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狐の国~美男美女コンテスト~
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「この舞台にまず三人が立たされるんじゃ。そして1人ずつ左から右に歩いて中央に行き、真ん中から伸びる通路を歩いて戻ってくる。その通路の先には御簾があってのぅ、そこに天狐がおるで、ニッコリと笑ってやれば良い」
「でも僕車椅子だよ?」
「それは許可をとってあるから構わん」
「歩くだけですか?」
「いや、今回のお題は特技じゃ。瓦割りでも踊りでもなんでも良い」
「じゃあ俺は空手かな?」
「瓦にするのか?」
「いえ、誰かに手伝ってもらうことはできますか?」
「三人までなら良かったはずじゃが……」
「俺は演武にします。板を割りながらするので二人誰かにお願いしたいのですけど」
「ならば三郎と四郎でどうじゃ?あれらは慣れておるから」
「はい、有難うございます」
「僕は何にしよう……」
「後二日あるで考えればいい。それとな、もうすぐ来ると思うのじゃが……衣装じゃ」
「あ!嫌だよ?ジイジ達の趣味の服は着ないからね?」
「あいつらはなんと言うか……変な服を着せたがるからのぅ。ほれ、胸にれえすとかいうものが付いた洋装じゃろう?」
「航平ちゃんなら似合いそう……」
「俺も嫌だよ。男がレースなんて……」
「まぁ、明日には届くじゃろうがお主の空手着が必要じゃのぅ。三郎と体格が似ておるで、あやつのでも構わんか?」
「はい」
その後は流れを聞いて、航平から順番に歩かされ、「もっと背筋を伸ばせぃ!」
「もっとゆっくり歩けぇ!」
「ニコッと笑ってみんか!」
と何度もやらされ、冬弥達が来た時にはもうクタクタだった。
「父上、家まで聞こえてきてうるさいですよ?」
「そうか?で、なんじゃ?」
「お昼なので迎えに来たんですよ。栞さんがカレー作ってくれましたから冷めないうちにと思いましてねぇ」
「助かったぁ。僕左右に動くだけでも疲れたのに、お爺ちゃん注文多いんだもん」
「午後は日差しが強くなるので家にいた方がいいですよ?雪翔は宿題もありますし」
「よし、ならば道場で演武の練習を航平はしておくこと!明後日には優勝じゃ!」
「僕何しようかなぁ……」
家に帰ってからご飯を食べ、宿題をしてから道場へ行こうとしたが、お楽しみは当日までとっておこうと、幸さん達の部屋に行き、赤ちゃんを見せてもらう。
「可愛い。少し大きくなったのかな?」
「抱っこする?」
「いいの?」
「はい、そっとね?」
「軽いね。それにあまり泣かないし。赤ちゃんはもっと泣くのかと思ってたけど」
「お乳の時は泣くのよ?でも、起きてる時も結構ご機嫌な時が多いし、親狐がずっとそばに居るから安心なのかも」
「こんなに小さいのに影に入れてるの?」
「みんなそうよ。このことは相性もいいみたいで、すぐに中に入って行ったの」
「もし、相性が合わなかったら?」
「その時は返すことは出来ないから、常に外に出ていて、大きくなってから短時間だけ中に入れてる人もいるわよ」
「うーん、複雑」
「それよりお題は何だったの?」
「特技だって。でも僕何も無いからどうしようかなぁって」
「私も見に行けたらいいんだけど、代わりに京弥さんが見に行くって張り切ってたわよ?」
「京弥さんは出たことないの?」
「一度青年部で出て、ちゃんと優勝したわ。その時も優勝したら結婚してくれって言われちゃって」
「それで決めたの?」
「いいえ。ちゃんとお仕事が決まってからとか言って逃げていて。あの時はお題は長唄だったかしら?」
「でも僕車椅子だよ?」
「それは許可をとってあるから構わん」
「歩くだけですか?」
「いや、今回のお題は特技じゃ。瓦割りでも踊りでもなんでも良い」
「じゃあ俺は空手かな?」
「瓦にするのか?」
「いえ、誰かに手伝ってもらうことはできますか?」
「三人までなら良かったはずじゃが……」
「俺は演武にします。板を割りながらするので二人誰かにお願いしたいのですけど」
「ならば三郎と四郎でどうじゃ?あれらは慣れておるから」
「はい、有難うございます」
「僕は何にしよう……」
「後二日あるで考えればいい。それとな、もうすぐ来ると思うのじゃが……衣装じゃ」
「あ!嫌だよ?ジイジ達の趣味の服は着ないからね?」
「あいつらはなんと言うか……変な服を着せたがるからのぅ。ほれ、胸にれえすとかいうものが付いた洋装じゃろう?」
「航平ちゃんなら似合いそう……」
「俺も嫌だよ。男がレースなんて……」
「まぁ、明日には届くじゃろうがお主の空手着が必要じゃのぅ。三郎と体格が似ておるで、あやつのでも構わんか?」
「はい」
その後は流れを聞いて、航平から順番に歩かされ、「もっと背筋を伸ばせぃ!」
「もっとゆっくり歩けぇ!」
「ニコッと笑ってみんか!」
と何度もやらされ、冬弥達が来た時にはもうクタクタだった。
「父上、家まで聞こえてきてうるさいですよ?」
「そうか?で、なんじゃ?」
「お昼なので迎えに来たんですよ。栞さんがカレー作ってくれましたから冷めないうちにと思いましてねぇ」
「助かったぁ。僕左右に動くだけでも疲れたのに、お爺ちゃん注文多いんだもん」
「午後は日差しが強くなるので家にいた方がいいですよ?雪翔は宿題もありますし」
「よし、ならば道場で演武の練習を航平はしておくこと!明後日には優勝じゃ!」
「僕何しようかなぁ……」
家に帰ってからご飯を食べ、宿題をしてから道場へ行こうとしたが、お楽しみは当日までとっておこうと、幸さん達の部屋に行き、赤ちゃんを見せてもらう。
「可愛い。少し大きくなったのかな?」
「抱っこする?」
「いいの?」
「はい、そっとね?」
「軽いね。それにあまり泣かないし。赤ちゃんはもっと泣くのかと思ってたけど」
「お乳の時は泣くのよ?でも、起きてる時も結構ご機嫌な時が多いし、親狐がずっとそばに居るから安心なのかも」
「こんなに小さいのに影に入れてるの?」
「みんなそうよ。このことは相性もいいみたいで、すぐに中に入って行ったの」
「もし、相性が合わなかったら?」
「その時は返すことは出来ないから、常に外に出ていて、大きくなってから短時間だけ中に入れてる人もいるわよ」
「うーん、複雑」
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「特技だって。でも僕何も無いからどうしようかなぁって」
「私も見に行けたらいいんだけど、代わりに京弥さんが見に行くって張り切ってたわよ?」
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「一度青年部で出て、ちゃんと優勝したわ。その時も優勝したら結婚してくれって言われちゃって」
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