天満堂へようこそ 5

浅井 ことは

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赤と城

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「ここにも薬草が揃えてあるって!結月さんが今から作りに行くって言ってたからもう大丈夫だよ!」

「それは良かった……」

「エマ……姫様が薬を作ってくれるそうだから、もう少し我慢しろ」

「はい……」

あまりいても行けないと思い、何かあったら呼んで欲しいといい、部屋を後にする。

サムに中を案内してもらい、色々と見て回っていると厨房にムーとブランの姿があった。

「何してるの?」

「えっとねー、お手伝い!」

「エマさんのお薬のお豆をもらうんです!」

「豆?」

不思議がっていると、豆を煮ていた使用人が、「柔らかいものがいるそうでして……」
と教えてくれた。

「気をつけて運ばないと。熱いだろうから……」

「うん、二人で運ぶから平気だよ?奏太くんは何してるの?」

「ん?色々と案内してもらってるんだ。ムーもブランも必ず一緒にいろよ?外出たらダメだからな?」

「うん」

途中、半地下になっているところに麻袋が沢山置いてあり、食料庫だと教えられる。
隣には薬草など乾燥させたものが置いてあると言う。

その後使用人の働くところで結月が薬を作りながら、鍋の蓋で薬師さんのお弟子さんらしき人を叩いているのを見て見ぬ振りをし、最後に武器庫や鍛錬所を見る事となった。

兵が夜にも関わらず、鍛錬しているのを見ると、自分は何もしていない……とつい下を見てしまう。

「奏太様、サムさんとの剣技見られます?」

「いいの?」

「サムさんお願いできますか?」

「サムでいいです。仮にも王子と同等の称号を持つノア様と出来るのなら光栄でございます」

「そんな、私の事もノアで結構ですよ」

「それでは……」

「じゃぁ、俺は奏太だよね?」

と笑いが起こり、2人が剣を抜くと、練習していた兵たちも手を休め、始まるのを座って待っていたので、自分も座って始まるのを待つ。

静な中、剣と剣が合わさったと思ったら、そこから流れるように剣舞が始まる。
静から動へと流れるように二人の動きが段々と早くなり、違う動きなのに、一つの舞として見える。前は魔界のニコルとアグナの入った剣舞を見たが、それとは又違う優美さまである。

最後に剣と剣がもう一度重なり合い終わった瞬間、兵たちから「おおおー!」と歓声が上がり、みんな立ち上がって拍手をしている。

「二人共凄い!すごく綺麗だったよ!」

「ありがとうございます。サムさんが合わせてくれたので、とてもやりやすかったです」

「とんでもない。流石はノア様、まだまだ私も鍛錬が必要なようです」

「奏太様、前に剣の型をお教えしたでしょう?」

「うん」

「あれが基本となり、応用したものが先程の剣舞です。一番簡単なものですので、奏太様にも出来ますよ」

「無理!絶対に無理!俺がやったら絶対にこけまくって終わりだよ」
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