天満堂へようこそ 5

浅井 ことは

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赤と城

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「さ、話してくれ」

「うん、さっき結月さんに言ったけど、その……リアムさんが四人いて、残りのひとりは頭からフードを被ってて顔は見えなかったんだ。凄く汚い所で、水の音がしてた」

「水?それは川とか池とかのか?」

違うと頭を振ると、頭を振るな馬鹿と怒られ、早く続きを、もっと詳しくと急がされる。

「なんかね、水漏れみたいな音。洞窟みたいな感じ……」

「他に覚えてるのは?」

「何箇所かで薪を炊いてて、何かを取り囲んでた。その時に多分魔法だと思うんだけど、光ったんだ真っ白に。そしたら……又違うリアムさんが出てきたんだ……怪我してた」

「な、なんと……もしや奏太は……」

「そうだ、先見の目がある。が、これは多分過去だ。少し前のな……古い本でしか見たことがないが、叡瞼(えいけん)とこちらでは呼ぶ。人間界と捉え方が違うところは多々あるが……」

「結月、俺に難しい話はダメだ。簡単に言ってくれ」

「ああ、馬鹿だもんな……」

「煩い!」

「簡単に言うと、過去も未来も見れて、尚且つ人の本質なども見抜ける神よりも神らしい能力の一つと思えばいい」

「ねー!王様よりもすごいのかなー?」

「おっさんよりはるかに神だな!と言うことで、私達は取り合いにならないように先見の目という事にして置きたかったんだが、無理そうだな……引退するか?」

「誰がするか!それに、各界での王書にはこうある。『そのもの現るる時、世界は一つになるであろう』とな。未だに意味はわかっておらん」

「そのままじゃないのか?」

「王書は継承とともに渡され、王にしか開くことは出来ん。じゃが、他にも色々と書いてあってのう……その部分は各界統一じゃ。ついでに結月よ。そんなに見ても見せれるものではないし、儂は助言をするくらいだ。このことに関してはの。しかし、その者が王になってはいかんとは書いていない」

「天王様……」

「何じゃ?ニコル」

「もし、ルーカス様が叡瞼を持っていたとして……その時も各界は同じように普通の王子や、王として扱うのですか?」

「勿論じゃ。じゃが一つだけ決まりがあって、例えばここ、天界で王になったとしても、残り二つの界に中立として各王の補佐もせねばならぬ。決まりはその時の王が取り決めるが……」

「王子の場合は?」

「各界の補佐は変わらん」

「おっさんはどうしたい?」

「儂は奏太の好きにさせてやりたい。今回の王の権限を与えようと思ったのも、まだ民衆にはリアムが死んだと思っておらぬ者も居るからじゃ」

「あのさ、俺どうなるの?」

「ん?お前はただのパシリのままだから安心しろ。次の王は私とルーカスだ。適当に統制だけとり人間界でいつも通り暮らすだけだな」

「俺も?」

「あたりまえだろう?それよりもだ。他に何を見た?」

「あまり覚えてないけど……たくさんの人がいて、その人たちを取り囲んでた。後は前話した事……」

「幻界が燃えるか……」

「うん……」

「分かった。お前は気にせずあと一日寝ろ!その前に飯を食え。エマとニコルで作れるか?ユーリも手伝う。人数分簡単なものでいい」

「出来ます。厨房をお借りしますが……」

「構わん。イヴァンを……」「ダメだ!」

「結月?」

「あいつはダメな気がずっとしてたんだ……だから作業場とバーを任せた。ノアがいない時の接触もやめさせていた……」

「よく働く者じゃが」

「おっさん、あいつの素性は?」

「管理にあるが」

「本当に信用できる、奏太派のものを使って調べろ。多分もう城には居ないだろうがな」
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