8 / 68
南へ__
.
しおりを挟む
一通り終わって、お風呂に入りながら重次に毎回足の動きは変えると言われ、えー!と文句を言いながらも、みんなにあった時に、驚かせればいいねと目標を決めてリハビリは続けていくことにした。
「あ、ご飯が来てる!」
最後にお櫃が運ばれ、ごゆっくりと言われて茶碗を持つ。
「この茶碗、軽いね」
「あ、それは私も思いました。人間の世界の器は重いなと思っていて。東の陶器はもう少し重くてしっかりしてますが。これも地域によって違うみたいですね」
「何で出来てるんだろう?」
「焼き物なので同じですよ?ただ薄いと言いますか……」
「割らないようにしないとね。いただきまーす!」
重次が言ったように、リハビリのあとの方が食事が進み、いつもなら残している量も全部食べることが出来た。
「おかずの、焼きビーフンみたいなの美味しかった!春雨じゃないよね?」
「似てますが海藻から作られているので、体にはいいですよ」
「こっちにはいろんな食べ物があるんだね。毎日ご飯が楽しみになりそう」
翌朝は金と銀に翡翠と紫狐も荷台に乗せて進み、途中の広場でみんなを遊ばせる。
「ひ、ひーちゃんが!」
「金、銀、追いかけるのですー!」
嬉しくて走って逃走した翡翠をみんなが追いかけ回している間に、一旦冬弥に連絡を取る。
『雪翔、何も問題は無いですか?』
『うん。何も無いよ?その……栞さん怒ってないかな?』
『カンカンに怒ってましたけど、雪翔の決めたことだからとなんとか納得してもらいました。今はどの辺です?』
『えっと、海が見えるとこ!』
『また大雑把ですねぇ。まだまだ冬休みですから、のんびりと進んだらいいと思います。それと、九堂の行方は探してますが、航平でもわからないと言ってるので、また空間を移動してる可能性もあります。気を付けてくださいね』
『うん、分かった。侑弥は?元気?』
『ええ、よく寝てくれるので助かってますけど、クマのぬいぐるみから離れてくれなくて困ってます』
気に入ってくれてるんならいいと思い、そのあとは重次と冬弥が今後のある程度の予定を話て通信を切る。
「便利な紐だよね」
「頭の中での会話というのが不思議ですが」
「これも天狐の力なのかな?」
「冬弥様は神域に達しておられますから、容易いでしょう。我々にはとてもとても……」
「あ、戻ってきた!」
「し、紫狐はもうぐったりなのですー!」
「お疲れ様。前に焼き菓子買っておいたんだ。みんなで食べていいよ」と一つ袋を渡すと、紙の上に均等に紫狐が分けてみんなに配っている。
「翡翠が一番食いしん坊だよね。なんか、ぷくぷくしてきた感じがする」
「ゆっきー、ひーちゃんなのですけど、いっちーが、もう大きくならないと言っていたのを聞いて、紫狐も食べ物をなるべく減らしてたんですけど……」
「うん?」
「つまみ食いを覚えてしまいましたぁぁぁ」
「はぁ?何それ!」
「ゆっきーが、影の中にお部屋を作ってくれて、みんなたまにもらうおやつを楽しみにしてるんですけど、棚の上に紫狐が隠しておくのです。でも、ひーちゃんが上手く飛び乗って食べてしまうようになって、棚の引き戸に隠しても開けてしまうんですー」
「変なことだけ覚えるの早いんだから!」
「あ、ご飯が来てる!」
最後にお櫃が運ばれ、ごゆっくりと言われて茶碗を持つ。
「この茶碗、軽いね」
「あ、それは私も思いました。人間の世界の器は重いなと思っていて。東の陶器はもう少し重くてしっかりしてますが。これも地域によって違うみたいですね」
「何で出来てるんだろう?」
「焼き物なので同じですよ?ただ薄いと言いますか……」
「割らないようにしないとね。いただきまーす!」
