栗花落と姫と妖と……

フリージアとコーヒー

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店長が、「折角だから貰ったら？」と言うので、帰りに花束を胸に抱いてお店を出ていつものコーヒーショップへ。

中は空いていたが、花の匂いが苦手な方も居るだろうとテラス席へ。

まだ若そうな感じはしたが、スーツ姿と言うことはサラリーマンなのだろうか？

そんなことを考えながらコーヒーを飲んでいると、「お疲れ様です」と今朝聞いた声。

「あ、あの。お花ありがとうございました」としっかり四十五度。

「座っても良いですか？」

どうぞと言って座ってもらうが顔が見れない。

「本当なら私が選んで決めるべきなのでしょうが、どの花も綺麗で選べませんでした」

「お店のお花はいつも元気なお花ばかりなんです！」とつい花について語りそうになったが、こんなに大きな声を出したのも何時ぶりだろうか？

しかも男性の顔が目の前！

キリッとした目に、少し高い鼻はスっとしていて、まるでテレビからでてきたかのような綺麗な人。

「どうしました？」

「な、なにも」

何故だか目を逸らしたら消えてしまいそうなんて言えるはずもない。

「失礼しました。私は皇すめらぎ 栗花落つゆりと申します」

「すめらぎさん？」

「栗花落と呼んでください」

「つゆり……さん？」

「珍しい名でしょう？特に栗花落なんて女性のようで。しかも、栗の花が落ちる……ですよ？」

「でも、栗の花って花火の柳みたいでとても綺麗ですし、花言葉もえっと……」

「私に対して公平であれ」

「それです。後は贅沢ってのもあったかと」

「贅沢はそんなにしてないつもりですが」と何故かスーツの上着を見ている。