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「何してるの?片付けようよ……」
金と銀が、部屋ができたから持っていく本を探してるといい、翡翠は選んだであろう絵本を、寝転びながら見ている。
紫狐に至っては「フリフリダンスの……」とあるはずのない本を探しており、「片付けるまでおやつ禁止!」とつい叫んでしまった。
「雪翔、ちょっといいか?」
「那智さんどうしたの?」
「俺は今から一足先に帰るが、お前体の調子はどうだ?」
「何で?」
足が軽くなったこと以外何も無いというと、「航平に分け与えたのは俺の八尾の力だ。それでも能力が少し出すぎた所があったから、雪翔の場合どうなったのかと思ってな」
「力使ってないからわかんないけど、気を付けろってことだよね?」
「そういう事だ」と頭を撫で撫でされるので、「やっぱり僕、もう少し身長が欲しい……」と肩を落とす。
「今手を置くのに丁度いい位置なのに……」と残念がられたが、「また歩けるようになったら変わるだろ?」ともいわれた。
那智が先に帰り、翌朝荷物を先に送ってもらってから「また来るからね」と言って栞と冬弥と帰宅したのは早朝。
それから久しぶりの下宿を手伝おうと、冬弥と二人で厨房に入ると、秋彪と玲、那智の三人がボウルに山積みにされた野菜を切っており、ポカーンと見ていた自分と冬弥を見て、早く変わってくれと言ってくる。
玲は大鍋で味噌汁を作っており、秋彪はお茶やご飯などをワゴンに乗せて運んでおり、那智は野菜と格闘……
「あ、朝ごはん何?」
「焼き魚と米と味噌汁に漬物!」
那智がどうだとばかりに胸を張って言うので、もしかしてずっと魚料理だったのかと聞くと、肉料理の時は冬弥の狐たちが作っていたらしい。
「サラダを切るのだけが面倒で、いつもジャンケンなんだが……そうそう、賢司の所から野菜が送られてきた。漬物用だけは洗ったんだが、あとは任せる」
「じゃあ、私はぬか床でも見ましょうかねぇ」
「僕は?」
「この切った野菜を何とかしてくれ……」
もしかしなくてもお皿に載せてドレッシングかけたらいいとか思ってたんじゃないよね?と聞くと、ダメだったか?と普通に聞き返されてしまう。
千切りになっていないキャベツ。
ほぼ1センチ感覚の輪切りのきゅうり。
少し考えてから野菜庫を開けてパプリカの赤と黄色を取り出して、種をとってから横にし、手際よく千切りにして、一番大きいボウルにすべてを入れて軽く塩コショウをして混ぜる。
「なんで塩コショウしてるんだ?」
「これでレモン汁掛けるだけで美味しいから。パプリカも甘いし。それにこんなぶつ切りじゃ今から切り直しても間に合わない……」
「言ったなー!」
「ごめんなさい!だって、魚に関しては凄いのになんで野菜はこうなの?」
「人数が多いだろ?もう腕が疲れてくるんだよ。野菜切り出すと」
それもそうだと思いながらも時計を見て、時間が!と、冬弥を呼び朝ごはんのチャイムを鳴らす。
「いっちばーん!」と海都がやって来て、おかずを取っていき、席に置いてからご飯を大盛り、味噌汁も大盛りで盛り付け、「雪翔こっち来いよ」とお盆にご飯を乗せて持ってきてくれる。
いただきますと言って魚を食べていると、「那智さんの魚は美味い!」と絶賛していたので、話を聞くと、魚料理が多くて最初は文句を言ってた者も、那智の魚料理が美味しいから文句を言わなくなったことや、野菜料理は玲が上手だという事を聞き、「秋彪さんは?」と聞くと、「秋彪さんは運んだあとすぐに一緒にご飯食べ出すから、料理は食べたことがない」と言う。
金と銀が、部屋ができたから持っていく本を探してるといい、翡翠は選んだであろう絵本を、寝転びながら見ている。
紫狐に至っては「フリフリダンスの……」とあるはずのない本を探しており、「片付けるまでおやつ禁止!」とつい叫んでしまった。
「雪翔、ちょっといいか?」
「那智さんどうしたの?」
「俺は今から一足先に帰るが、お前体の調子はどうだ?」
「何で?」
足が軽くなったこと以外何も無いというと、「航平に分け与えたのは俺の八尾の力だ。それでも能力が少し出すぎた所があったから、雪翔の場合どうなったのかと思ってな」
「力使ってないからわかんないけど、気を付けろってことだよね?」
「そういう事だ」と頭を撫で撫でされるので、「やっぱり僕、もう少し身長が欲しい……」と肩を落とす。
「今手を置くのに丁度いい位置なのに……」と残念がられたが、「また歩けるようになったら変わるだろ?」ともいわれた。
那智が先に帰り、翌朝荷物を先に送ってもらってから「また来るからね」と言って栞と冬弥と帰宅したのは早朝。
それから久しぶりの下宿を手伝おうと、冬弥と二人で厨房に入ると、秋彪と玲、那智の三人がボウルに山積みにされた野菜を切っており、ポカーンと見ていた自分と冬弥を見て、早く変わってくれと言ってくる。
玲は大鍋で味噌汁を作っており、秋彪はお茶やご飯などをワゴンに乗せて運んでおり、那智は野菜と格闘……
「あ、朝ごはん何?」
「焼き魚と米と味噌汁に漬物!」
那智がどうだとばかりに胸を張って言うので、もしかしてずっと魚料理だったのかと聞くと、肉料理の時は冬弥の狐たちが作っていたらしい。
「サラダを切るのだけが面倒で、いつもジャンケンなんだが……そうそう、賢司の所から野菜が送られてきた。漬物用だけは洗ったんだが、あとは任せる」
「じゃあ、私はぬか床でも見ましょうかねぇ」
「僕は?」
「この切った野菜を何とかしてくれ……」
もしかしなくてもお皿に載せてドレッシングかけたらいいとか思ってたんじゃないよね?と聞くと、ダメだったか?と普通に聞き返されてしまう。
千切りになっていないキャベツ。
ほぼ1センチ感覚の輪切りのきゅうり。
少し考えてから野菜庫を開けてパプリカの赤と黄色を取り出して、種をとってから横にし、手際よく千切りにして、一番大きいボウルにすべてを入れて軽く塩コショウをして混ぜる。
「なんで塩コショウしてるんだ?」
「これでレモン汁掛けるだけで美味しいから。パプリカも甘いし。それにこんなぶつ切りじゃ今から切り直しても間に合わない……」
「言ったなー!」
「ごめんなさい!だって、魚に関しては凄いのになんで野菜はこうなの?」
「人数が多いだろ?もう腕が疲れてくるんだよ。野菜切り出すと」
それもそうだと思いながらも時計を見て、時間が!と、冬弥を呼び朝ごはんのチャイムを鳴らす。
「いっちばーん!」と海都がやって来て、おかずを取っていき、席に置いてからご飯を大盛り、味噌汁も大盛りで盛り付け、「雪翔こっち来いよ」とお盆にご飯を乗せて持ってきてくれる。
いただきますと言って魚を食べていると、「那智さんの魚は美味い!」と絶賛していたので、話を聞くと、魚料理が多くて最初は文句を言ってた者も、那智の魚料理が美味しいから文句を言わなくなったことや、野菜料理は玲が上手だという事を聞き、「秋彪さんは?」と聞くと、「秋彪さんは運んだあとすぐに一緒にご飯食べ出すから、料理は食べたことがない」と言う。
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