下宿屋 東風荘 5

浅井 ことは

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夏休み~狐一族温泉観光ツアー前編~

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「だって、昔から僕が悪いことしても怒らないんだよ?」

「それは雪翔が悪くないから怒らないだけ」

「今度いたずらするもん」

「はいはい」

と頭をポンポンとされ、ほっぺたを膨らますも、みんなにイタズラらしいイタズラじゃないんじゃないかと言われる。

「窓ガラス割ったとか、航平の大切なもの壊したとかないのか?」

「無い……あ、窓ガラス割れた時に掃除してて、その時は危ないからやめなさいって言われたけど」

「航平、お前母親みたいだな……」

「辞めてくださいよ。隆弘さんもお父さんみたいに言ってるじゃないですか」

「二人が男女なら夫婦って感じなのかな?」

「雪翔、変な想像はするな……健全ないい子でいてくれ」

「賢司さんの言ってる意味がわからない」

「良いんだよ。雪翔はそのままで」

「なんかやだ。海都君何かない?」

「待て待て、必ず俺だけ怒られるからやめてくれ!」

首をかしげていると、みんながそろそろクイズ番組が始まるというので、一緒になってクイズを解き、ドべの人がジュースを買いに行くことになり、案の定海都がドべだった。

「あと1問だったのに!」

「ついて行こうか?」

「大丈夫」

そう言ってテレビ台の下から布の袋を取り出している。

「いつもこうなるから、袋入れてあるんだ。他のやつも使ってるけど」

「便利だね」

「おう!何がいい?」

みんなにお金を渡され、注文を聞いてから「次こそ勝つー 」と、階段を降りていってしまった。

「航平ちゃん、後でお金返すね」

「いいよ。今度奢って」

「うん、わかった。それとこれなんだけど……」とポケットのお守りを見せ、紫狐に言われたことを簡単に説明すると、イギリスでは普通のお守りで、憑けやすいから、それを退けるためのものが入っていると教えられた。

家に帰ってからも冬弥はまだおらず、しばらくリビングで待っていたが、お風呂に入ってもう寝なさいと言われ、薬を飲んで寝る。

それからはリハビリの時間をずらして、週に三日学校へ行き、いつもより一時間早い20時まで講習を受け、それ以外の日は隆弘や航平などに大学のことを聞いたり、勉強を見てもらっているうちに、みんなの帰省の日になってしまった。

まとめてワゴンでみんなを送っていくというので、1台は航平が運転し、もう1台の冬弥さんの運転するワゴンに乗り、みんなを駅まで送る。

「皆さん気をつけて帰ってくださいね。それと、もし予定が変更になるようでしたら、連絡を下さい。迎えのいる子もです」

そう言ってみんな新幹線の出る駅までは一緒なのだろう。なにかの団体旅行者のように固まって電車に乗って行ったので、帰りは航平の運転する車に乗り、下宿まで帰る。
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