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浅井 ことは

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引越し

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キンコンカンコーン!


「おっ、奏太もういいのか?」

風邪とウソついて休んだから心配されてる……

「もう平気」

「帰りさ、WAC寄ってかね?新発売のダブルチキンが食いたくてさ」

「わりぃ、俺引っ越してさ、そこんとこの店の手伝いするんだわ」

「マンションは?」

「誰かに貸す予定。今手続き中」

「それで休んでたのか」

「まぁな。マンション広いし1人じゃって思ってて。で、今は居候」

「そんな親戚いたっけ?」

「知り合いが一部屋貸してくれたから。ここにも近いし」

「遊びに……」「あー、聞いとくよ。勝手は出来ないから」

「おう!」

単純なヤツでよかった。
今までもバイトばっかで中々遊んでなかったから、生活自体変わらないと思ってたけど、そうでもないみたいだし。暫くは誤魔化せるか。

誰にも捕まらないように速攻で家に帰り、ムーの小屋を作る。1時間ほど出できたので、ムーを中に入れてみる。

「どうだ?」

「あったかーい。座布団入れるの?」

「その方が暖かいだろ?中に水入れ付けれたから水は中な」

「うん」

「お、ムーカッコイイのできたじゃないか」

そりゃそうだろう。階段付きログハウス……それも扉付き!

「ありがとー」

「よし、奏太飯だ!事務員に並ばせたんだぞ」
と渡された袋はWAC。
中にはダブルチキンバーガーセット。
単品でホットドックにサラダ。

「サラダ好きなんすか?」

「サラダは体にいいからな」

「はぁ」

「嫌いなものは?」

「ないです」

「いい子だ」

俺は子供扱いか!

ロッカー兼休憩室でハンバーガーを頬張る。
なかなかに旨い。サラダもちゃんと食べて、ご馳走様と手を合わせる。

「ご馳走様でした。あの……」

「あぁ、そういやお前金持ってんのか?」

「家賃収入が入れば。何か固定資産税とかいうのもあるみたいだし、貯金と保険代とか払っていくら残るかまだわからないですけど……貯金くずして……」

「アホか! 家賃はいらんが、生活に困らない程度やると言ってるだろう?調剤側は二人とも月給だがバイトは時給900円だ。お前は裏の仕事もある。月50でどうだ?」

「多すぎ……」

人間じゃない人の感覚にはかなり慣れない!

「じゃぁ決まりな。これ、いきなり引越しだったから必要なもの揃えろ。来月から毎月1日が給料日だ」

封筒を見ると札束が一つ。
100万。

「こんなには……」

「お前は今までも一人でやってきた。無駄遣いはしないと思ってる。ムーの散歩がてら買い物でもしてこい」

「ありがとうございます」

そう言ってムーにリードをつけ、まず銀行へ。
10万だけ財布にしまい、残りは貯金。
結月に家賃収入は違う通帳にしろと言われたので、既に作ってある。
今までお年玉など貯めていた方に生活費を入れ、
親が作ってくれてた貯金用通帳に給料を入れることに決めた。
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