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狐の国~美男美女コンテスト~
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「雪翔!」
「大丈夫か?」
「えへへ、初めてだったから僕疲れちゃった」
「ですが、あれは一体……」
「後ろが鳥居だってわかったから。目立てたかな?」
「勿論だ!俺もつい興奮してしまって……」
『こ、これにて少年部は終了です。次は青年部の____』
進行に合わせて舞台の袖に行き、一番目だった航平を見ると、明らかに女性の目はハートマークになっている。
うっすらと笑いながら、時折手を振っている姿はモデルのようで、身のこなしもしなやかでとても綺麗だった反面、着替えての空手の演武では男らしく、瓦を割っていて勇ましいのに、どこか踊っているようにも見え、綺麗とカッコイイと口がもうふさがらなかった。
舞台袖で拍手していると、「あいつ中々やるな」と那智も褒めており、一旦控え室に戻ることになった。
「お茶とジュースどっちにします?」
「炭酸のジュースがいい。ある?」
「コーラでいいです?ほかは持ってきてないみたいです」
受け取って一気に三分の一程飲んでから、この後どうなるのか聞く。
パチパチパチ__
「凄いじゃないか」
「兄貴!どうやって入ってきたんだ?」
「ん?ウインクしたら入れてくれた。で、この子が雪翔だな?」
「あの、初めまして……」そう言って軽く握手をする。
「オヤジ達が興奮しててな。逃げてきたんだが、あれはなんだ?妖術ではないだろ?」
「えっと、違います」
「ネタ明かしは宴会でしてくれ。それより、また舞台に行かないといけないだろ?尻尾しまっていけよ」
「あぁ、興奮しすぎて引っ込まない……」
「情けないなぁ。ほれ!」と目の前でパン!と手を叩くと那智の尻尾と耳が引っ込んだので、ついこっちまでビックリしてしまう。
「夏樹さん、雪翔がびっくりしてますから」
「すまんな。俺も舞台袖で見てるとしよう。もう一人の子も残るといいな」
「ええ、せっかくの特別枠ですからねぇ」
もう一度舞台に立つ時は車椅子を押してもらって上がり、幼少部の発表のあと、少年部の三位から発表され、二位まで聞いた時にやっぱり無理だったんだと諦めもついた。
『少年部優勝は……早乙女雪翔君です!』
「ぼ、僕?」
「良くやった。受け取ってこい」
真ん中に進んで症状とトロフィーに似た置物を貰い、元の場所まで戻ると、祖父の「雪翔でかしたー!」との声が聞こえてくる。
『青年部の優勝は……前代未聞。特別枠での出場、佐々木航平君』
「航平!でかしたー!それでこそ………………」と何か言っているが、お婆ちゃんに口を塞がれている。
『そして総合優勝は……え?あ、少しお待ちください』
マイクを持ったまま舞台から降り、何かを手にして戻ってくる。
『申し訳ございません。まずはこちらも前例がないのですが、特別総合賞。賞状と、トロフィーが送られます。特別総合賞は佐々木航平君!』
「俺?」
「航平ちゃん凄い!」
三郎たちに促され受け取り、真ん中でお辞儀をしていると「航平ー!さすがわしが見込んだ男じゃぁ!」とまたもや祖父が叫び、周りの女性はキャーキャーと騒いでいる。
『で、では。圧倒的票数にて決まりました総合優勝は……天狐の子にして陰陽師!早乙女雪翔君でーす!』
「え?え?」
「ほら行きますよ!」
冬弥と那智に押されてまた真ん中に行き、賞状とトロフィーが渡され、前を向いてお辞儀をすると、もう両祖父母も栞さんも、那智の両親に昴まで誰にも止められないほどに興奮していたが、それよりも興奮していたのは那智と冬弥だった。
「大丈夫か?」
「えへへ、初めてだったから僕疲れちゃった」
「ですが、あれは一体……」
「後ろが鳥居だってわかったから。目立てたかな?」
「勿論だ!俺もつい興奮してしまって……」
『こ、これにて少年部は終了です。次は青年部の____』
進行に合わせて舞台の袖に行き、一番目だった航平を見ると、明らかに女性の目はハートマークになっている。
うっすらと笑いながら、時折手を振っている姿はモデルのようで、身のこなしもしなやかでとても綺麗だった反面、着替えての空手の演武では男らしく、瓦を割っていて勇ましいのに、どこか踊っているようにも見え、綺麗とカッコイイと口がもうふさがらなかった。
舞台袖で拍手していると、「あいつ中々やるな」と那智も褒めており、一旦控え室に戻ることになった。
「お茶とジュースどっちにします?」
「炭酸のジュースがいい。ある?」
「コーラでいいです?ほかは持ってきてないみたいです」
受け取って一気に三分の一程飲んでから、この後どうなるのか聞く。
パチパチパチ__
「凄いじゃないか」
「兄貴!どうやって入ってきたんだ?」
「ん?ウインクしたら入れてくれた。で、この子が雪翔だな?」
「あの、初めまして……」そう言って軽く握手をする。
「オヤジ達が興奮しててな。逃げてきたんだが、あれはなんだ?妖術ではないだろ?」
「えっと、違います」
「ネタ明かしは宴会でしてくれ。それより、また舞台に行かないといけないだろ?尻尾しまっていけよ」
「あぁ、興奮しすぎて引っ込まない……」
「情けないなぁ。ほれ!」と目の前でパン!と手を叩くと那智の尻尾と耳が引っ込んだので、ついこっちまでビックリしてしまう。
「夏樹さん、雪翔がびっくりしてますから」
「すまんな。俺も舞台袖で見てるとしよう。もう一人の子も残るといいな」
「ええ、せっかくの特別枠ですからねぇ」
もう一度舞台に立つ時は車椅子を押してもらって上がり、幼少部の発表のあと、少年部の三位から発表され、二位まで聞いた時にやっぱり無理だったんだと諦めもついた。
『少年部優勝は……早乙女雪翔君です!』
「ぼ、僕?」
「良くやった。受け取ってこい」
真ん中に進んで症状とトロフィーに似た置物を貰い、元の場所まで戻ると、祖父の「雪翔でかしたー!」との声が聞こえてくる。
『青年部の優勝は……前代未聞。特別枠での出場、佐々木航平君』
「航平!でかしたー!それでこそ………………」と何か言っているが、お婆ちゃんに口を塞がれている。
『そして総合優勝は……え?あ、少しお待ちください』
マイクを持ったまま舞台から降り、何かを手にして戻ってくる。
『申し訳ございません。まずはこちらも前例がないのですが、特別総合賞。賞状と、トロフィーが送られます。特別総合賞は佐々木航平君!』
「俺?」
「航平ちゃん凄い!」
三郎たちに促され受け取り、真ん中でお辞儀をしていると「航平ー!さすがわしが見込んだ男じゃぁ!」とまたもや祖父が叫び、周りの女性はキャーキャーと騒いでいる。
『で、では。圧倒的票数にて決まりました総合優勝は……天狐の子にして陰陽師!早乙女雪翔君でーす!』
「え?え?」
「ほら行きますよ!」
冬弥と那智に押されてまた真ん中に行き、賞状とトロフィーが渡され、前を向いてお辞儀をすると、もう両祖父母も栞さんも、那智の両親に昴まで誰にも止められないほどに興奮していたが、それよりも興奮していたのは那智と冬弥だった。
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