天満堂へようこそ

浅井 ことは

文字の大きさ
上 下
27 / 63
天界へ

.

しおりを挟む
「それでも解読は無理だろう。魔界には魔界語、幻界には幻界語があって、それなりの知識があっても読むのは難しいはずだ」

「それを読める姫がすごいと思いますが?」

「まぁな。で、どこにある? 地図も全部だしてほしいんだが」

「全部ですか?」

「あぁ。お前達が知らないだけでかなり綻びも出てる。修正しといてやる」

「どこからそんな情報が……」

「薬屋だからな」

図書のものにも手伝ってもらい全部そろった量は六人掛けテーブル6つ分。

6人掛けテーブル2つ分を作業台のように置き、最初に地図に書き込んでいく。

「これほど増えているとは」

「だから、ばぁさんでも魔界のものと遭遇するんだよ。警備か何か立たせとけ。幻界に影響があっても困る。こっちとは幻界は構造自体が違うからな」

「思ったのですが……姫は魔界・天界・幻界のすべてに行けますよね。本来はどこで育ち暮らしても良い身のはず。未だになぜ人間界などに……」

「黙れ! それはお前には関係ない。お前は、ここしか知らないだろう? もっと視野を広めろ。
天界と魔界での戦争を思い出せ。そうすれば少しは私の気持ちもわかるだろう」

「はい。努力いたします」

「でだ、ここに出した本の中から、天界と幻界の境目についてかかれているものを探してくれ」

「ムーは、リアムがサボったら噛め。噛んで起こせ」

「またですかぁ? ぼくきらわれちゃいますよぉ……」

「ムー君大丈夫です。私はあなたを嫌ったりなんてしませんから」

「王子ー!」

「かぁー! お前はそれで女にモテると思ってたけど、動物にまで……このたらしが!」

「その様なことはけっして……」

「慈愛とかいうやつだろ。まぁいいさっさとしてくれ。ばぁさんの警護は?」

「すでにしてあります」

「宣伝は?」

「特に女性陣に」

「なら大丈夫だな……ってなんで女なんだよ!」

確かにあの紅茶は女性の方が受けはいいだろうが、問題は場所だ。

早く境目の歪みをなんとかしないと、魔界からいつでも侵入可能になってしまう。
そうすると幻界にまで影響があるかもしれない。

元々天界と魔界を上下ととらえるのなら、その左右に人間界と幻界がある4つの丸が集まったようなものだ。私はどこへでも行けるが、幻界から魔界・天界へは行けるものの、魔界や天界からは幻界にはいけない。行くためには正規のゲートを通り、尚且つ通行証までいる。

だが意外にも天界と魔界は綻びに気づかすに無意識で入ってしまうものもいる。
正規の通行証がない限り長くはいられないが、本来なら大問題だ。

なのに呑気に……

「姫、これでしょうか?」

「あ? あぁ、でもこれはいらない」と数冊返す。

考えながらもそれをわからないように手紙に書き王へとそっと送る。進言と言うやつだ。

それをしながら地図に丸をつけ終わり、リアムに渡し、本をパラパラと捲りながら噂の洞窟に関して何か載っていないか探す。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

人形の中の人の憂鬱

ジャン・幸田
キャラ文芸
 等身大人形が動く時、中の人がいるはずだ! でも、いないとされる。いうだけ野暮であるから。そんな中の人に関するオムニバス物語である。 【アルバイト】昭和時代末期、それほど知られていなかった美少女着ぐるみヒロインショーをめぐる物語。 【少女人形店員】父親の思い付きで着ぐるみ美少女マスクを着けて営業させられる少女の運命は?

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

エリア51戦線~リカバリー~

島田つき
キャラ文芸
今時のギャル(?)佐藤と、奇妙な特撮オタク鈴木。彼らの日常に迫る異変。本当にあった都市伝説――被害にあう友達――その正体は。 漫画で投稿している「エリア51戦線」の小説版です。 自サイトのものを改稿し、漫画準拠の設定にしてあります。 漫画でまだ投稿していない部分のストーリーが出てくるので、ネタバレ注意です。 また、微妙に漫画版とは流れや台詞が違ったり、心理が掘り下げられていたりするので、これはこれで楽しめる内容となっているかと思います。

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

木積さんと奇怪な日常

浅木宗太
キャラ文芸
神津市三坂…そこにはちょっとどころかかなり変わった下宿場"河井荘"がある。 噂では住人は人ではないとかなんとか… そんなある日、北山家次期三十代目当主北山鈴菜は祖父、二十九代目当主北山大五郎の提案により河井荘に引っ越して来た。 しかしそこで出逢った金色の瞳と紅い瞳のオッドアイの少女、木積彼方は猫妖怪の一派の五代目当主の積 斑丸だった!?その他の住人も覚に狐、河童までー!!そんな妖怪だらけの河井荘の奇怪な日常。 別所で掲載していたものを加筆修正したものです https://estar.jp/_novel_view?w=21672814 こちらに加筆前のものがあります。

処理中です...