15 / 76
夏休み~狐一族温泉観光ツアー前編~
.
しおりを挟む
「具が人参……」
「冬弥様が、那智様は人参が好きだからっていうから沢山入れたのに……雪翔君、私貰おうか?」
「大丈夫。ちゃんと味ついてるし、人参嫌いじゃないから。それに、昔は食べてたんでしょ?僕も背が伸びるかも!」
「それは違うと思いますけどねぇ」
みんなが違うと言っているが、みんな180センチは超えてるし、低いと言われても173は最低ある。
後、五センチだけでも伸びたいが、伸びる気配がないなら、好き嫌いなく食べるしかないと思い、半分食べたところで、人参に飽きてきた。
「雪翔、お前食べるの相変わらず遅いな」
「航平ちゃんが早いんだよー。もう食べたの?」
「みんなもう終わる。やっぱり多かったのかな?」
「僕、大きくなるんだもん!ぜ、全部食べるからっ」
「そんなに無理しなくていいですよ?それでも雪翔の分は少なめにしたんですけどねぇ……」
「俺か?人参のせいか?」
「にんじんですよね?」
「ご、ごちそうさま。もうおなかいっぱい」
「じゃあ煮物とかはしまっちゃうけどいい?」
みんながもういいと言っていたので、いいと自分も言ってお茶をもらう。
「那智さん、今度から人参自分で食べて……」
「ピーマンも増やしてやるから心配するな」
食後のデザートのアイスは今は食べられないからと、紫狐とみんなを出し、翡翠には前にたくさん貰ったアイスの中からイチゴを選んで食べさせる。
「んー!イチゴっ」
「こぼさないでよ?しーちゃんはぶどう?」
「はいー。金がバニラで、銀は小豆ですー」
「渋っ!」
「航平ちゃん」
「だってどう見ても幼稚園児なのにあずきのアイスって……」
「す、好きなんだもん」と言って銀が逃げていき、本題に入ろうとテーブルにキーホルダーを二つ置く。
「頭の中でいいので話しかけてください。普通に答えてくれると思いますけど」
「うん」
「そのキーホルダーに何があるの?」
「木霊っていうか、僕の気を練って出てきた双子の式神?かな?」
「守り神でしょうね。必ず表と裏で白と黒の二体。主の命には逆らわないと書物に書いてありました」
「すぐキーホルダーの中に入ってから、僕も会ってないんだ……」
そう言ってから集中し、白龍、黒龍、と話しかける。
《何か……》
《白龍?あのね、航平ちゃんと那智さんに紹介したいから出てこれないかな?黒龍も一緒に》
《見ていてあの者達が雪に危害を加えないのはわかっている。少しの時間ならば姿を出してもいいのだが、今の我等の姿でいいのかどうか》
「今の姿?」
「どうしました?」
「何でもない待っててね」
《今の姿って大きくなったの?》
《もう人形は大人と変わらないが、怖がらせてしまうのならば金たちと同じような姿にもなれる》
《今のままでいいよ。僕もずっと会いたかったんだ》
《ならば目を閉じよ。主よ》
「白龍?」
カッと眩しい光が差し、思わず手で顔を覆うと、ソファの近くに双子のような黒髪の大人が二人たっていた。
着物は平安時代のような着物を着ており、真っ直ぐな黒髪に手は二人共袖の中に入れている。
違うのはお面の色。
片方が白、片方が黒。
どことなく中国のお面の様なのをかぶっているその姿に一瞬驚きはしたが、放たれる気は優しく、すぐに白龍と黒龍だと分かる。
「冬弥様が、那智様は人参が好きだからっていうから沢山入れたのに……雪翔君、私貰おうか?」
「大丈夫。ちゃんと味ついてるし、人参嫌いじゃないから。それに、昔は食べてたんでしょ?僕も背が伸びるかも!」
「それは違うと思いますけどねぇ」
みんなが違うと言っているが、みんな180センチは超えてるし、低いと言われても173は最低ある。
後、五センチだけでも伸びたいが、伸びる気配がないなら、好き嫌いなく食べるしかないと思い、半分食べたところで、人参に飽きてきた。
「雪翔、お前食べるの相変わらず遅いな」
「航平ちゃんが早いんだよー。もう食べたの?」
「みんなもう終わる。やっぱり多かったのかな?」
「僕、大きくなるんだもん!ぜ、全部食べるからっ」
「そんなに無理しなくていいですよ?それでも雪翔の分は少なめにしたんですけどねぇ……」
「俺か?人参のせいか?」
「にんじんですよね?」
