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反抗期
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「凄い。踊ってるみたい!」
腕を組んで見ている那智は、「あっちのと色が違うだろう?」とやけに詳しい。
「うん、あ、輪っかくぐるみたいだよ!」
ジャンプして成功する度に拍手が起こり、もはや金と銀の遠足の付き添いに近い形となっている。
「やっぱり、餌あげないとしないのかな?」
「躾みたいなもんだろう?」
「あっちのイルカは自由だったけど」
「野生だからな、あっちは」
ショーはペンギンショーもあるとのことだったので、遅くなったが一旦お昼にしようと、ホットドッグのセットを買って椅子に座る。
「なんかみんな見てない?」
「そうか?」
「子沢山のお父さんと思われてるんだよきっと」
「はぁ?」
「だって、さっき買いに行った時に、若いお母さん達が言ってるの聞いたもん。若いのに父親ひとりで子供三人連れてるなんて偉いわ!って」
「そうか、紫狐も見えなくしてあるからな……だが、そんなに老けて見えるか?」
「若いよ?二十代にしか見えないもん。後半だけど」
「実年齢はジジイだけどな」
「金、銀!」
「ひゃい!」「ごめんなさい」
「ビビるな!お前達はこぼさずに食えないのか?ほら、口にケチャップがついてる」と紙ナプキンで口を拭う姿は父親そのもの。
「キャー!いい男がすると違うわねぇ」と黄色い声まで上がっている。
「だから女は嫌なんだ」
「赤くなってる!」
「アホか!ほら、食ったら行くぞ?」
古代魚コーナーではついつい見とれてしまって、のんびりと見ていたが、ワニやカモノハシ等のいるコーナーに行くと、金と銀のテンションはMAXに。
「こら!走るな!」
「動けー」
「兄ちゃん、蛇もいる蛇!」
「デカイっ!」
「こっちには亀だよ?竜宮城連れてってくれる亀!」
「銀……流石に行かないと思うよ?」
「兄ちゃんも行きたがってたじゃん」
「ご馳走あるって書いてあったもんな」
などと夢のある話をするふたり。
翡翠はあまり興味無いのか、欠伸ばかりしていてウトウトとしている。
「あ、ペンギン……」
「ショーがもうすぐだ」
「金、銀、ペンギンショーだって」
わーい!と駆け寄ってきてショーの席を取りに行き、一番前で始まるのを待つ。
「はい、今日は赤ちゃんペンギンが初めてショーに参加します。皆さん拍手でお迎えくださいー」
司会の人が言い終わると、可愛らしい音楽に合わせて、二匹のペンギンがテチテチと歩いてくる。
「可愛い……毛がモサモサしてる」
「なんで色が違うの?」
「まだ毛が抜けてないんだろ?抜けたら他のペンギンと同じようになる」
「那智様物知りだね!あ、逃げた!」
係の人が捕まえに行き、またテチテチテチと頑張って歩き、目の前まできたらまた逃げ、笛の音に合わせることなく自由に歩いたり逃走したりを繰り返している。
なんとか一周歩ききった頃にはみんなの顔がニコニコと緩んでいた。
「ペンギンが水の中に入ります。水しぶきにご注意ください」
その後は滑るように水の中に入り、輪っかをくぐって上がってくるが、1匹だけうまく上がれず何度もチャレンジしている。
「頑張れー!」とほかの小さな子達が応援していてなんとか上がれたペンギンは、ほかのペンギンよりかなり遅れているが、何故かそれと自分が重なってしまった。
「僕もああやっておいていかれるのかな?」
「それはないだろう?あのペンギンは足を痛めてる。係員は気づいてないようだが」
「教えてあげなくていいの?」
「もう自然に治ってきてるからいいだろう?あの体のでかいヤツがボスだろうな」
「ペンギン社会も大変なんだね……」
ショーが終わり、お土産コーナーで小さなペンギンのぬいぐるみを三人に買ってあげて、水族館を出たのが16:00。
その後は家に帰るんだろうと思っていたら、金たちをしまえと言われ影に戻し、車が向かうところがわからないまま乗っているしかなく、着いたところは大きな中華街だった。
