新・八百万の学校

聖徳太子

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支度をして祖父母には休憩所に行ってもらい、二手に分かれて見て回る。

「懐中電灯使えないのが怖いんだけど」

「仕方ないだろ？坊主たちが起きてきたら困る。見回りに来るやつもいるだろうし」

「まぁ、月明かりで見えるからいいんだけど」

まずは端っこから周り回廊へ。

昼に見て回れば綺麗なんだろうが、壁に囲まれた回廊ではなく、直ぐに広い敷地が見えるので見晴らしはとてもいい。

「出ないな」

「迦具土、その言い方やめてよ」

「なんだったかの本に、夜一人で忘れ物を取りに学校に行ったら、誰もいないはずの教室でシクシクと泣く声が……」

「うわぁぁぁぁぁ！」

「うるせー！」

「で、でた！今そこに！」

「はぁ？」

回廊に挟まっている格子から、人の顔が見えたと迦具土に言うと、「また向こう側かよ」と回廊をぬけて、本来立ち入り禁止の裏側に回る。

「翔平！」

「じいちゃん達はここにいて！」

見えた場所まで行くと何もおらず、パンフレットに丸を振っていた場所と一致。

「百済観音堂に行ってみようか」

歩いていくと椿の木の通路から先に白壁で朱色の建物が夜でもわかるほどに鮮やかで、差し色は緑。

昼に見たら綺麗なんだろうなと入口を見ると、ど真ん前に聖徳太子！

お札にでてきた姿と全く同じ！