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狐の国~美男美女コンテスト~
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「お兄さんて……」
「言ってなかったか?親父と一緒で城勤めだ」
「じゃなくって、似てる?」
「どうだろうな?気にしたことがないからわからんが、兄弟だから多少は似てるんじゃないか?」
「楽しみが増えた!」
「終わるのは何時なんですか?」
「いつも十五時だが、屋台も出るからお祭騒ぎだぞ?見て回れると思うなよ?参加者、特に賞を取ったやつは男女関係なく、役人共の格好の見合い相手にされるからな?」
目立たないようにしようと思いながら屋敷に帰り、いつものように台所に調味料を置きに行き、早速野菜スープを作る。
「坊ちゃまは本当にお料理が好きなのですね」
「うん、美味しいの食べると幸せにならない?」
「なります。夏は皆さん食欲が落ちますから、冷粥など好まれますが」
「そうなの?でもこのスープは野菜がメインだから」
そう言って大鍋印の大鍋で作ったのはウインナーなしポトフ。
野菜は豊富にあったので、ブロッコリーをいれて色鮮やかになり、見た目は綺麗だった。
「あとはね、この塩とコショウが一緒になったのをふりかけて、味見して終わり。簡単でしょ?」
「これなら私どもでもできます。今日は前に教えて貰った卵焼きを作ろうと思ってまして。中に明太子を入れるのが今の流行りなんですよ?」
「やった!僕それ好き」
夕御飯の後、宿題は大分済んでいるのでと道場に集められ、最終の確認をさせられる。
「ほれ、空手の演舞ならやってみぃ」
「あ、いえ。本番で……でないと恥ずかしくてと言うのもありますが、そう何度も割るのはちょっと」
「ん?板じゃろう?」
「瓦にしました」
「馬鹿かお主は!?掌と蹴りだけで割るつもりか?」
「はい。一枚から三枚まで」
「カァーッ!また無茶なことを。腰を据えて割るのとは違うぞ?」
「はい、それも分かっていますが、人間でしかもハーフの俺は、そのくらいインパクトがなければ、客人扱いのままで誰も見向きしないでしょうし、お爺さんの目標の優勝にはこれでも足りないと思っています。ですが、俺にとっては今出来る最高のことはこれしか思い浮かばないんです」
「分かった。ただし、怪我はさせられん。ちょっとでも違和感があれば必ずやめて欲しい」
「わかりました」
「で、雪翔は決まったのか?」
「うん、ぶっつけ本番だけど……」
「お前もか!!!」
「御館様。雪翔や航平はちゃんと考えています。明日を楽しみにされたらどうですか?」
「那智まで……分かった。ならば、今宵は体を温めて早々に寝た方が良い。明日は一日長く感じると思うでの。それと、あいつはまだか?」
「父ですか?現地で落ち合います」
「全く、中々顔も見せんくなって……明日は引きずってでも連れてこねばならん」
「仲悪くないよね?」
「この屋敷の別宅で住んでおった時はよう来た。冬弥たち兄弟と、那智たち兄弟とよく河原に行っておったの。仕事で夏に行ってからは距離のこともあるが、お互い忙しくなって中々会わんくなった」
どこかさみしげに見える祖父に、なんと声をかけていいかわからず、大人しく言われたとおりにお風呂へいき、薬を飲んで横になる。
「航平ちゃん、明日どんな人が出るんだろうね?」
「そりゃ、美男美女集団だろ?各地で選ばれてるんだから」
「そうじゃなくてさ、お題だよ!何するのかな?」
「女の子は歌とか踊りじゃないかな?多いって三郎さんたちも言ってたし。男は筋肉自慢もいるんだって」
「何でもありだね」
「言ってなかったか?親父と一緒で城勤めだ」
「じゃなくって、似てる?」
「どうだろうな?気にしたことがないからわからんが、兄弟だから多少は似てるんじゃないか?」
「楽しみが増えた!」
「終わるのは何時なんですか?」
「いつも十五時だが、屋台も出るからお祭騒ぎだぞ?見て回れると思うなよ?参加者、特に賞を取ったやつは男女関係なく、役人共の格好の見合い相手にされるからな?」
目立たないようにしようと思いながら屋敷に帰り、いつものように台所に調味料を置きに行き、早速野菜スープを作る。
「坊ちゃまは本当にお料理が好きなのですね」
「うん、美味しいの食べると幸せにならない?」
「なります。夏は皆さん食欲が落ちますから、冷粥など好まれますが」
「そうなの?でもこのスープは野菜がメインだから」
そう言って大鍋印の大鍋で作ったのはウインナーなしポトフ。
野菜は豊富にあったので、ブロッコリーをいれて色鮮やかになり、見た目は綺麗だった。
「あとはね、この塩とコショウが一緒になったのをふりかけて、味見して終わり。簡単でしょ?」
「これなら私どもでもできます。今日は前に教えて貰った卵焼きを作ろうと思ってまして。中に明太子を入れるのが今の流行りなんですよ?」
「やった!僕それ好き」
夕御飯の後、宿題は大分済んでいるのでと道場に集められ、最終の確認をさせられる。
「ほれ、空手の演舞ならやってみぃ」
「あ、いえ。本番で……でないと恥ずかしくてと言うのもありますが、そう何度も割るのはちょっと」
「ん?板じゃろう?」
「瓦にしました」
「馬鹿かお主は!?掌と蹴りだけで割るつもりか?」
「はい。一枚から三枚まで」
「カァーッ!また無茶なことを。腰を据えて割るのとは違うぞ?」
「はい、それも分かっていますが、人間でしかもハーフの俺は、そのくらいインパクトがなければ、客人扱いのままで誰も見向きしないでしょうし、お爺さんの目標の優勝にはこれでも足りないと思っています。ですが、俺にとっては今出来る最高のことはこれしか思い浮かばないんです」
「分かった。ただし、怪我はさせられん。ちょっとでも違和感があれば必ずやめて欲しい」
「わかりました」
「で、雪翔は決まったのか?」
「うん、ぶっつけ本番だけど……」
「お前もか!!!」
「御館様。雪翔や航平はちゃんと考えています。明日を楽しみにされたらどうですか?」
「那智まで……分かった。ならば、今宵は体を温めて早々に寝た方が良い。明日は一日長く感じると思うでの。それと、あいつはまだか?」
「父ですか?現地で落ち合います」
「全く、中々顔も見せんくなって……明日は引きずってでも連れてこねばならん」
「仲悪くないよね?」
「この屋敷の別宅で住んでおった時はよう来た。冬弥たち兄弟と、那智たち兄弟とよく河原に行っておったの。仕事で夏に行ってからは距離のこともあるが、お互い忙しくなって中々会わんくなった」
どこかさみしげに見える祖父に、なんと声をかけていいかわからず、大人しく言われたとおりにお風呂へいき、薬を飲んで横になる。
「航平ちゃん、明日どんな人が出るんだろうね?」
「そりゃ、美男美女集団だろ?各地で選ばれてるんだから」
「そうじゃなくてさ、お題だよ!何するのかな?」
「女の子は歌とか踊りじゃないかな?多いって三郎さんたちも言ってたし。男は筋肉自慢もいるんだって」
「何でもありだね」
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