「テレビで見たことあるよ?この通りだけ中華街だって言ってた!」
腕を組んで見ている那智は、「あっちのと色が違うだろう?」とやけに詳しい。
「うん、あ、輪っかくぐるみたいだよ!」
ジャンプして成功する度に拍手が起こり、もはや金と銀の遠足の付き添いに近い形となっている。
「やっぱり、餌あげないとしないのかな?」
「躾みたいなもんだろう?」
「あっちのイルカは自由だったけど」
「野生だからな、あっちは」
ショーはペンギンショーもあるとのことだったので、遅くなったが一旦お昼にしようと、ホットドッグのセットを買って椅子に座る。
「なんかみんな見てない?」
「そうか?」
「子沢山のお父さんと思われてるんだよきっと」
「はぁ?」
「だって、さっき買いに行った時に、若いお母さん達が言ってるの聞いたもん。若いのに父親ひとりで子供三人連れてるなんて偉いわ!って」
「そうか、紫狐も見えなくしてあるからな……だが、そんなに老けて見えるか?」
「若いよ?二十代にしか見えないもん。後半だけど」
「実年齢はジジイだけどな」
「金、銀!」
「ひゃい!」「ごめんなさい」
「ビビるな!お前達はこぼさずに食えないのか?ほら、口にケチャップがついてる」と紙ナプキンで口を拭う姿は父親そのもの。
「キャー!いい男がすると違うわねぇ」と黄色い声まで上がっている。
「だから女は嫌なんだ」
「赤くなってる!」
「アホか!ほら、食ったら行くぞ?」
古代魚コーナーではついつい見とれてしまって、のんびりと見ていたが、ワニやカモノハシ等のいるコーナーに行くと、金と銀のテンションはMAXに。
「こら!走るな!」
「動けー」
「兄ちゃん、蛇もいる蛇!」
「デカイっ!」
「こっちには亀だよ?竜宮城連れてってくれる亀!」
「銀……流石に行かないと思うよ?」
「兄ちゃんも行きたがってたじゃん」
「ご馳走あるって書いてあったもんな」
などと夢のある話をするふたり。
翡翠はあまり興味無いのか、欠伸ばかりしていてウトウトとしている。
「あ、ペンギン……」
「ショーがもうすぐだ」
「金、銀、ペンギンショーだって」
わーい!と駆け寄ってきてショーの席を取りに行き、一番前で始まるのを待つ。
「はい、今日は赤ちゃんペンギンが初めてショーに参加します。皆さん拍手でお迎えくださいー」
司会の人が言い終わると、可愛らしい音楽に合わせて、二匹のペンギンがテチテチと歩いてくる。
「可愛い……毛がモサモサしてる」
「なんで色が違うの?」
「まだ毛が抜けてないんだろ?抜けたら他のペンギンと同じようになる」
「那智様物知りだね!あ、逃げた!」
係の人が捕まえに行き、またテチテチテチと頑張って歩き、目の前まできたらまた逃げ、笛の音に合わせることなく自由に歩いたり逃走したりを繰り返している。
なんとか一周歩ききった頃にはみんなの顔がニコニコと緩んでいた。
「ペンギンが水の中に入ります。水しぶきにご注意ください」
その後は滑るように水の中に入り、輪っかをくぐって上がってくるが、1匹だけうまく上がれず何度もチャレンジしている。
「頑張れー!」とほかの小さな子達が応援していてなんとか上がれたペンギンは、ほかのペンギンよりかなり遅れているが、何故かそれと自分が重なってしまった。
「僕もああやっておいていかれるのかな?」
「それはないだろう?あのペンギンは足を痛めてる。係員は気づいてないようだが」
「教えてあげなくていいの?」
「もう自然に治ってきてるからいいだろう?あの体のでかいヤツがボスだろうな」
「ペンギン社会も大変なんだね……」
ショーが終わり、お土産コーナーで小さなペンギンのぬいぐるみを三人に買ってあげて、水族館を出たのが16:00。
その後は家に帰るんだろうと思っていたら、金たちをしまえと言われ影に戻し、車が向かうところがわからないまま乗っているしかなく、着いたところは大きな中華街だった。
「テレビで見たことあるよ?この通りだけ中華街だって言ってた!」
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