天満堂へようこそ

浅井 ことは

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子供の願い

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眼鏡をかけ、イライラする度にタバコを吸い、
なんとか削除できたものの、この書き込んだやつはただの人間。
それもこの店と何の接点もない。
その犯人の男の元へ行き、記憶を消してからその場を後にする。

「あー肩が凝った」早々に布団に潜り込み、奏太が来るまで寝ることにした。

昼過ぎ、チャイムがなったので裏からでると下を向いた奏太がたっていた。

「今からでいいのか?」

コクンと頷き、病院は駅の裏ですと歩き出す。
無言のまま病室につくと、ばぁさんはいくつもの機械に繋がれ眠っているようにも見える。

「軟膏は塗ったか?」

「はい。手の甲に……たまに痛そうな顔してたのが今全くないです」

準備はいいのかと聞くと大丈夫だと言われたので点滴に注射器で薬を入れる。

もちろん二種類。

同時にいれたのは、後で嫌だと言われても困るから。

「すぐに目を覚ますだろう。話せる時間は10分。その後に、もう一つの薬が効いてばぁさんは眠りにつく」

「はい」

「外で待っている」

そう言い廊下で待つこと5分。

中から奏太がばぁちゃんが呼んでると言うので入らせてもらう。

「結月ちゃんかね……ありがとうよ」

目配せして話したか聞いたら首をブンブン横にふる。

「知ってたんだよ。なんとなくだけど。ありがとうね奏太、ばばの家を売って結月ちゃんにちゃんと払わないといけないよ」

「ばぁちゃん……」

「後のことはお任せください。知り合いの弁護士に任せますので」

「あぁ、やっと心配事がなくなったよ。奏太も大丈夫だね?」

「ばぁちゃん俺……」

最後だと思い病室を出る。

暫くして医師や看護婦が来たが、そのまま亡くなったのだろう。
奏太の泣き声だけが廊下に響いて来た。

中にはいるわけにもいかないので、廊下から奏太に向かって、記憶を消す作業をした後そのまま病院を後にした。

その後約束通り弁護士に格安でやってくれと電話をし、通常の生活に戻る。

商店街で何度かすれ違ったが、奏太は気づくこと無く通りすぎていく。

近所の人に聞かされたときには、おばぁさんが亡くなられた事を知らされ驚くそぶりをし、適当に話をあわす。

人外も含め、死とは悲しいものだ。
その感情はあるが左右されていては商売にもならないし、弱ければ自分に危険があるのも承知のうえだ。

材料はまだあるので頼む必要もない。
そのまま作業部屋でいくつかの薬を煎じ、種類ごとに分けていく。

毎日変わらない生活にたまの刺激。
今日も誰が買いに来るのか……
それが今の天満堂だ。
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