重次が言ったように、リハビリのあとの方が食事が進み、いつもなら残している量も全部食べることが出来た。
「おかずの、焼きビーフンみたいなの美味しかった!春雨じゃないよね?」
「似てますが海藻から作られているので、体にはいいですよ」
「こっちにはいろんな食べ物があるんだね。毎日ご飯が楽しみになりそう」
翌朝は金と銀に翡翠と紫狐も荷台に乗せて進み、途中の広場でみんなを遊ばせる。
「ひ、ひーちゃんが!」
「金、銀、追いかけるのですー!」
嬉しくて走って逃走した翡翠をみんなが追いかけ回している間に、一旦冬弥に連絡を取る。
『雪翔、何も問題は無いですか?』
『うん。何も無いよ?その……栞さん怒ってないかな?』
『カンカンに怒ってましたけど、雪翔の決めたことだからとなんとか納得してもらいました。今はどの辺です?』
『えっと、海が見えるとこ!』
『また大雑把ですねぇ。まだまだ冬休みですから、のんびりと進んだらいいと思います。それと、九堂の行方は探してますが、航平でもわからないと言ってるので、また空間を移動してる可能性もあります。気を付けてくださいね』
『うん、分かった。侑弥は?元気?』
『ええ、よく寝てくれるので助かってますけど、クマのぬいぐるみから離れてくれなくて困ってます』
気に入ってくれてるんならいいと思い、そのあとは重次と冬弥が今後のある程度の予定を話て通信を切る。
「便利な紐だよね」
「頭の中での会話というのが不思議ですが」
「これも天狐の力なのかな?」
「冬弥様は神域に達しておられますから、容易いでしょう。我々にはとてもとても……」
「あ、戻ってきた!」
「し、紫狐はもうぐったりなのですー!」
「お疲れ様。前に焼き菓子買っておいたんだ。みんなで食べていいよ」と一つ袋を渡すと、紙の上に均等に紫狐が分けてみんなに配っている。
「翡翠が一番食いしん坊だよね。なんか、ぷくぷくしてきた感じがする」
「ゆっきー、ひーちゃんなのですけど、いっちーが、もう大きくならないと言っていたのを聞いて、紫狐も食べ物をなるべく減らしてたんですけど……」
「うん?」
「つまみ食いを覚えてしまいましたぁぁぁ」
「はぁ?何それ!」
「ゆっきーが、影の中にお部屋を作ってくれて、みんなたまにもらうおやつを楽しみにしてるんですけど、棚の上に紫狐が隠しておくのです。でも、ひーちゃんが上手く飛び乗って食べてしまうようになって、棚の引き戸に隠しても開けてしまうんですー」
「変なことだけ覚えるの早いんだから!」
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説
下宿屋 東風荘 5
浅井 ことは
キャラ文芸
☆.。.:*°☆.。.:*°☆.。.:*°☆.。.:*゜☆.。.:*゚☆
下宿屋を営む天狐の養子となった雪翔。
車椅子生活を送りながらも、みんなに助けられながらリハビリを続け、少しだけ掴まりながら歩けるようにまでなった。
そんな雪翔と新しい下宿屋で再開した幼馴染の航平。
彼にも何かの能力が?
そんな幼馴染に狐の養子になったことを気づかれ、一緒に狐の国に行くが、そこで思わぬハプニングが__
雪翔にのんびり学生生活は戻ってくるのか!?
☆.。.:*°☆.。.:*°☆.。.:*°☆.。.:*☆.。.:*゚☆
イラストの無断使用は固くお断りさせて頂いております。
下宿屋 東風荘 2
浅井 ことは
キャラ文芸
※※※※※
下宿屋を営み、趣味は料理と酒と言う変わり者の主。
毎日の夕餉を楽しみに下宿屋を営むも、千年祭の祭りで無事に鳥居を飛んだ冬弥。
しかし、飛んで仙になるだけだと思っていた冬弥はさらなる試練を受けるべく、空高く舞い上がったまま消えてしまった。
下宿屋は一体どうなるのか!
