六畳一間 月読命

浅井 ことは

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慎二と神様

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結構時間はかかったが目的地に着くと、思ったより賑わっていて小さな屋台のようなものが幾つかある。

「少しつまみましょうか」

「わん!」

「そうでした。風のご飯も上げてませんでしたね。すいません」

「まだご飯三回?」

「ええ。犬の育てかたに書いてありましたので」

「風も食べられるものあるかな」

いくつか見て回ると、牛串などの串ものがあったので、二本買い、少し解してから持ってきていたお水に浸して与えると、お水までペロリと食べてしまい、頭を撫でる。

「あまり、人のものをあげるといけないと書いてありましたから、あと一つだけで終わりですよ」

夕食の時、少ししっかり目に食べさせたら大丈夫かなと思い、香ばしく美味しそうな匂いにつられ五平餅を買って、席で食べる。

「ラーメンも食べたかったけど、明日の帰りにたべる?」

「そうしましょう。お土産はお店にはどうしますか?」

「一緒に来てること知ってるから、お菓子の箱ひとつでいいと思う」

食べた後に中のお土産を見ていると、顔のない何やら被り物が少し猫の耳のような可愛らしい人形を見つける。

「月さん、その……神様たちにもお土産買うの?」

「ええ。何でも温泉名物がいいとか、お酒のつまみになるものをなど言われましたので、姉と高御様に買っていきます。1つ余分に弟の分も……」

「素戔嗚尊だっけ?」

「ええ。いつも乱暴なことばかりするので、中々姉のところには行けないのですが、今回私がこちらに来ているので、悪さをしないという約束でたまに来ているようです。買わないと拗ねると思うんですよねぇ」

とはいえ、お菓子ならば一瞬でなくなりそう。

何が物を買っても壊しそうで何を買っていいか一番悩むのだが。
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