87 / 99
赤と城
.
しおりを挟む
「いつとか分からないの?」
「目安としては体が物凄く熱く感じた時……かな?ノアはまだか?」
「完全とまでは……天王様に1度お見せしたのですが、父も兄もまだ知らないことなので」
「教えてないのか?」
「話す機会もなくつい……」
「まぁ、こればかりはわからん事だ。怖がることでもないさ」
「変化したらいつでも出来るようになるの?」
「大体はな。暫くは慣れないだろうが、それも人それぞれだ」
「そうなんだ」
ニコルとジョナスが戻ってきて、支度をと言われ部屋へと向かう。
警護との事でみんな同じ部屋になったが、ルーカスの格好が黒を基調に紫色のアクセントのついた短めのジャケットがとても恰好いい。
その事を言うと、魔界の礼装だから堅苦しいと言われたが、自分のひらひらした服を見ると、なよなよした感じがして情けない気になってくる。
ノアは白の上下にタスキのようなものを幾つか掛けられているだけだが、剣が抜きにくそうだと色々と位置を直している。
「ノア、天界での王子付きでも、私の息子だ。幻界に来た時は顔くらい母さんに見せてあげなさい」
「はい」
「何だかお嫁に行く挨拶みたいだね」
「いえ、そのような事は」
「ジョナスさん、ごめんね……」
「何をおっしゃいますか!フランシス家の誉にございますれば……」
「そこまでだ。嫁の挨拶なら私だろう?」
「あ、女の人に見える!」
「奏太……私はずっと女だが?」
「ごめん、でも綺麗だよ。珍しくピンクなんだ」
「ほかの者と色が被らないようにしないといけなかったし、一応姫の冠もある」
「そうなんだ」
「お前もかぶるんだぞ?」
「ルーカスさんは?」
「魔界にはないよな?」
「あるにはある。が、こういった時は角だけ生やすんだよ」
「え、見たい!」
「あんまり好きじゃないんだ。出る前に出すからその時に見ろよ」
「ちぇっ」
「奏太、ムーたちはどこいった?」
「知らない」
「姫様、まだ全ての装飾品がつけ終わってません」
「走るなエマ!そんなもの後でいい。首の周りが気持ち悪いから嫌いなんだ」
プンプンと怒るエマをよそに、ルーカスが話した俺の症状を確認する様に色々と見られる。
「ルーカスの見立てと同じだ。いつ変化が始まるか分からんし、一気になるのか一部ずつなるのかも分からん」
「まぁ、いいよ。その内なるんでしょ?」
「なるな」
「なら、慌てても仕方ないよね。それよりエマさん大丈夫?」
「あ、大丈夫ですよ?」
「何だか調子悪そう」
「差し出がましいようですが、悪阻ではないですか?ユーリの時の妻がそのような感じでしたので」
「かも知れんが、病気でもないからな……あまり具合が悪ければ寝ていろ」
「そこまでではないですから。それに……」
「エマ、みんな心配してくれてるんだからせめて座ってて」
「ニコル」
何だか恋愛ドラマを見ているようで恥ずかしくなり、つい目をそらしてしまう。
「ほら、奏太が真っ赤だ」
「ち、違うもん!でも、羨ましいとは思うな。エマさん座ってた方がいいよ」
観念して座ったところで、体が熱いことに気づく。
だが、そこまで変わった所もないので、時間が来るまで座って待ち、案内されて大きなベランダ前についた時には緊張していた。
「目安としては体が物凄く熱く感じた時……かな?ノアはまだか?」
「完全とまでは……天王様に1度お見せしたのですが、父も兄もまだ知らないことなので」
「教えてないのか?」
「話す機会もなくつい……」
「まぁ、こればかりはわからん事だ。怖がることでもないさ」