そして必ず戻ってくると信じて待っている、残された雪翔の高校生活は___
※※※※※
下宿屋東風荘 第二弾。
下宿屋 東風荘 3
浅井 ことは
キャラ文芸
※※※※※
下宿屋を営み、趣味は料理と酒と言う変わり者の主。
毎日の夕餉を楽しみに下宿屋を営むも、千年祭の祭りで無事に鳥居を飛んだ冬弥。
そして雪翔を息子に迎えこれからの生活を夢見るも、天狐となった冬弥は修行でなかなか下宿に戻れず。
その間に息子の雪翔は高校生になりはしたが、離れていたために苦労している息子を助けることも出来ず、後悔ばかりしていたが、やっとの事で再会を果たし、新しく下宿屋を建て替えるが___
※※※※※
下宿屋 東風荘 4
浅井 ことは
キャラ文芸
下宿屋 東風荘4
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..
大きくなった下宿に総勢20人の高校生と大学生が入ることになり、それを手伝いながら夜間の学校に通うようになった雪翔。
天狐の義父に社狐の継母、叔父の社狐の那智に祖父母の溺愛を受け、どんどん甘やかされていくがついに反抗期____!?
ほのぼの美味しいファンタジー。
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..
表紙・挿絵:深月くるみ様
イラストの無断転用は固くお断りさせて頂いております。
☆マークの話は挿絵入りです。
カフェひなたぼっこ
松田 詩依
キャラ文芸
関東圏にある小さな町「日和町」
駅を降りると皆、大河川に架かる橋を渡り我が家へと帰ってゆく。そしてそんな彼らが必ず通るのが「ひより商店街」である。
日和町にデパートなくとも、ひより商店街で揃わぬ物はなし。とまで言わしめる程、多種多様な店舗が立ち並び、昼夜問わず人々で賑わっている昔ながらの商店街。
その中に、ひっそりと佇む十坪にも満たない小さな小さなカフェ「ひなたぼっこ」
店内は六つのカウンター席のみ。狭い店内には日中その名を表すように、ぽかぽかとした心地よい陽気が差し込む。
店先に置かれた小さな座布団の近くには「看板猫 虎次郎」と書かれた手作り感溢れる看板が置かれている。だが、その者が仕事を勤めているかはその日の気分次第。
「おまかせランチ」と「おまかせスイーツ」のたった二つのメニューを下げたその店を一人で営むのは--泣く子も黙る、般若のような強面を下げた男、瀬野弘太郎である。
※2020.4.12 新装開店致しました 不定期更新※
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あやかし古民家暮らし-ゆるっとカップル、田舎で生きなおしてみる-
橘花やよい
キャラ文芸
「怖がられるから、秘密にしないと」
会社員の穂乃花は生まれつき、あやかしと呼ばれるだろう変なものを見る体質だった。そのために他人と距離を置いて暮らしていたのに、恋人である雪斗の母親に秘密を知られ、案の定怖がられてしまう。このままだと結婚できないかもと悩んでいると「気分転換に引っ越ししない?」と雪斗の誘いがかかった。引っ越し先は、恋人の祖父母が住んでいた田舎の山中。そこには賑やかご近所さんがたくさんいるようで、だんだんと田舎暮らしが気に入って――……。
これは、どこかにひっそりとあるかもしれない、ちょっとおかしくて優しい日常のお話。
エブリスタに投稿している「穂乃花さんは、おかしな隣人と戯れる。」の改稿版です。
表紙はてんぱる様のフリー素材を使用させていただきました。
下宿屋 東風荘 6
浅井 ことは
キャラ文芸
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*°☆.。.:*・°☆*:..
楽しい旅行のあと、陰陽師を名乗る男から奇襲を受けた下宿屋 東風荘。
それぞれの社のお狐達が守ってくれる中、幼馴染航平もお狐様の養子となり、新たに新学期を迎えるが______
雪翔に平穏な日々はいつ訪れるのか……
☆.。.:*°☆.。.:*°☆.。.:*°☆.。.:*☆.。.:*゚☆
表紙の無断使用は固くお断りさせて頂いております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる