六畳一間 月読命

浅井 ことは

文字の大きさ
上 下
65 / 109
温泉旅行

.

しおりを挟む
半分ほど食事を進めたところで、お鍋に火が点けられ、運ばれてきたお肉は飛騨牛。

「沸騰しましたら、お野菜などを入れてお召し上がりください」

仲居になりきった左近が鼻をクンクンさせながら言うものだからつい笑いそうになるが、慎二は肉に夢中で気づいてないのがありがたい。

「もういいかな?」

「そうですね。先に野菜を入れてしまいましょうか」

二人でひとつの鍋だったので野菜を入れてまた蓋をすると、お肉の匂いがしたのか風もじっと慎二の持つお肉に目をキラキラさせている。

「風……沢山食べたでしょう?」

「仕方ない!ちょーっとだけだぞ?火が通るまで待ってろよ風」

「そんなに甘やかしたら……」

「今日だけ!な、お前も欲しいよな」

「あうっ!」

やれやれと思いながらも、風は慎二の膝の横にしっかりとお座りをして待っているので、残りの椀物を食べてしまう。

「この位かな?ちょっと待てよ。今冷ましてやるから」

フーフーと冷まして小さくしたお肉を手のひらに乗せると、よし!と言われるのをちゃんと待っている風。

「いい子だな。食べてよし!」

ちぎれんばかりにしっぽを振りながら、贅沢なお肉をパクッと食べてお代わりの要求。

でも……

「風……あなたお腹パンパンじゃないですか。もうダメですよ?」

「やっぱりいつもより多かったかなー。明日の朝飯、少し減らしてもらう?」

「そうですね。このままだと丸々していて転がってしまいそうですし」

しゅん、と拗ねた風が伏せをしてちらちら見てくるのが気にはなったが、しゃぶしゃぶもポン酢とゴマだれの二種類で食べきり、最後にご飯に味噌汁にお新香。

「かなりお腹が一杯なのですが」

「ご飯少しにする?」

「半分くらいで。この後にデザートが来るんでしたっけ?」

「うん。何が出てくるかな?俺はメロンがいいんだけど」

甘いものが好きだと前から言っていた気がするが、それよりもお腹が痛くなりそうで怖い。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

YESか農家

ノイア異音
キャラ文芸
中学1年生の東 伊奈子(あずま いなこ)は、お年玉を全て農機具に投資する変わり者だった。 彼女は多くは語らないが、農作業をするときは饒舌にそして熱く自分の思想を語る。そんな彼女に巻き込まれた僕らの物語。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

処理中です...