「変化したらいつでも出来るようになるの?」
「大体はな。暫くは慣れないだろうが、それも人それぞれだ」
「そうなんだ」
ニコルとジョナスが戻ってきて、支度をと言われ部屋へと向かう。
警護との事でみんな同じ部屋になったが、ルーカスの格好が黒を基調に紫色のアクセントのついた短めのジャケットがとても恰好いい。
その事を言うと、魔界の礼装だから堅苦しいと言われたが、自分のひらひらした服を見ると、なよなよした感じがして情けない気になってくる。
ノアは白の上下にタスキのようなものを幾つか掛けられているだけだが、剣が抜きにくそうだと色々と位置を直している。
「ノア、天界での王子付きでも、私の息子だ。幻界に来た時は顔くらい母さんに見せてあげなさい」
「はい」
「何だかお嫁に行く挨拶みたいだね」
「いえ、そのような事は」
「ジョナスさん、ごめんね……」
「何をおっしゃいますか!フランシス家の誉にございますれば……」
「そこまでだ。嫁の挨拶なら私だろう?」
「あ、女の人に見える!」
「奏太……私はずっと女だが?」
「ごめん、でも綺麗だよ。珍しくピンクなんだ」
「ほかの者と色が被らないようにしないといけなかったし、一応姫の冠もある」
「そうなんだ」
「お前もかぶるんだぞ?」
「ルーカスさんは?」
「魔界にはないよな?」
「あるにはある。が、こういった時は角だけ生やすんだよ」
「え、見たい!」
「あんまり好きじゃないんだ。出る前に出すからその時に見ろよ」
「ちぇっ」
「奏太、ムーたちはどこいった?」
「知らない」
「姫様、まだ全ての装飾品がつけ終わってません」
「走るなエマ!そんなもの後でいい。首の周りが気持ち悪いから嫌いなんだ」
プンプンと怒るエマをよそに、ルーカスが話した俺の症状を確認する様に色々と見られる。
「ルーカスの見立てと同じだ。いつ変化が始まるか分からんし、一気になるのか一部ずつなるのかも分からん」
「まぁ、いいよ。その内なるんでしょ?」
「なるな」
「なら、慌てても仕方ないよね。それよりエマさん大丈夫?」
「あ、大丈夫ですよ?」
「何だか調子悪そう」
「差し出がましいようですが、悪阻ではないですか?ユーリの時の妻がそのような感じでしたので」
「かも知れんが、病気でもないからな……あまり具合が悪ければ寝ていろ」
「そこまでではないですから。それに……」
「エマ、みんな心配してくれてるんだからせめて座ってて」
「ニコル」
何だか恋愛ドラマを見ているようで恥ずかしくなり、つい目をそらしてしまう。
「ほら、奏太が真っ赤だ」
「ち、違うもん!でも、羨ましいとは思うな。エマさん座ってた方がいいよ」
観念して座ったところで、体が熱いことに気づく。
だが、そこまで変わった所もないので、時間が来るまで座って待ち、案内されて大きなベランダ前についた時には緊張していた。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
後宮の隠れ薬師は、ため息をつく~花果根茎に毒は有り~
絹乃
キャラ文芸
陸翠鈴(ルーツイリン)は年をごまかして、後宮の宮女となった。姉の仇を討つためだ。薬師なので薬草と毒の知識はある。だが翠鈴が後宮に潜りこんだことがばれては、仇が討てなくなる。翠鈴は目立たぬように司燈(しとう)の仕事をこなしていた。ある日、桃莉(タオリィ)公主に毒が盛られた。幼い公主を救うため、翠鈴は薬師として動く。力を貸してくれるのは、美貌の宦官である松光柳(ソンクアンリュウ)。翠鈴は苦しむ桃莉公主を助け、犯人を見つけ出す。※表紙はminatoさまのフリー素材をお借りしています。※中国の複数の王朝を参考にしているので、制度などはオリジナル設定となります。
