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洞窟
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気がつけば木のおうちのおばぁさんの家。
足には包帯が巻かれ歩きにくい。
「兵隊さんがいっぱいだけど、どうやって行くの?」
「そんなに広い通路ではないので、二列で行きます。先頭は私、最後にムーさんがいれば扉の方は大丈夫かと。最後にはいる兵にだっこさせますので、無理はなさいませんように」
「ありがとう……でも、本当には入れるのかなぁ?」
「陛下が大丈夫と仰いましたので大丈夫なのではないかと思いますが、迷っている間にも姫が何かするのではないかと、そちらの方が心配でして……」
「だよねぇ」
「では入りますので、この者と来てください」と、体の大きい顔の怖いおじさんにだっこされる。
「えっと、お願いします。って聞こえるのかな?」
「聞こえています。幻界の兵はある程度の人間界・天界・魔界の言葉が話せないとなれませんし、ここにいる兵は全員ユーリ様・姫付の兵ですのでムー様のお言葉もわかります」
「様はいらないよ? 僕犬だもん」
「違います。ただの犬であれば姫は言葉を話せるようにはいたしません」
「そうなの?」
「姫はそういう方でございます」
「僕いつもイタズラばかりさせられるんだけどな……それに今回なんておしっこまで」
「姫は無駄なことは一切なさいませんので、きっと必要なことだったのでしょう」
「おじさんは姫のことよく知ってるんだね」
「私はこの隊の総大将です。姫がまだ小さい頃から着いてましたのである程度は知っていますし、私もよく遊ばれましたので……」
「昔からなんだね。怪我とかしてないといいんだけどなぁ」
「姫は大丈夫です。きっとまた呑気に本でも読まれていることでしょう」
話している間に他の人がなかに入ったので、僕達も中に入って最後にいた場所まで進む。
「降ろしてーー」
そう言い降ろしてもらってすぐに居なくなった本棚のところまで行く。
「ユーリさん、姫いる?」
「返事がないんです。取り合えず、この本をどかせて壊すことにしました。危ないので私たちは下がりましょう」
そう言われたので邪魔にならない所まで下がるが、足がかなり痛い。感覚で爪が割れているかもと思ったが、もっと痛くなりそうだったので考えることはやめておいた。
「返事がないって部屋から出たのかな?」
「姫のことですからね、本を全部読んで暇になったか何かあったか」
「何かって?」
「何もないでしょう。きっと眠ってらっしゃいますよ」
「そうだよね。姫は呑気だもんね」
兵が器用に本棚を壊し、その中から出てきた岩の壁もどんどんと壊していく。
「あ、穴が開いた! 僕なら入れるから見てくる」と飛び出す。
足には包帯が巻かれ歩きにくい。
「兵隊さんがいっぱいだけど、どうやって行くの?」
「そんなに広い通路ではないので、二列で行きます。先頭は私、最後にムーさんがいれば扉の方は大丈夫かと。最後にはいる兵にだっこさせますので、無理はなさいませんように」
「ありがとう……でも、本当には入れるのかなぁ?」
「陛下が大丈夫と仰いましたので大丈夫なのではないかと思いますが、迷っている間にも姫が何かするのではないかと、そちらの方が心配でして……」
「だよねぇ」
「では入りますので、この者と来てください」と、体の大きい顔の怖いおじさんにだっこされる。
「えっと、お願いします。って聞こえるのかな?」
「聞こえています。幻界の兵はある程度の人間界・天界・魔界の言葉が話せないとなれませんし、ここにいる兵は全員ユーリ様・姫付の兵ですのでムー様のお言葉もわかります」
「様はいらないよ? 僕犬だもん」
「違います。ただの犬であれば姫は言葉を話せるようにはいたしません」
「そうなの?」
「姫はそういう方でございます」
「僕いつもイタズラばかりさせられるんだけどな……それに今回なんておしっこまで」
「姫は無駄なことは一切なさいませんので、きっと必要なことだったのでしょう」
「おじさんは姫のことよく知ってるんだね」
「私はこの隊の総大将です。姫がまだ小さい頃から着いてましたのである程度は知っていますし、私もよく遊ばれましたので……」
「昔からなんだね。怪我とかしてないといいんだけどなぁ」
「姫は大丈夫です。きっとまた呑気に本でも読まれていることでしょう」
話している間に他の人がなかに入ったので、僕達も中に入って最後にいた場所まで進む。
「降ろしてーー」
そう言い降ろしてもらってすぐに居なくなった本棚のところまで行く。
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「何かって?」
「何もないでしょう。きっと眠ってらっしゃいますよ」
「そうだよね。姫は呑気だもんね」
兵が器用に本棚を壊し、その中から出てきた岩の壁もどんどんと壊していく。
「あ、穴が開いた! 僕なら入れるから見てくる」と飛び出す。
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