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狐の国~美男美女コンテスト~
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「どれも無理っぽい。あ、オシッコしたかも!」
「あらあら、服濡れてない?」
「大丈夫。お尻があったかくなったからそうかなって」
「ほんと、おしっこしちゃったわね」
オムツ替えの後はお乳の時間だと聞いていたので、また会いに来るからねと部屋をあとにして書庫へと向かう。
「坊ちゃん、ここでしたか」
「周太郎さんどうしたの?」
「今、那智様がお着きになられまして。コンテスト用の服を持ってきたから一度着てほしいと言われてます」
「うん、航平ちゃんのもあるの?」
「はい。私が呼んできますので先に那智様のところへ」
分かったと那智のいる客間に向かい、障子を開けると、ズラっと並べられたたくさんの服の間に、那智がムスッとした顔で座っていた。
「那智さん!」
「雪翔」
撫で撫で撫で撫で……
「頭はいいから!僕どれ着るの?」
「それを今から決めるのに持ってきたんだが、航平はどうした?」
「道場で練習してるよ?」
「あいつ背が高いから似合いそうだと思って用意はしたんだが、寸法が分からなくてな。裾くらいなら栞が直すだろう?」
「翡翠の服も作ってくれるんだよ?隆弘さんの裾もすぐ直してたし上手だよ?」
「すいません、遅くなりました!」
「ん?ああ。似合うな道着」
「そうですか?」
「それでお題に出るのか?」
「はい」
「まず最初の舞台で歩く時は正装と決まっていてな。大抵は着物が多いが、最近は洋装も増えてきてるそうだ。お前イギリスだっただろ?この執事服が似合いそうで持って来たんだが、ちょっと着てみろ」
「でも汗くさくて……」
「構わん」
「はい」
「僕のは?」
「お前のは、うさぎとリスの着ぐるみから、カジュアルな服からスーツまで一式揃えたが……」
「着ぐるみは嫌だよ」
「航平が執事なら雪翔はこっちでどうだ?」
「えー!これ着るの?」
「フリフリにするか?」
「絶対にやだ!」
「そうだな……あとは細かいものを選ばないといけないんだが」
そう言いながらもどんどんと決めていく。
鏡の前で何着も合わせられ、それだけでも疲れるのに、結局着せ替え人形のように何着も着せられてしまう。
どれもサイズはいいみたいだなと、さんざん遊ばれた挙句、航平には手袋を付けるようにといい、あとは任せろと狐たちに片付けさせている。
「お題なんだけどね、ちょっと試したいことがあって。さっき思いついただけなんだけど」
「何やるつもりだ?」
「成功するかわからないから内緒!」
「そうなのか?あ、真ん中の通路にも観客が殺到するから、愛想振りまけよ?」
「それができたら苦労しないよ。那智さんもニコニコ笑って歩いたの?」
「誰が笑うか!歩きもしなかったぞ俺は」
「それでどうやって優勝するの?」
「まぁ……昔のことだから気にするな!」
そう言われるととても気になると、冬弥のことも聞くが、本人に聞けと言われてしまう。
「俺は見てないから分からんが、三日三晩宴会されたぞ?」
「でもその頃には僕達帰るよ?」
「そうしろ。陽気なのはいいんだが、疲れるだけだからな」
「あらあら、服濡れてない?」
「大丈夫。お尻があったかくなったからそうかなって」
「ほんと、おしっこしちゃったわね」
オムツ替えの後はお乳の時間だと聞いていたので、また会いに来るからねと部屋をあとにして書庫へと向かう。
「坊ちゃん、ここでしたか」
「周太郎さんどうしたの?」
「今、那智様がお着きになられまして。コンテスト用の服を持ってきたから一度着てほしいと言われてます」
「うん、航平ちゃんのもあるの?」
「はい。私が呼んできますので先に那智様のところへ」
分かったと那智のいる客間に向かい、障子を開けると、ズラっと並べられたたくさんの服の間に、那智がムスッとした顔で座っていた。
「那智さん!」
「雪翔」
撫で撫で撫で撫で……
「頭はいいから!僕どれ着るの?」
「それを今から決めるのに持ってきたんだが、航平はどうした?」
「道場で練習してるよ?」
「あいつ背が高いから似合いそうだと思って用意はしたんだが、寸法が分からなくてな。裾くらいなら栞が直すだろう?」
「翡翠の服も作ってくれるんだよ?隆弘さんの裾もすぐ直してたし上手だよ?」
「すいません、遅くなりました!」
「ん?ああ。似合うな道着」
「そうですか?」
「それでお題に出るのか?」
「はい」
「まず最初の舞台で歩く時は正装と決まっていてな。大抵は着物が多いが、最近は洋装も増えてきてるそうだ。お前イギリスだっただろ?この執事服が似合いそうで持って来たんだが、ちょっと着てみろ」
「でも汗くさくて……」
「構わん」
「はい」
「僕のは?」
「お前のは、うさぎとリスの着ぐるみから、カジュアルな服からスーツまで一式揃えたが……」
「着ぐるみは嫌だよ」
「航平が執事なら雪翔はこっちでどうだ?」
「えー!これ着るの?」
「フリフリにするか?」
「絶対にやだ!」
「そうだな……あとは細かいものを選ばないといけないんだが」
そう言いながらもどんどんと決めていく。
鏡の前で何着も合わせられ、それだけでも疲れるのに、結局着せ替え人形のように何着も着せられてしまう。
どれもサイズはいいみたいだなと、さんざん遊ばれた挙句、航平には手袋を付けるようにといい、あとは任せろと狐たちに片付けさせている。
「お題なんだけどね、ちょっと試したいことがあって。さっき思いついただけなんだけど」
「何やるつもりだ?」
「成功するかわからないから内緒!」
「そうなのか?あ、真ん中の通路にも観客が殺到するから、愛想振りまけよ?」
「それができたら苦労しないよ。那智さんもニコニコ笑って歩いたの?」
「誰が笑うか!歩きもしなかったぞ俺は」
「それでどうやって優勝するの?」
「まぁ……昔のことだから気にするな!」
そう言われるととても気になると、冬弥のことも聞くが、本人に聞けと言われてしまう。
「俺は見てないから分からんが、三日三晩宴会されたぞ?」
「でもその頃には僕達帰るよ?」
「そうしろ。陽気なのはいいんだが、疲れるだけだからな」
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