栗花落と姫と妖と……

浅井 ことは

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水の神

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「遅くなりました。どうです?」

「まだ手術中だ。俺たちはちょっと離れようか」

「私、飲み物買ってくる」

自販機が受付の横にあったので温かいコーヒーを買って葉子さんに渡し、二人のところに戻る。

待合室から葉子さんは見えているので安心だからと座り、栗花落の話を聞く。

「秋穂から連絡があった時には意識が無かったそうです。かなり体温が下がっていて、外傷は切り傷だと。車は今、調べるために警察の方に。会社の車両登録してある車なので普通の手続きになりました」

「わかった。親父さんから連絡来るだろ?」

「原因がわかり次第」

「難しいことは分からないけど、森さんが事故なんておかしいよ。いつも安全運転なのに」

「それは分かってますよ。彼も慎重な方ですから。姫、あの石を入れた水なんですけど、家から持ち出すのは危険なので、作った水を毎日病院に届ける様にしたいのですが」

「え?石ごとでいいのに」

「誰かに奪われたら困りますから」

誰に奪われるのかと聞きたかったが、手術中の電気が消えたので待合室から出る。


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