栗花落と姫と妖と……

浅井 ことは

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仮題

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台車を借りて部屋まで行くと、玄関にはいつもの三人。

怒られるかな?と思っていると、「すごい量ですね」と栗花落と春も手伝ってくれる。

「あ、あのね。おばあちゃんから送られてきたんだって」

「あら、袋にアップルパイが入ってますよ」

「お母さんが作ってくれてて。ジャムも入ってない?」

「みかんとリンゴの二種類。お味噌なども。美味しそうですね」

「みんなで食べてって言ってたから」

「じゃあ、紅茶を入れますね」

「待って、私お腹パンパン……」

「ニンニクとネギと味噌の匂いがする。特にニンニク……」

「お昼に中華食べてきたの。味噌は夜のお鍋……」

アップルパイは明日のおやつにしてもらうことにして、ずっと部屋にいてごめんなさいと謝る。

「良いんですよ。いきなりの事で姫も混乱したと思いますし」

「学校は……」

「10日休みの届けを出してありますからまだゆっくり出来ます」

「そっか……」

「なぁ、ひとつ食べてもいいか?」

「うん」

お腹がすいてたのか、アップルパイをパクパクと食べ、「美味いな」と言われた時にはすごく嬉しかった。

「お母さんお菓子作るの好きなの」

「私も見習わないと!」

「あ、お味噌は慣れるまでは癖があるかも」

そう言うとみんなが匂いをかぎにいき、「甘めでしょうか?」などと言っている。

「みかん何個か部屋に持ってくぞ」

数個ではなく箱ごとどうぞ位に入っていたので、痛む前に食べて欲しいと言っておく。

「少し顔色も良くなりましたね」

「そんなに悪かった?」

「ええ、ゾンビのように」などと珍しく栗花落がからかってくる。

「そうそう、秋穂さんが月曜に病院に来てくださいと」

「どこも悪くないよ?首のあとも消えたし」

「健康診断です」

「まだ高校生なのに?」

「秋穂なりに心配してるんだと思いますから付き合ってあげてください」

「分かった……」

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