「ご、ごちそうさま。もうおなかいっぱい」
「じゃあ煮物とかはしまっちゃうけどいい?」
みんながもういいと言っていたので、いいと自分も言ってお茶をもらう。
「那智さん、今度から人参自分で食べて……」
「ピーマンも増やしてやるから心配するな」
食後のデザートのアイスは今は食べられないからと、紫狐とみんなを出し、翡翠には前にたくさん貰ったアイスの中からイチゴを選んで食べさせる。
「んー!イチゴっ」
「こぼさないでよ?しーちゃんはぶどう?」
「はいー。金がバニラで、銀は小豆ですー」
「渋っ!」
「航平ちゃん」
「だってどう見ても幼稚園児なのにあずきのアイスって……」
「す、好きなんだもん」と言って銀が逃げていき、本題に入ろうとテーブルにキーホルダーを二つ置く。
「頭の中でいいので話しかけてください。普通に答えてくれると思いますけど」
「うん」
「そのキーホルダーに何があるの?」
「木霊っていうか、僕の気を練って出てきた双子の式神?かな?」
「守り神でしょうね。必ず表と裏で白と黒の二体。主の命には逆らわないと書物に書いてありました」
「すぐキーホルダーの中に入ってから、僕も会ってないんだ……」
そう言ってから集中し、白龍、黒龍、と話しかける。
《何か……》
《白龍?あのね、航平ちゃんと那智さんに紹介したいから出てこれないかな?黒龍も一緒に》
《見ていてあの者達が雪に危害を加えないのはわかっている。少しの時間ならば姿を出してもいいのだが、今の我等の姿でいいのかどうか》
「今の姿?」
「どうしました?」
「何でもない待っててね」
《今の姿って大きくなったの?》
《もう人形は大人と変わらないが、怖がらせてしまうのならば金たちと同じような姿にもなれる》
《今のままでいいよ。僕もずっと会いたかったんだ》
《ならば目を閉じよ。主よ》
「白龍?」
カッと眩しい光が差し、思わず手で顔を覆うと、ソファの近くに双子のような黒髪の大人が二人たっていた。
着物は平安時代のような着物を着ており、真っ直ぐな黒髪に手は二人共袖の中に入れている。
違うのはお面の色。
片方が白、片方が黒。
どことなく中国のお面の様なのをかぶっているその姿に一瞬驚きはしたが、放たれる気は優しく、すぐに白龍と黒龍だと分かる。
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
下宿屋 東風荘 4
浅井 ことは
キャラ文芸
下宿屋 東風荘4
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..
大きくなった下宿に総勢20人の高校生と大学生が入ることになり、それを手伝いながら夜間の学校に通うようになった雪翔。
天狐の義父に社狐の継母、叔父の社狐の那智に祖父母の溺愛を受け、どんどん甘やかされていくがついに反抗期____!?
ほのぼの美味しいファンタジー。
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..
表紙・挿絵:深月くるみ様
イラストの無断転用は固くお断りさせて頂いております。
☆マークの話は挿絵入りです。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
便利屋ブルーヘブン、営業中。~そのお困りごと、大天狗と鬼が解決します~
卯崎瑛珠
キャラ文芸
とあるノスタルジックなアーケード商店街にある、小さな便利屋『ブルーヘブン』。
店主の天さんは、実は天狗だ。
もちろん人間のふりをして生きているが、なぜか問題を抱えた人々が、吸い寄せられるようにやってくる。
「どんな依頼も、断らないのがモットーだからな」と言いつつ、今日も誰かを救うのだ。
神通力に、羽団扇。高下駄に……時々伸びる鼻。
仲間にも、実は大妖怪がいたりして。
コワモテ大天狗、妖怪チート!?で、世直しにいざ参らん!
(あ、いえ、ただの便利屋です。)
-----------------------------
ほっこり・じんわり大賞奨励賞作品です。
アルファポリス文庫より、書籍発売中です!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる