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仮題
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翌日の葬儀はちゃんとお焼香もし、目の前の写真に手を合わせて今までの感謝を心の中で呟く。
「ありがとうございました」
葬儀後にトイレで着替え、内田さんの車で店舗が借りていた駐車場まで送ってもらい、店内を見る。
「足元気をつけて」
「うん。業者さんもう来てるんだね」
「今日と明日で中をからにするって」
真っ白だった壁も、元気だった植物たちも今では真っ黒になっている中、ロッカールームでチクっと頭が痛くなる。
「栗花落さん……」
「目を……」
メガネを外して見てみると、自分の使ったいたロッカーに何故か惹かれる。
カチャッ──
「中、焦げてない……」
「ちょっと待ってください」と上の棚に手を伸ばしている栗花落。
上には手が届かないので何も置いていないのだが。
「封筒?」
「姫が開けてください」
封筒を開けると手紙と平べったい石。
『姫愛ちゃんへ。お店に来たお客さんから姫愛ちゃんにと預かりました。この石は大切なものだからと言われたので封筒に入れておきます。そのお客さんは少し年配の方で50歳過ぎくらい。この辺では見かけない作業着を来た人だったけど知っている人かな?そうだといいけど』
続きはまだあったが、栗花落にも見せると「しっくり来ませんね」と眉間に皺を寄せている。
しかも「偽物です」とまで。
更には、ギュッと握ったと思ったら黒い煙が出て霧散し、ただの石ころに。
「どういうこと?」
「春を呼びます」
栗花落が外に出ている間に、他も見て回るが全てが無くなっていて何も無い状態。
「姫愛ちゃん、これだけ見つけたけど」
手に持ってるのはまだ新しい鋏。
ケースは焦げていたが中は無事だったらしい。
「内田さんが持っているのがいいと思う」
「でも……」
「そんな気がするの」
形見にするとカバンに入れていたので、ガスコンロ周りを見る。
「ここも吹き飛んじゃったのかな」
爆発というイメージが強くそう思ってしまったが、時折上からパラパラとコンクリートの割れた部分から砂のようなものが落ちてくるので外に出ることにした。
「あ、春さん」
「終わったか?」
「うん。上から砂みたいなの落ちてくるし危ないから出てきたけど、ハサミが見つかったから、内田さんに持っててって言った」
「あのカバンか。悪い気はないから大丈夫だろう」
「そんなこと分かるの?」
「一応な」
内田が先に帰ると言っていて、何かあったらまた連絡すると言ってくれたのでお店前で別れる。
「あのね、手紙があったの。中に入ってたものは石で、栗花落さんが偽物だって握ったらまた黒い霧が出て無くなったんだけど……なんかおかしいの」
「おかしいとは?」
「手紙。店長から何度かメモは貼られてたけど、あんな風に敬語で書かないもん」
「今持ってるか?」
封筒を渡すと、普通の文だがと春は言っているが、以前に誕生日やクリスマスプレゼントに入っていた手紙は、丁寧ではあるがもっと砕けた感じだった。
「もしかして……犯人?」
「違うだろうな。ちょっと見てくる」と中に入っていったので、業者の邪魔にならない場所まで下がる。
「ありがとうございました」
葬儀後にトイレで着替え、内田さんの車で店舗が借りていた駐車場まで送ってもらい、店内を見る。
「足元気をつけて」
「うん。業者さんもう来てるんだね」
「今日と明日で中をからにするって」
真っ白だった壁も、元気だった植物たちも今では真っ黒になっている中、ロッカールームでチクっと頭が痛くなる。
「栗花落さん……」
「目を……」
メガネを外して見てみると、自分の使ったいたロッカーに何故か惹かれる。
カチャッ──
「中、焦げてない……」
「ちょっと待ってください」と上の棚に手を伸ばしている栗花落。
上には手が届かないので何も置いていないのだが。
「封筒?」
「姫が開けてください」
封筒を開けると手紙と平べったい石。
『姫愛ちゃんへ。お店に来たお客さんから姫愛ちゃんにと預かりました。この石は大切なものだからと言われたので封筒に入れておきます。そのお客さんは少し年配の方で50歳過ぎくらい。この辺では見かけない作業着を来た人だったけど知っている人かな?そうだといいけど』
続きはまだあったが、栗花落にも見せると「しっくり来ませんね」と眉間に皺を寄せている。
しかも「偽物です」とまで。
更には、ギュッと握ったと思ったら黒い煙が出て霧散し、ただの石ころに。
「どういうこと?」
「春を呼びます」
栗花落が外に出ている間に、他も見て回るが全てが無くなっていて何も無い状態。
「姫愛ちゃん、これだけ見つけたけど」
手に持ってるのはまだ新しい鋏。
ケースは焦げていたが中は無事だったらしい。
「内田さんが持っているのがいいと思う」
「でも……」
「そんな気がするの」
形見にするとカバンに入れていたので、ガスコンロ周りを見る。
「ここも吹き飛んじゃったのかな」
爆発というイメージが強くそう思ってしまったが、時折上からパラパラとコンクリートの割れた部分から砂のようなものが落ちてくるので外に出ることにした。
「あ、春さん」
「終わったか?」
「うん。上から砂みたいなの落ちてくるし危ないから出てきたけど、ハサミが見つかったから、内田さんに持っててって言った」
「あのカバンか。悪い気はないから大丈夫だろう」
「そんなこと分かるの?」
「一応な」
内田が先に帰ると言っていて、何かあったらまた連絡すると言ってくれたのでお店前で別れる。
「あのね、手紙があったの。中に入ってたものは石で、栗花落さんが偽物だって握ったらまた黒い霧が出て無くなったんだけど……なんかおかしいの」
「おかしいとは?」
「手紙。店長から何度かメモは貼られてたけど、あんな風に敬語で書かないもん」
「今持ってるか?」
封筒を渡すと、普通の文だがと春は言っているが、以前に誕生日やクリスマスプレゼントに入っていた手紙は、丁寧ではあるがもっと砕けた感じだった。
「もしかして……犯人?」
「違うだろうな。ちょっと見てくる」と中に入っていったので、業者の邪魔にならない場所まで下がる。
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