栗花落と姫と妖と……

浅井 ことは

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「お弁当はちゃんと食べなくちゃ……」

せっかく作ってもらったんだからと開けると、おむすびに卵焼き、タコさんウインナーと可愛らしく盛り付けられている。

だがやはり食欲がわかず、蓋を閉めてしまう。

「ごめんなさい……葉子さん」

涙は出たが何とか堪え、午後の授業を受けてからすぐ車に向かう。

「森さん……お願いがあるの」

「お買い物ですか?」

「違うの。海……海に行ってくれない?」

「分かりました」と車を走らせてくれる。

一人では無いし、今は森さんもいるから安全ではあるだろうし、呼べば栗花落も春も来てくれる。

でも本当に呼んでいいのだろうか?

私は今まで普通に育ってきて、父や母には大切にされていた。

栗花落と会ったのは偶然だと言っていたが、引越しまでして頭にコブができて、周りに変なことが起こったが、今は普通の頭で鏡で見る限り目の色もそんなに変わったようには思えないし、私には何も見えない。

なのに……何故。



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