5 / 63
魔界から幻界へ
.
しおりを挟む
わん。
と鳴かれご飯をあげるのを忘れていたことに気付く。
病院でついでにと買ったドッグフードを器にいれ、
一応お手やお座りなど一通り教え食べさす。
「面倒だから、この作業はしないがよいか?」
「はい。できますから大丈夫です。人間は言葉が通じないので……」
「賢いんだな」
「そうでもないです。まだ知らないことがたくさんあるので」
「そうか。これから覚えればいい。さ、食べなさい」
お腹が空いていたのだろう。ガツガツと食べる。
その一生懸命さも子犬だからか可愛いものだ。
煎じる手を止めたついでに、自分の肉も焼く。
サラダとステーキ。
それとワイン。
最近はこの食事が気に入っているが、
たまには伊勢海老も食べたい。
明日は市場まで行って買ってこようと決め、
適当に切り分け口に運ぶ。
その後少し作業を進め、切りの良いところでやめ就寝する。
次の日は珍しく新しい客が朝から来たので奥の部屋に通す。
一応種族・名前・今住んでいるところ・紹介者等を記入してもらい問診をする。
大抵は万能薬を定期的に買いに来るのでこの作業は一回きり前払いが厳守だ。
後は店頭で渡す時に金をもらう。
「珍しいな。妖怪の小鬼か?」
「はい。家のばぁさんの風邪が酷くなりやして。鬼の薬では効かないもんで……」
「万能薬でいいか?」
「はい。あの、臭いなんかは?」
「無い。無味無臭だ。一回分30万先払い。いくついる?」
「一回で治るでしょうか……」
「本人が来てないからわからんが、話だけでは3回飲ませれば治る」
「では三回分で。紹介料がいるとのことだったのでこれで」と100万テーブルに置く。
本物か偽物かは臭いでわかる。
前に狸が葉っぱで誤魔化そうとしたのでわざと騙された振りをして、後でさんざんな目に遭わせたことがある。
でないと、この商売はやっていけない。
本物だと確認し、薬を渡す。
「鬼の薬も見てみたいもんだが……」
「薬持ってます。これなんですが」
「貰ってもいいか?」
「はい」
「店は定休日以外はやっている。閉めてる時には張り紙がしてある。気を付けてきてくれ。で、連絡先はここだ」と名刺を渡す。
「この名刺は他のものには読めない様になっておる。誰かに渡されないためだ。欲しい薬があれば連絡をくれ」
「有難うございます。では……早く持っていきたいので」
小鬼を送り出した後、貰った薬を分析器にかける。
一時間はかかるだろう。だがこれでまた貴重なデータが取れるのは有難い。
と鳴かれご飯をあげるのを忘れていたことに気付く。
病院でついでにと買ったドッグフードを器にいれ、
一応お手やお座りなど一通り教え食べさす。
「面倒だから、この作業はしないがよいか?」
「はい。できますから大丈夫です。人間は言葉が通じないので……」
「賢いんだな」
「そうでもないです。まだ知らないことがたくさんあるので」
「そうか。これから覚えればいい。さ、食べなさい」
お腹が空いていたのだろう。ガツガツと食べる。
その一生懸命さも子犬だからか可愛いものだ。
煎じる手を止めたついでに、自分の肉も焼く。
サラダとステーキ。
それとワイン。
最近はこの食事が気に入っているが、
たまには伊勢海老も食べたい。
明日は市場まで行って買ってこようと決め、
適当に切り分け口に運ぶ。
その後少し作業を進め、切りの良いところでやめ就寝する。
次の日は珍しく新しい客が朝から来たので奥の部屋に通す。
一応種族・名前・今住んでいるところ・紹介者等を記入してもらい問診をする。
大抵は万能薬を定期的に買いに来るのでこの作業は一回きり前払いが厳守だ。
後は店頭で渡す時に金をもらう。
「珍しいな。妖怪の小鬼か?」
「はい。家のばぁさんの風邪が酷くなりやして。鬼の薬では効かないもんで……」
「万能薬でいいか?」
「はい。あの、臭いなんかは?」
「無い。無味無臭だ。一回分30万先払い。いくついる?」
