栗花落と姫と妖と……

新しい生活

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「姫愛様、今から買い物に出かけてきますが、お昼と夕食のご希望はございますか？」

「様……なんて付けなくていいですよ？」

「そういう訳にはいきません」

「そうなんだ……昨日はハンバーグだったからお魚とか……葉子さん、森さん……えっと旦那さんて呼んだ方がいいのかな？」

「いえ、森で大丈夫です。私たちは夫婦なので、分かりやすくするために私は下の名前で呼んでいただいてますが」

「へぇ。買い物、私もついて行ったらダメかな？」

「構いませんが、スーパーなのでつまらないかもしれませんよ？」

「そんな事ないよ？私よくお母さんについてスーパーいつてたもん」

早速！と上着を羽織、斜めがけのショルダーバッグをかけて一階に降りると、受付の人が「行ってらっしゃいませ」と頭を下げる。

「葉子さん、なんで受付の人が頭を下げるの？」

「今までは姫愛様がお客様だったのでしてなかったのだと思いますけど、住人には出かける時はあのように挨拶してくれるんです。それから受付みたいですが、あの方々はコンシェルジュの方達で、ゲストの入館受付や案内、宅配便や郵便物の保管・発送の代行、タクシーの手配やクリーニングの受け渡し、各種業者の紹介と取次などしてくれるんですよ」

「クリーニングまで？」

「それに防犯面でも安心ですから」

「凄いところに来ちゃった感じ」

「何かあればコンシェルジュの方に頼るのもいいと思います」

他にも会議室やパーティルーム、温水プールにジムなどの施設もあると言うので回ってもらってしまい、森さんを三十分ほど待たせてしまう形になってしまった。