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夏休み~狐一族温泉観光ツアー前編~
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「さてと。みんな居なくなったので、明日から私達も旅行です。集合は朝八時にうちに来てください。その前に昴さんがみんなをここに連れてきてくれると思いますので、駅のバー覚えてます?あそこの路地まで飛んで各社経由で温泉に行きます」
「電車とか使わないんですか?」
「使えると思います?那智の兄と私の兄まではともかく、他はすごいことになると思いますよ?」
「お爺ちゃん達も電車無理かな?」
「人数も多いので、向こうでは小さいバンを借ります。結局何人でしたっけ?」
「うちの両親と、冬弥様の御両親にお兄様、三郎さんと四郎さんに、周太郎さん。それに那智様と那智様のご家族三人に重次さん。私たち四人と昴様なので……」
と栞が指を数え、「18人ですよ?」と驚いている。
「最初10人だったよね?」
「うん。冬弥さん何かしたの?」
「昴さんが、あとひとつチケットがどうのこうのと言って、最大20名迄で予約をとったとか取らないとか言ってましたけど。20人なら小さいバスが必要ですよねぇ」
免許は冬弥が持っているとのことだったので、お昼に荷物を詰めてから、明日行くところを冬弥に聞く。
「それなんですけどねぇ……私も知らないんです。昴さんが秘境の地だとか言ってましたけど。そのお陰で各ポイントで飛べるように私も動いてましたので」
「勝手にできないの?」
「人数が多いですから、やはりそのお社の狐には話しておかないと。天狐が二人も来るだけで事件ですからねぇ」
「事件?」
「大騒ぎになるんです。自分がお社から外されるのではないかとか驚かせてしまいますから説明に回ってました」
「でも、天満堂は?」
「今、副社長しかいないんですがね、快く引き受けてくれました。彼も力があるので、かなり目的地に近いところまで送ってくださるそうです」
「名前なんだったかな……そう、奏太さん。僕より三つ年上の。今はもう20歳だったと思う。前は19って言ってたから」
「よく覚えてますね。今、皆さん各界へ帰られたようで、奏太さんが残って切り盛りしてるそうですよ?お薬も作ってると言ってました」
「銀髪の人は?」
「バーにいましたねぇ。彼も会社とバーテンと裏の薬の方で頑張ってましたよ。アルバイトが欲しいと言ってましたねぇ」
「さて、航平君を呼んできてください。今宵の夕餉は何にしましょうかねぇ」
航平に泊まってもらおうと、荷物を持って家に戻ると、泊まるのはいいけど夜更かしはダメよ?と栞からしっかり言われ、みんなの狐を出して欲しいと言われ、翡翠たちを出す。
「航平ちゃんの妖精さんは?」
「うーん、なんて言えばいいんだろう?出てくるものでもないみたいなんだ」
「残念だな。見たかったのに」
「何言ってるんです?居ますよ?」
「どこ?」
「見ていてくださいね?」
そう言って御猪口にスプーンですくったプリンを入れると、少しずつなくなっていくのがわかる。
「食べてるのかな?」
「だと思う。祖母の家では牛乳やチーズが置いてあったけど」
「たまにあげるといいですよ。置いておくだけでいいみたいですねぇ」
「私には見えませんけど」
「これでも天狐なので。さて、みんな手伝ってください。明日からいないので冷蔵庫の大掃除です!」
「電車とか使わないんですか?」
「使えると思います?那智の兄と私の兄まではともかく、他はすごいことになると思いますよ?」
「お爺ちゃん達も電車無理かな?」
「人数も多いので、向こうでは小さいバンを借ります。結局何人でしたっけ?」
「うちの両親と、冬弥様の御両親にお兄様、三郎さんと四郎さんに、周太郎さん。それに那智様と那智様のご家族三人に重次さん。私たち四人と昴様なので……」
と栞が指を数え、「18人ですよ?」と驚いている。
「最初10人だったよね?」
「うん。冬弥さん何かしたの?」
「昴さんが、あとひとつチケットがどうのこうのと言って、最大20名迄で予約をとったとか取らないとか言ってましたけど。20人なら小さいバスが必要ですよねぇ」
免許は冬弥が持っているとのことだったので、お昼に荷物を詰めてから、明日行くところを冬弥に聞く。
「それなんですけどねぇ……私も知らないんです。昴さんが秘境の地だとか言ってましたけど。そのお陰で各ポイントで飛べるように私も動いてましたので」
「勝手にできないの?」
「人数が多いですから、やはりそのお社の狐には話しておかないと。天狐が二人も来るだけで事件ですからねぇ」
「事件?」
「大騒ぎになるんです。自分がお社から外されるのではないかとか驚かせてしまいますから説明に回ってました」
「でも、天満堂は?」
「今、副社長しかいないんですがね、快く引き受けてくれました。彼も力があるので、かなり目的地に近いところまで送ってくださるそうです」
「名前なんだったかな……そう、奏太さん。僕より三つ年上の。今はもう20歳だったと思う。前は19って言ってたから」
「よく覚えてますね。今、皆さん各界へ帰られたようで、奏太さんが残って切り盛りしてるそうですよ?お薬も作ってると言ってました」
「銀髪の人は?」
「バーにいましたねぇ。彼も会社とバーテンと裏の薬の方で頑張ってましたよ。アルバイトが欲しいと言ってましたねぇ」
「さて、航平君を呼んできてください。今宵の夕餉は何にしましょうかねぇ」
航平に泊まってもらおうと、荷物を持って家に戻ると、泊まるのはいいけど夜更かしはダメよ?と栞からしっかり言われ、みんなの狐を出して欲しいと言われ、翡翠たちを出す。
「航平ちゃんの妖精さんは?」
「うーん、なんて言えばいいんだろう?出てくるものでもないみたいなんだ」
「残念だな。見たかったのに」
「何言ってるんです?居ますよ?」
「どこ?」
「見ていてくださいね?」
そう言って御猪口にスプーンですくったプリンを入れると、少しずつなくなっていくのがわかる。
「食べてるのかな?」
「だと思う。祖母の家では牛乳やチーズが置いてあったけど」
「たまにあげるといいですよ。置いておくだけでいいみたいですねぇ」
「私には見えませんけど」
「これでも天狐なので。さて、みんな手伝ってください。明日からいないので冷蔵庫の大掃除です!」
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