「一回で治るでしょうか……」
「本人が来てないからわからんが、話だけでは3回飲ませれば治る」
「では三回分で。紹介料がいるとのことだったのでこれで」と100万テーブルに置く。
本物か偽物かは臭いでわかる。
前に狸が葉っぱで誤魔化そうとしたのでわざと騙された振りをして、後でさんざんな目に遭わせたことがある。
でないと、この商売はやっていけない。
本物だと確認し、薬を渡す。
「鬼の薬も見てみたいもんだが……」
「薬持ってます。これなんですが」
「貰ってもいいか?」
「はい」
「店は定休日以外はやっている。閉めてる時には張り紙がしてある。気を付けてきてくれ。で、連絡先はここだ」と名刺を渡す。
「この名刺は他のものには読めない様になっておる。誰かに渡されないためだ。欲しい薬があれば連絡をくれ」
「有難うございます。では……早く持っていきたいので」
小鬼を送り出した後、貰った薬を分析器にかける。
一時間はかかるだろう。だがこれでまた貴重なデータが取れるのは有難い。
0
お気に入りに追加
78
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
木積さんと奇怪な日常
浅木宗太
キャラ文芸
神津市三坂…そこにはちょっとどころかかなり変わった下宿場"河井荘"がある。
噂では住人は人ではないとかなんとか…
そんなある日、北山家次期三十代目当主北山鈴菜は祖父、二十九代目当主北山大五郎の提案により河井荘に引っ越して来た。
しかしそこで出逢った金色の瞳と紅い瞳のオッドアイの少女、木積彼方は猫妖怪の一派の五代目当主の積 斑丸だった!?その他の住人も覚に狐、河童までー!!そんな妖怪だらけの河井荘の奇怪な日常。
別所で掲載していたものを加筆修正したものです
https://estar.jp/_novel_view?w=21672814
こちらに加筆前のものがあります。
のんあくしょん!
須江まさのり
キャラ文芸
運動神経が無いとまで言われるほど運動音痴で、クラスメートに対してもまともに話をする事が出来ないほど内気。自分じゃ何も決められないほど優柔不断な女子高生、住谷香音(すみたに かのん)。
そんな私はある日、密かに想いを寄せていたクラスメートの野村君と話が出来たという幸運に恵まれ、そんな楽しいひと時を思い返しながら家路を辿っていると、そこで巻き起こった突然のアクシデント。
正義の味方の変身ヒーローと悪の組織の戦闘ロボットとの戦い、なんていうのに巻き込まれ、口下手なわたしは断れ切れないままに変身ヒロインに……。そんな私は、何も決断できないままに悪の秘密組織のアジトへと向かうのでした……。
え、これって内気な少女の片思いの恋愛ストーリーじゃなかったのぉ!?
……という、正義の変身ヒロインには全く向いていない女の子のお話なので、題名の通りアクションシーンはほとんどありません……。
多少の修正はしてありますが他サイトで投稿したものと内容はほぼ同じです。ただ、イラストに関してはがっつりと描き直しや追加をしていたりします(まあ、そっちではあまり読まれてもいないので「その注釈必要?」という感じだったりしますが……)。
とりあえず「これがオチで終わっても良かったかな?」というところまで投稿しておきます。続きは有りますがまだ絵を描き直せていないので、その後どうするかは今のところ未定です。
My Doctor
west forest
恋愛
#病気#医者#喘息#心臓病#高校生
病気系ですので、苦手な方は引き返してください。
初めて書くので読みにくい部分、誤字脱字等あると思いますが、ささやかな目で見ていただけると嬉しいです!
主人公:篠崎 奈々 (しのざき なな)
妹:篠崎 夏愛(しのざき なつめ)
医者:斎藤 拓海 (さいとう たくみ)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる