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夏休み~狐一族温泉観光ツアー前編~
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「これが……」
那智は驚いているが、航平の方はやはり固まっている。
「雪翔、なにか命令をしてみてはどうです?」
「命令?そうだなぁ……白い仮面が白、黒いお面が黒だよね?」
「いかにも」
「今からみんなが質問したりするから答えてほしいんだ。話せないことは良いから」
「分かった」
「雪ー、白たちと遊んじゃダメなのー?」
「後でね。金達もみんなの質問に答えてあげてほしいんだ。ひーちゃんは……大人しくしてて……」
「むむー!!!」
「そうですねぇ。まず、私のこと覚えてます?」
「勿論、主の親。天狐となったことも存じ上げております」と白が言うと、冬弥は「言葉もしっかりしてますし、いきなり大人になったんですか?」などと聞いている。
「そうだ、なんでキーホルダーになったの?」
「最初は気を分けてもらい、慣れるまでは形が定まらなかったのだが、天狐の気と主の気が大きく、我らはすぐに言葉を理解し、力が大きくなった。それで影に戻ると主に負担がかかると思ってあのような形になったまで。呼ばれればいつでも出てくる」
「我らはどちらかと言うと、影で動き、主を守るのが仕事といえばわかると思うのだが、冬弥殿の結界が強力なので出る必要がなく今に至った」
「それにしては守れなかったこともあるじゃないですか?」
「雨の中、我等は出ようと思っていた。しかし、なにかの力に抑えられでられなかった。今ならわかるのだが、やはり命が無ければ自由には動けない」
「表と裏。あなた達はこれからどうするのですか?」
「記憶は戻っている。妖などの退治の時には、一言命じてもらえば、倒しにも出向くし、偵察なども行う。それに、姿を隠し付き従えと言われればそうする」
「それが裏。表は人を助けたりもするがそれも命によって縛られておる」
「今は自由に動けるのですか?」
「主次第で可能な限り。金・銀が主の補佐とすれば、手足となって実行するのが我ら。翡翠は守りの力が大きい。それぞれ役割がある」
「あ、あのね。難しくてわかりにくいんだけど、僕がお願いした人は守ってくれるの?」
「はい」
「なら、まずは冬弥さんと栞さんは分かるよね?こちらが那智さんで、こっちが航平ちゃん。みんなのことも守って!僕じゃ何も出来ないから」
「御意」
「しかしながら、常にとなると……主の体力を削ってしまいます」
「札を使えるようになって下さいませんと」
「う、うん。勉強はするよ」
「では我らはこれにて。実体化はまだ慣れておりませんので、主の気をこれ以上もらう訳にも行きますまい」
それだけ言ってふっと消え、残ったのはやはり二つのキーホルダーのみ。
「みんなどうしたの?」
「いや、何だか圧倒されたというか……」
「俺も……」
「そうですか?あの子達なんて普通に絵本読んでますよ?」
「あいつらは慣れてるんだろ?」
「まぁ、書物に書いてあったことと同じようなことを言ってましたし、航平君、これが雪翔の力。使役というらしいです。私達狐とはまた全然違う能力です」
「あ、はい……」
那智は驚いているが、航平の方はやはり固まっている。
「雪翔、なにか命令をしてみてはどうです?」
「命令?そうだなぁ……白い仮面が白、黒いお面が黒だよね?」
「いかにも」
「今からみんなが質問したりするから答えてほしいんだ。話せないことは良いから」
「分かった」
「雪ー、白たちと遊んじゃダメなのー?」
「後でね。金達もみんなの質問に答えてあげてほしいんだ。ひーちゃんは……大人しくしてて……」
「むむー!!!」
「そうですねぇ。まず、私のこと覚えてます?」
「勿論、主の親。天狐となったことも存じ上げております」と白が言うと、冬弥は「言葉もしっかりしてますし、いきなり大人になったんですか?」などと聞いている。
「そうだ、なんでキーホルダーになったの?」
「最初は気を分けてもらい、慣れるまでは形が定まらなかったのだが、天狐の気と主の気が大きく、我らはすぐに言葉を理解し、力が大きくなった。それで影に戻ると主に負担がかかると思ってあのような形になったまで。呼ばれればいつでも出てくる」
「我らはどちらかと言うと、影で動き、主を守るのが仕事といえばわかると思うのだが、冬弥殿の結界が強力なので出る必要がなく今に至った」
「それにしては守れなかったこともあるじゃないですか?」
「雨の中、我等は出ようと思っていた。しかし、なにかの力に抑えられでられなかった。今ならわかるのだが、やはり命が無ければ自由には動けない」
「表と裏。あなた達はこれからどうするのですか?」
「記憶は戻っている。妖などの退治の時には、一言命じてもらえば、倒しにも出向くし、偵察なども行う。それに、姿を隠し付き従えと言われればそうする」
「それが裏。表は人を助けたりもするがそれも命によって縛られておる」
「今は自由に動けるのですか?」
「主次第で可能な限り。金・銀が主の補佐とすれば、手足となって実行するのが我ら。翡翠は守りの力が大きい。それぞれ役割がある」
「あ、あのね。難しくてわかりにくいんだけど、僕がお願いした人は守ってくれるの?」
「はい」
「なら、まずは冬弥さんと栞さんは分かるよね?こちらが那智さんで、こっちが航平ちゃん。みんなのことも守って!僕じゃ何も出来ないから」
「御意」
「しかしながら、常にとなると……主の体力を削ってしまいます」
「札を使えるようになって下さいませんと」
「う、うん。勉強はするよ」
「では我らはこれにて。実体化はまだ慣れておりませんので、主の気をこれ以上もらう訳にも行きますまい」
それだけ言ってふっと消え、残ったのはやはり二つのキーホルダーのみ。
「みんなどうしたの?」
「いや、何だか圧倒されたというか……」
「俺も……」
「そうですか?あの子達なんて普通に絵本読んでますよ?」
「あいつらは慣れてるんだろ?」
「まぁ、書物に書いてあったことと同じようなことを言ってましたし、航平君、これが雪翔の力。使役というらしいです。私達狐とはまた全然違う能力です」
「あ、はい……」
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