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夏休み~狐の国の異邦人
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「お前たちは真似してはならんぞ?必ず落ちる!」
「航平ちゃん?」
スクッと立ち上がり、このぐらいなら大丈夫と器用に石を渡り、真ん中に位置どってピースしてくるので、「二人とも狡い!」と言いながら、今釣れているうちにとエサの様子を見ながら釣っていると、面白いように掛かるようになり、作ってもらった岩の囲いにはたくさんの魚が入っていた。
「1.2.3.......11匹!」
「航平ちゃんは?」
「俺は8匹だ。ここからそこまで持っていく時間があるし、戻る方が大変かもしれない!」
「じゃから言ったのに。にしてもおぬしは身軽じゃのう」
「ずっとスポーツしてましたから」
「それだけではないようにも見えるが、鍛えれば三郎たちのようになれるかもしれんと思うと人間と言うのが惜しい逸材じゃ」
そうなの?と三郎と四郎を見ると、確かに基礎は出来ているし影としての素質は十分だと言っていた。
「みんな、お昼持ってきましたよー」
「あ、おばぁちゃーん!」
「あらあら、凄い所で釣ってるのねぇ」
そう言いながらも、元仙狐である祖母もヒョイヒョイと大きな包みを持ってこちらに来る。
「お婆ちゃんも凄い」
「歳は取りましたけどまだまだ元気ですよ。よいしょっと!周太朗みんなに配って頂戴な。お爺さんも航平君も一度こちらに戻ってきてくださいな」
「あ、今回は三郎さんと四郎さんのもある!またみんなで食べられるね」
「だって、雪翔はそれがいいんでしょう?」
「うん。みんなで食べたほうが絶対美味しいもん!」
そう言ってみんなで円になってペットボトルのお茶とおにぎりに玉子焼きと漬物のお弁当を食べるが、ペットボトルになれていないのか三人は開けるまでにかなり時間が掛かってしまった。
「ひねるだけなのに」
「こちらでひねると言えば腕ですか?」
「いや、足とか?」
「雑巾でしょうか?」
等と思い思いに口にしているので思わず笑ってしまった。
「雪翔はこちらにいる方が楽しそうだね」
「そんな事ないよ?でも、空気は自分に合ってるような気はするかな?」
「そうだね。来た時は驚きばかりだったけど、ここはとても空気が綺麗だと思う」
「じゃがそろそろ荒れてくる。少し動き出したようじゃ。早く食べて帰らんと行かんな」
「こんなに晴れてるのに?」
「ここはな。下は雨じゃよ。そろそろこっちも降るかの」
そう言われたので、手早く食べ終わった周太郎達が魚を回収に行って、食べ終わったものを片付けてみんなで家の中に戻る。
途中でポツポツと降ってきたので、周太郎がおんぶしてくれ、車椅子は三郎たちが魚と一緒に運んでくれたので濡れることは無かったが、縁側で飲みかけのお茶を飲みながら、「空の上なのに雨が降るのも不思議だね」と航平と話す。
「ゆきー!」
「翡翠?どうかしたの?」
「お魚欲しい」
「夕飯で食べようよ。翡翠の分もあるよ?」
「ひーたんの?」
「うん、みんなのあるからね」
「航平ちゃん?」
スクッと立ち上がり、このぐらいなら大丈夫と器用に石を渡り、真ん中に位置どってピースしてくるので、「二人とも狡い!」と言いながら、今釣れているうちにとエサの様子を見ながら釣っていると、面白いように掛かるようになり、作ってもらった岩の囲いにはたくさんの魚が入っていた。
「1.2.3.......11匹!」
「航平ちゃんは?」
「俺は8匹だ。ここからそこまで持っていく時間があるし、戻る方が大変かもしれない!」
「じゃから言ったのに。にしてもおぬしは身軽じゃのう」
「ずっとスポーツしてましたから」
「それだけではないようにも見えるが、鍛えれば三郎たちのようになれるかもしれんと思うと人間と言うのが惜しい逸材じゃ」
そうなの?と三郎と四郎を見ると、確かに基礎は出来ているし影としての素質は十分だと言っていた。
「みんな、お昼持ってきましたよー」
「あ、おばぁちゃーん!」
「あらあら、凄い所で釣ってるのねぇ」
そう言いながらも、元仙狐である祖母もヒョイヒョイと大きな包みを持ってこちらに来る。
「お婆ちゃんも凄い」
「歳は取りましたけどまだまだ元気ですよ。よいしょっと!周太朗みんなに配って頂戴な。お爺さんも航平君も一度こちらに戻ってきてくださいな」
「あ、今回は三郎さんと四郎さんのもある!またみんなで食べられるね」
「だって、雪翔はそれがいいんでしょう?」
「うん。みんなで食べたほうが絶対美味しいもん!」
そう言ってみんなで円になってペットボトルのお茶とおにぎりに玉子焼きと漬物のお弁当を食べるが、ペットボトルになれていないのか三人は開けるまでにかなり時間が掛かってしまった。
「ひねるだけなのに」
「こちらでひねると言えば腕ですか?」
「いや、足とか?」
「雑巾でしょうか?」
等と思い思いに口にしているので思わず笑ってしまった。
「雪翔はこちらにいる方が楽しそうだね」
「そんな事ないよ?でも、空気は自分に合ってるような気はするかな?」
「そうだね。来た時は驚きばかりだったけど、ここはとても空気が綺麗だと思う」
「じゃがそろそろ荒れてくる。少し動き出したようじゃ。早く食べて帰らんと行かんな」
「こんなに晴れてるのに?」
「ここはな。下は雨じゃよ。そろそろこっちも降るかの」
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途中でポツポツと降ってきたので、周太郎がおんぶしてくれ、車椅子は三郎たちが魚と一緒に運んでくれたので濡れることは無かったが、縁側で飲みかけのお茶を飲みながら、「空の上なのに雨が降るのも不思議だね」と航平と話す。
「ゆきー!」
「翡翠?どうかしたの?」
「お魚欲しい」
「夕飯で食べようよ。翡翠の分もあるよ?」
「ひーたんの?」
「うん、みんなのあるからね」
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