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仮題
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コンコン──
「姫愛様?」
「葉子さん、どうしたの?」
「お食事、部屋にお持ちしました」
「いい」
「少しでも食べてください。お部屋で私も一緒に頂こうかと」
扉を開けて葉子さんに座ってと頼み、先に謝る。
「私、難しいこと言われると分からなくなっちゃうのかも。それに、お昼が楽しみになっていたし」
「お友達は大丈夫ですよ。さ、少しでも」
ご飯は食べやすいようにおにぎりとお味噌汁。
サワラの塩焼きにほうれん草のおひたし。
「いただきます」
「二人で食事は初めてですね」
「葉子さん達は一緒に食べられないの?」
「基本的には仕事ですし。今回からは栗花落様が姉のように一緒にと言ってくださったので、夕食がおひとりの時などは一緒にいただくことが出来ます」
「ほんと!?」
「はい」
「一人で食べるの慣れてたんだけど、お昼に独りじゃなくなってから夕食も寂しくなって。私わがままだよね?」
「そんなことはございません。普通のことです。姫愛様は迷ってらっしゃるようですが、お昼にご一緒になる方も、もう姫愛様のお友達ですよ」
「そ、そうかな?」
「ええ。学校に行ったらきっと笑顔で迎えてくれると思います」
「だといいんだけど」
おにぎりを持ったまま、少し下を向く。
「姫愛様、たまにはご実家に寄られてはどうでしょう?」
「帰っても……いいのかな?」
「両家では、姫愛様はご自由にとなっているはずですよ?」
そういえばたまには顔見せてねとは言われていたが、まだそんなに時間は経っていないし。
「姫愛様?」
「葉子さん、どうしたの?」
「お食事、部屋にお持ちしました」
「いい」
「少しでも食べてください。お部屋で私も一緒に頂こうかと」
扉を開けて葉子さんに座ってと頼み、先に謝る。
「私、難しいこと言われると分からなくなっちゃうのかも。それに、お昼が楽しみになっていたし」
「お友達は大丈夫ですよ。さ、少しでも」
ご飯は食べやすいようにおにぎりとお味噌汁。
サワラの塩焼きにほうれん草のおひたし。
「いただきます」
「二人で食事は初めてですね」
「葉子さん達は一緒に食べられないの?」
「基本的には仕事ですし。今回からは栗花落様が姉のように一緒にと言ってくださったので、夕食がおひとりの時などは一緒にいただくことが出来ます」
「ほんと!?」
「はい」
「一人で食べるの慣れてたんだけど、お昼に独りじゃなくなってから夕食も寂しくなって。私わがままだよね?」
「そんなことはございません。普通のことです。姫愛様は迷ってらっしゃるようですが、お昼にご一緒になる方も、もう姫愛様のお友達ですよ」
「そ、そうかな?」
「ええ。学校に行ったらきっと笑顔で迎えてくれると思います」
「だといいんだけど」
おにぎりを持ったまま、少し下を向く。
「姫愛様、たまにはご実家に寄られてはどうでしょう?」
「帰っても……いいのかな?」
「両家では、姫愛様はご自由にとなっているはずですよ?」
そういえばたまには顔見せてねとは言われていたが、まだそんなに時間は経っていないし。
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