※第7回キャラ文芸大賞、後宮賞を受賞しました。ありがとうございます。
三度の飯より犬好きな悪役令嬢は辺境で犬とスローライフがしたい
平山和人
恋愛
名門貴族であるコーネリア家の一人娘、クロエは容姿端麗、文武両道な才女として名を馳せている。
そんな彼女の秘密は大の犬好き。しかし、コーネリア家の令嬢として相応しい人物になるべく、その事は周囲には秘密にしている。
そんなある日、クロエに第一王子ラインハルトとの婚約話が持ち上がる。王子と婚約してしまったら犬と遊ぶ時間が無くなってしまう。
そう危惧したクロエはなんとしても婚約を破棄し、今まで通り犬を飼える立場になろうと企む。
継母ですが、娘を立派な公主に育てます~後宮の事件はご内密に~
絹乃
キャラ文芸
母である皇后を喪った4歳の蒼海(ツァンハイ)皇女。未来視のできる皇女の養育者は見つからない。妃嬪の一人である玲華(リンホア)は皇女の継母となることを誓う。しかし玲華の兄が不穏な動きをする。そして玲華の元にやって来たのは、侍女に扮した麗しの青年、凌星(リンシー)だった。凌星は皇子であり、未来を語る蒼海の監視と玲華の兄の様子を探るために派遣された。玲華が得意の側寫術(プロファイリング)を駆使し、娘や凌星と共に兄の陰謀を阻止する継母後宮ミステリー。※表紙は、てんぱる様のフリー素材をお借りしています。
希望が丘駅前商店街-神神飯店バイト君大作戦
神山 備
キャラ文芸
「日々是好日、希望が丘駅前商店街-神神飯店エソ、オソオセヨ(にいらっしゃい)」のバイト君、岸本大介(ダイサク)視点の物語です。
なので、この作品も「政治家の嫁は秘書様」の鏡野悠宇様より了承頂いて書いているコラボ作品です。
ダイサクこと岸本大介はその名前を理由に喫茶店のバイトを断られてしまう。その代わりにと紹介されたのが、「本格中華菜館神神飯店」。
ダイサクが神神飯店の面々に振り回されて変わっていく成長? の記録。
他にコラボしている作品
・『桃と料理人』http://ncode.syosetu.com/n9554cb/
・『青いヤツと特別国家公務員 - 希望が丘駅前商店街 -』http://ncode.syosetu.com/n5361cb/
・『希望が丘駅前商店街~透明人間の憂鬱~』https://www.alphapolis.co.jp/novel/265100205/427152271
・『希望が丘駅前商店街 ―姉さん。篠宮酒店は、今日も平常運転です。―』https://www.alphapolis.co.jp/novel/172101828/491152376
・『希望が丘駅前商店街 in 『居酒屋とうてつ』とその周辺の人々 』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/274274583/188152339
・『希望が丘駅前商店街~看板娘は招き猫?喫茶トムトム元気に開店中~』https://ncode.syosetu.com/n7423cb/
・『Blue Mallowへようこそ~希望が丘駅前商店街』https://ncode.syosetu.com/n2519cc/
あやかし狐の身代わり花嫁
シアノ
キャラ文芸
第4回キャラ文芸大賞あやかし賞受賞作。
2024年2月15日書下ろし3巻を刊行しました!
