栗花落と姫と妖と……

新しい生活

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だが、風呂上がりに何度も着替えるのも嫌なのでパジャマの上にカーディガンを羽織っていくと、栗花落も黒のスエット姿。

「初めて見た」

「家ではこんな感じです」

髪もセットされてない姿はちょっとドキドキ……しちゃダメだ！

夕食は、買い物に行った時のブリがメインのお刺身。
湯豆腐と煮物が付いていて、これも大満足。

「明日からテスト週間でしょう？」

「今それを言わないで……」とお刺身を頬張る。

「苦手な科目は？」

「特になしと言いたいところだけど、英語かな。でも大学は行く気ないし、卒業出来たらいいと思ってるから」

「あの学校だとみんな進学するのかと思ってましたが」

「二年で分かれるけど、私は進学コースじゃないし、それに……あの学校結構すきだよ」

購買以外は！

「自然に囲まれてますから『気』が合うのかもしれませんね」

「気？」

「ええ。居心地のよいところには良い気が溜まります。例えば、足元が気持ち悪いとか、なぜだか分からないけれどこの場所は嫌だという所には悪い気が溜まっていることが多いです」

「よくわかんない」

「そのうちわかるようになると思いますよ。それよりこのブリ、ブリしゃぶでも良かったかもしれませんね」

「ああ、お刺身に気を取られすぎてた！」

「今度新鮮なのが入ったらブリしゃぶしましょう」

やった！と思っていると、「これを」と渡されたのは携帯の番号とLINEのIDを書いた紙。

「登録しておいて下さい」

「そう、そうなのよ！今まで交換してなかったのもおかしいのよね！」

「ですよねぇ……。私も今頃気がついてしまって。いつも送り迎えしていたので忘れていました」

休み時間ごとに連絡してくれてもいいと言われ、絶対にしないと心に決める。