみたいだし、みんな笑ってるもの」
「そうだけど……」
「ほら、食べてください。こちらでももう少し食べられるようになってもらいたいですし、明日からは大変ですよ?」
「ねえ、温泉てどこの温泉なの?」
「着いてからのお楽しみにしましょう。変なところじゃないですよ?私も料理が楽しみです。これもふたりが頑張ってくれたおかげですからねぇ」
「まさか総合優勝すると思わなかった」
「あの空を飛ぶ術が効いたのではないですか?観客もみんな驚いてましたし、家の父上なんて口をパクパクさせてましたから」
「うちの両親もよ。『あらやだ、どうやって浮いたのかしら?』って母が感心してたもの」
「黒龍と白龍のおかけなんだけどね。全然返事なかったから焦っちゃったけど。それに、冬弥さんと那智さんで目立ってた気がするし。それを考えると、航平ちゃんすごいなぁって思う。僕から見ても王子様って感じだったもん」
「たしかに綺麗な顔立ちですし、人を惹き付ける魅力がありますからねぇ」
「あ、ほら。舞台の真ん前の御簾だけど、何人居たの?」
「三人です。城に誰か残しておかないといけませんし、それにあの方々もずっと城にこもってるので、ああいった行事が楽しみなんですよ」
「城から出られないの?」
「出ますよ?ですが、休憩に浮遊城に戻る程度です。かなり高齢ですからねぇ。とっとと引退してくれないかといつも思いますけど、判断力や指揮力、他にも各々優れたところがある方々なので、早々変われはしないんですけどね」
「昔のお殿様みたいだね」
「いかんのか?翡翠は喜んでおるぞ?」
「いえ、珍しいなと思っただけですっ!」
「そうじゃ、あのプラチナブロンドの坊主をここへ呼んでくれぬか?」
「航平ちゃん?どうして?」
「少し興味があるだけだ。何もしない」
わかったと返事をし、航平にリビングに行くように説明すると、普通に漆たちの隣に座り挨拶をしている。
「漆相手に平然としてますねぇ」
「航平ちゃんて、怖いもの知らずというか、なんと言うか……」
「時には良いことと思いますよ?私達も食べてしまいましょうか。水狐、カレーの用意してリビングに持っていってください。金と銀のは小さめの器ですよ」
「冬弥様、我らは……」
「あちらに持っていったらみんなも食べてください。翡翠にいちごだけ触らせないでくださいね?」
「はい。もう籃狐が冷蔵庫の中に隠しました」
そう言ってカレーをよそって配ってくれる。
最近車の運転をしているのを見たことがないが、ちゃんとエプロンに車の絵がついているので、誰かが刺繍したのだろう。
いただきますと手を合わせてご飯を食べながらも、つい、リビングの方が気になりチラチラとそちらを見てしまうが、自分が想像していたのと全く違い、航平は紫狐と一緒に翡翠の世話をしながら、漆や琥珀、他の狐たちとも楽しそうに話ながら食事をしていた。
「雪翔、気になります?」
「うん」
「大丈夫よ。家の雫や茜も懐いてるみたいだし、みんな笑ってるもの」
「そうだけど……」
「ほら、食べてください。こちらでももう少し食べられるようになってもらいたいですし、明日からは大変ですよ?」
「ねえ、温泉てどこの温泉なの?」
「着いてからのお楽しみにしましょう。変なところじゃないですよ?私も料理が楽しみです。これもふたりが頑張ってくれたおかげですからねぇ」
「まさか総合優勝すると思わなかった」
「あの空を飛ぶ術が効いたのではないですか?観客もみんな驚いてましたし、家の父上なんて口をパクパクさせてましたから」
「うちの両親もよ。『あらやだ、どうやって浮いたのかしら?』って母が感心してたもの」
「黒龍と白龍のおかけなんだけどね。全然返事なかったから焦っちゃったけど。それに、冬弥さんと那智さんで目立ってた気がするし。それを考えると、航平ちゃんすごいなぁって思う。僕から見ても王子様って感じだったもん」
「たしかに綺麗な顔立ちですし、人を惹き付ける魅力がありますからねぇ」
「あ、ほら。舞台の真ん前の御簾だけど、何人居たの?」
「三人です。城に誰か残しておかないといけませんし、それにあの方々もずっと城にこもってるので、ああいった行事が楽しみなんですよ」
「城から出られないの?」
「出ますよ?ですが、休憩に浮遊城に戻る程度です。かなり高齢ですからねぇ。とっとと引退してくれないかといつも思いますけど、判断力や指揮力、他にも各々優れたところがある方々なので、早々変われはしないんですけどね」
「昔のお殿様みたいだね」
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