親を亡くしたばかりの小春は、ある日、迷い込んだ黒松の林で美しい狐の嫁入りを目撃する。ところが、人間の小春を見咎めた花嫁が怒りだし、突如破談になってしまった。慌てて逃げ帰った小春だけれど、そこには厄介な親戚と――狐の花婿がいて? 尾崎玄湖と名乗った男は、借金を盾に身売りを迫る親戚から助ける代わりに、三ヶ月だけ小春に玄湖の妻のフリをするよう提案してくるが……!? 妖だらけの不思議な屋敷で、かりそめ夫婦が紡ぎ合う優しくて切ない想いの行方とは――
ツクヨミ様の人間見習い
大和撫子
キャラ文芸
よくあるラノベ展開?!「突然ですが私の秘書として働いてくださいませんか?」浮世離れした美形がある日契約書を持って現れて……
代々『霊感、霊視、透視、霊聴』という霊能力を掲げた占い師の一族、観音堂家のに生まれた妃翠。彼女には霊能力は授からず0感のままだった。だが、幼い頃から占いを好み特にタロットカードは数種類のタロットを組み合わせ独自の解釈をするようになる。対して長女、瑠璃は幼い頃から優れた霊能力を発揮。家族の誰もが妃翠には何も期待しなくなっていく。
平凡が一番平和で気楽だと開き直っていた妃翠に、ある日……この世の者とは思えない程の美形が、「私の秘書として働いてくれませんか? 報酬は弾みます」と契約書を携えて訪ねてくる。
どうして自分なんかに? 彼によると、
……ずば抜けた霊能力を誇る彼は、それを活かしてスピリチュアルカウンセラーという職業に就いているそう。ただ、その類稀なる容姿から、男女を問わず下心で近づく者が絶えず辟易しているという。そこで、自分に恋愛感情を抱かず、あくまで統計学。学業としての占いに精通している女性を探していたのだという。
待遇面であり得ないくらいに充実しているのを確認し、2つ返事で引き受ける妃翠。そう長くは続かないだろうけれど今の内にしっかり貯めて老後に備えようという目論見があったからだ。
実際働いてみると、意外にも心地良い。更に、彼は実は月読命でこの度、人間見習いにやってきたというのだが……?
男の秘密とは? 真の目的とは? そして彼の元を訪れる者は時に人間ではない時もあり……
マグダレナの姉妹達
田中 乃那加
キャラ文芸
十都 譲治(じゅうと じょうじ)は高校一年生。
同じ高校に通う幼馴染の六道 六兎(ろくどう りくと)に密かな想いを寄せていた。
六兎は幼い頃から好奇心旺盛な少年で、しょっちゅう碌でもない事件に首を突っ込んで死にかけている。
そんな彼を守ろうと奔走する譲治。
―――その事件は六兎の「恋人が出来た」という突然の言葉から始まった。
華村 華(はなむら はな)は近くの短大に通う学生である。
華の頼みで彼らはある『怪異』の検証をする事になった。
それは町外れの公園『カップルでその公園でキスをすると、運命の相手ならば永遠に結ばれる。そうでなければ……』
華の姉、華村 百合(はなむら ゆり)がそこで襲われ意識不明の重体に陥っているのである。
―――噂の検証の為に恋人のフリをしてその公園に訪れた彼らは、ある初老の男に襲われる。
逃げた男が落として行ったのは一冊の生徒手帳。それは町の中心部にある女学校。
『聖女女学校』のものだった。
そこにこの事件の鍵がある、と潜入する彼らだが……。
少しイカれた素人探偵と振り回される幼馴染、さらにキャラが濃い面々の話。
やる気ない天使ちゃんニュース
白雛
キャラ文芸
私は間違っているが、世間はもっと間違っている——!
Vに沼ったビッチ天使ミカ
腐り系推し活女子マギ
夢の国から帰国子女リツ
鬼女化寸前ギリギリの年齢で生きるレイ
弱さ=可愛さだ! 不幸の量が私らを(特定の人種向けにのみ)可愛くするんだ!
『生きづらさでもごもごしてる奴なんか可愛くね……? オレ、そーゆーの、ほっとけないんだよね!』って禁断の扉を開いてしまう人続出!
この不憫可愛さを理解させられろ! 受け止めてみせろ、世の男子!
ブーメラン上等!
厄介の厄介による厄介のための歯に絹着せぬ、そして自分も傷付く、おちゃらけトークバラエティー!
始まってます。
パロ、時事、政治、下ネタ豊富です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる