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仮題

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週末までお風呂とトイレ以外部屋で過ごし、「行ってきます」と玄関を出る。

「森さん、朝早くにごめんね」

「いえ、でもいいんですか?お二方に言わずに」

「顔合わせるのは今はちょっと」

自宅まで送ってもらい、帰りは連絡するからと言って帰ってもらうが、きっと誰かは着いてきている……気がする。

チャイムを鳴らすと「あいてるわよー」と声が聞こえたので「ただいま」と台所へ行く。

「何作ってるの?」

「アップルパイとりんごジャム!見て、おばあちゃんからこんなに。帰りに持っていってね」

「みかんもあるけど……」

「そうなのよね。みかん、ダンボールごと……」

「それは要らない!」

ダンボールに他には何が入っているのかなと見ると、ワカメに昆布、あられなどのお菓子に調味料まで。

「おばあちゃん変わらないね」

「お味噌は助かるのよ。おばあちゃんのところのお味噌美味しいから。姫愛も持っていきなさいね」

「うん」

焼いている間にと違うダンボールにりんごとみこん、味噌に醤油などありったけ入れてくる母。

「来てくれて助かったわぁ。電話なかったら送るつもりだったのよ」

「帰りに迎えに来てもらうから運んでもらうね」

ひとりじゃ持てないと言っていると、寝起きの父が起きてきて「おかえり」と言ってくれる。

「ただいま。今日休みなの?」

「前の祝日に仕事だったから振替で休み。朝飯食ったのか?」

「食べる前に出てきたから」

じゃあ一緒に食べようと言われ、久しぶりに母のご飯を堪能する。

「やっぱりこのお味噌が好きぃー」

「向こうではご飯はどうしてるんだ?」

「えっとね、作ってくれる人がいるの。お弁当も。すごく美味しいんだけど、味噌はやっぱりおばあちゃんの味噌が一番かな」

「このお味噌で作ってもらったら?」

「そうする。おかわり!」

朝ごはんをしっかりと食べてから、部屋はそのままだと言われたので行くとクローゼットが開いたままになっている。

閉めたはずなんだけどな?

「おかあさーん、クローゼット開けた?」

「開けてないわよ?」と部屋に来ておかしいわね?と首を傾げている。

「なにか持っていくものあるの?」

「無いと思うけど見とく」

お昼は外食にしようと言われたので、それまで部屋で色々と見ていると、机の引き出しから見たことの無い布。

「なんだろう?」

ゴミ箱に捨てて引き出しを閉め、お昼になるまで簡単に片付ける。

「こんなものかな?」

必要なさそうなものを袋に詰めたので、袋を縛って下に持っていこうとすると、机の上に捨てたはずの布が。

「ゴミ!ゴミよゴミ!」と袋に入れて固く縛る。

捨てておいて欲しいと言ってから、父の車でいつも行く中華屋さんへ。

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