新・八百万の学校

奈良へ＿＿

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道が空いていたのでそんなに時間はかからずに法隆寺につき、奥の駐車場に停めていると、どこかで見た感じの人が近づいてくる。

窓をコンコンと叩かれ、運転席を開けると「この駐車場のこの場所だけ人に見えなくしておいた。まだ寺がやってる時間だから一度今夜来てもらう所まで案内したいんだが」と声を聞いてテチさんだと分かる。

「屋台の時と感じが違うから声聞くまで分からなかったよ」

「上を脱げばいつもと一緒なんだが、観光客に似せて上着を着てるからだろう」

トランクに入れて置いた荷物を持ち、法隆寺から少し離れたところでテチが手をパン！と叩く。

ふわっと体が軽くなったと思ったら目の前の景色が変わり、広い畳の部屋に。

「ここ、何処ですか？」

部屋の隅には布団と座布団、大きめの机なども置いてあり、ちょっと旅館の一室のようにも見えるが、冷蔵庫やポットなどのお茶セットがない。

「ここは……まぁ、外を見たら分かる」

「はぁ……」